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ケミカルでカーボン除去、サンエス メタルクリーンα

 雨が続くので屋外活動ができません。屋内でしょうもないことをやっています。
 こてる40XZに搭載のENYA40XZはひまし油で運転しているし、飛行後の手入れはメタノールを霧吹きで吹いてブラシでこする程度ですからカーボンとバニッシュが付いています。
 調子が悪くなった時と定期整備以外はエンジンはばらさない方が良いのですが、プラグの穴からみるとガサガサのカーボンが貯まっていそうなのでヘッドを開けました。

 ヘッドを開けるとこんな感じです。ティッシュでぬぐった後の状態です。理屈どおり温度が低い掃気側がきれいですね。燃焼室内の温度分布と混合気・排気の流れが分かります。
 ピストンの頭はつやつやしていますし、この程度のコーティング状に固まったカーボンなら圧縮比が変わるとかカーボンのでっぱりがホットスポットになるとかということはないのでこのままにします。


 ヘッドの燃焼室側は真っ黒で、ティッシュで拭いても落ちません。掃気側にもカーボン(まだバニッシュの段階かな?)が付いています。圧縮比が変わるほどの堆積ではありませんから手入れの必要はないのですが、実験台にすることにしました。

ケミカルでカーボン除去

 今回はヘッドをきれいにするのが目的ではなく、ケミカルによるカーボン除去の実験です。特に洗浄液にどのくらい漬けておけば良いのか(浸漬時間)のデータを取ろうと思いました。

 使うケミカルはサンエスの「メタルクリーンα」です。水に溶かして洗浄液を作って油やカーボンを落す製品です。アルカリ性ですがアルミにも使えるとされています。
 実車の整備界隈ではプロにもDIY愛好者にも評価が高い製品のようで、ネットで使用例が沢山アップされています。
 成分もきちんと公表されています。「非イオン系界面活性剤(20%)・炭酸塩・ケイ酸塩・亡硝」だそうです。この辺は何が入っているかわからない一般消費者向けのカー用品とは違います。

アルミにアルカリは危ない

 サンエスメタルクリーンαは「金属安定に優れアルミなどの合金類にも対応(一部を除く)」とされていますがアルカリ性ですからアルミ製品を入れて30分くらいグラグラ煮るというような無茶をするのはよくありません。
 左のマフラーは新品、右はメタルクリーンαの洗浄液で30分煮た後のマフラーです。カーボンはきれいに取れましたが変色しています。「煮れば効果が倍増するだろう」と考えた結果がこれです。
 化学知識のない家庭の主婦がアルミ鍋を重曹で洗って真っ黒にするのと同じです。
 一様に色が変わればまだましですが腐食っぽくなっている部分もあります。性能に影響はないとはいえ美観上の問題があります。


 そもそもサンエスメタルクリーンαの「取り扱い注意事項」にきちんと書いてあります。
80℃以上では材質に影響を及ぼす恐れがあります
銅・亜鉛・真鍮・スズ・ジュラルミン・アルミサッシ・ポリカーボネイト・アクリル・漆・ラッカー塗装などは、変色する恐れがあります
 説明書はちゃんと読まなければなりません。


 アルカリといえば、僕自身の経験ではマジックリン(だったかな?換気扇の掃除のために使ったもの)などの家庭用のアルカリ性の洗剤で煮ても似たようなことが起きました。試したことはありませんが食洗器用の洗剤も危険でしょう。


 そんなの当たり前だろうと言われそうですが、当たり前が通用しない一般大衆がこの世の中の大部分です。アルミをアルカリで煮沸することは禁忌だと認識すべきでしょう。


 アルミ以外にも影響があります。亜鉛メッキらしき鉄のビスも変色してます。「取り扱い注意事項」どおりですね。クロームメッキやシリコンは大丈夫そうです。


 今回は「取り扱い注意事項」の想定内の使い方として煮沸レベルにはしないが沸騰したお湯で湯煎した洗浄液に漬けたときの効果を試します。
 汚いポリ容器は本来は塗料用で石膏を混ぜる時に使ったもの、シリンダーヘッドが入っている容器はヨーグルトかアイスの空きビンです。
 保温のため硬化促進過熱箱にセットして放置します。


 計画では硬化促進過熱箱にセットして1時間ごとに変化を観察するはずでしたが、1時間後にすでに効果がありました。何もしていないのにほとんどのバニッシュが溶解レベルで落ちています。アルミをアルカリ溶液に漬ける時間は少ない方が良いのでこれで浸漬実験は終了にしました。
 この段階で洗浄液の温度は60℃くらいでしょうか。

 サンエスメタルクリーンαの良い所は再利用ができることです。元のボトルに戻しておきます。使用後の液の色が変わっていますね。

 最初は歯ブラシでこすります。燃焼室側はほぼ何もしなくても(歯ブラシを数往復させた)ピカピカになりました。

 上の方の洗浄前の写真と比べてみてください。プラグ用の砲金?のネジ山もきれいになっています。

 表側は歯ブラシで数十秒こすっただけでは頑固なカーボンが残っています。

 団子の串の先をくさび状に加工したツール?でこそげ落とします。溶けていないバニッシュやカーボンもふやけているので物理的に落としやすくなっています。数分間こするとかなり落ちました。CRC 5-56でふやかして物理的に落とすより明らかに楽です。
 頑張ればもっときれいになるのでしょうが、完全にカーボンになっているところは苦労します。

 元に戻して実験終了です。

考察

 実験ですから考察が必要です。
 サンエスメタルクリーンαでは湯煎して80℃くらいに温めておけば1時間付けておくだけでメタノールや灯油では落としにくいレベルのバニッシュを落すことができました。この程度の温度と浸漬時間ではアルミへのダメージはなさそうです。
 金属表面へのダメージを考えると耐水ペーパーやピカールでカーボンを落すよりはいいのではないかと思います。
 硬化促進過熱箱の保温効果も確認できました。沸騰したお湯をたっぷり使って湯煎すれば、1時間は温度を維持できました。それより長い時間の保温は必要ないので性能的には十分です。


 ヘッドの内側と外側でカーボンの付き方に違いがあります。ヘッドの内側の方が温度が高いはずですがカーボンは簡単に除去できました。
 考えるにヘッドの中ではオイルがどんどん流れて行くので炭化する前に流れてしまうのに対してヘッドの外側では一度付着したオイルが入れ替わることなく滞留して長時間熱が加わるから炭化するという理屈じゃないでしょうか。
 マフラーのカーボンも、排気が勢いよく流れる内側はカーボンが非常に薄いフィルム状、コーティング状、粉体塗装のようになって付着しているのに対して、乱流が発生してオイルがひとところにとどまる所では天ぷら鍋のように厚いカーボンの層ができています。

環境保護

 廃液はどうするのかという問題がありますが、取説は河川に捨ててはいけないが下水に流せとしています。「作業着や軍手の洗濯洗剤」としての用途が想定されている製品なので洗剤と同じくくりでよさそうです。

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