FRP工作、複雑な形の製品を直接型どり
こてるRCGFは当面グローエンジン用マフラーで運用することにしたのですが、そうなると胴体の下側のサブマフラー用の切り欠きが間抜けに見えます。
このへこみが空気をはらんで騒音の元にもなりそうです。
脚取付け台の後ろは平らな板でふさげば良いのですが、カウルの後ろの脚取付け台のあたりの覆いは複雑な形になります。
雌型を作らずに作成
一品物ですし目立たないところなので表面の仕上がりも適当でいいだろう、ということでスタイロフォームで原型(マスター型)を作ってその上にクロスを張り、硬化後にスタイロフォームを取り除くという工法にします。
ところでこういう作り方には何か名前があるんでしょうか。調べてもわかりませんでした。
こういうやり方でも単純な形なら結構きれいにできます。
これはENYA 41-4Cを搭載したこてる41-4C用のカウルです。冷却空気の出口のリップ(?)は後で付けました。
こういう形のものは樹脂を含浸させたクロスで型をくるんだ後、レジ袋をなるべくしわにならないように巻き付けてテープでぐるぐる巻きにするとあまりしわができずに仕上がります。
雌型から起こすのに比べて仕上がりが悪いし重くもなるのですが手軽さは捨てがたいものがあります。このやり方で3機分くらいカウルを作りました。
今回作るのはちょっと複雑な形をしています。
冷却空気を流すへこみを付けたおかげで2次曲面の凹面を作らなければなりません。やり方を工夫する必要があります。
この写真はスタイロフォームで型を作って水性ウレタンで気泡を埋め、赤の顔料で着色したポリビニルアルコール(PVA)系の洗濯糊を塗りたくった状態です。
生乾きの樹脂にクロスを貼り付けて型になじませるやり方がホイールパンツを作ったときにうまくいったのでそれを踏襲します。まず接着剤にする樹脂を薄めに塗ってクロスに樹脂が浸み込まないがクロスが浮き上がらない程度にねばつくまで硬化させます。
硬化具合は何回か試すと「これくらいなら良さそうだ」という頃合いが分かってきます。
#200のクロスを貼り付けます。強度を出すため縁になる所にもクロスを貼りました。
樹脂を含浸させます。樹脂は接着剤のセメダイン1500ですからドライヤーで温めないと含浸に時間が掛かります。積層用の樹脂ならドライヤーで温めなくても大丈夫でしょう。資材にお金を掛けないと時間と手間が掛かります。
カチカチに硬化したらトリミングします。リューターという文明の利器を使えばあっという間にバリが取れます。
トリミングの後にもう一度樹脂を塗って硬化させます。青い発泡スチロールは硬化促進加熱箱です。
この状態でも機体に取り付けることができますからスタイロフォームは取り除かなくても良いかもしれません。が、スタイロフォームは(他のポリスチレン製の製品も)ガソリンでボロボロになりますからはがすことにします。
スタイロフォームで製品を作ってエポキシで処理したこともありますが長期的に使うとエポキシの塗膜の欠陥からガソリンが浸み込んで侵されてしまいます。
離型剤を塗ってはいますがスタイロフォームがパカッと外れるようなことはありません。ドライバーでほじっていって水性ウレタンの層までいったら水で湿らせて水性ウレタンと洗濯糊をゆるめながら先っぽをノミのように平らに削った竹串で水性ウレタンの層をはぎ取ります。
スタイロフォームを取り除くのにシンナーを使う人もいます。その方が楽でしょうが匂いがひどいので僕はこのやり方にしています。FRPの業者のサイトによればコンクリートで型を作り完成後に塩酸でコンクリートを溶かすという荒業もあるそうです。本当ですかね。
水性ウレタンの層をはがすのに手間取りますが水性ウレタンを厚塗りしたところは広い面積がペリペリめくれます。日焼けした後の皮をむくような感じです。
水性ウレタンの層がはがれたらPVA系の洗濯糊の離型剤を洗い落とします。離型材はエポキシ樹脂の方にしっかり食いついています。流しでスポンジや歯ブラシで作業するのですが元が洗濯糊なので下水に流しても環境面の影響はないでしょう。
右の写真は出来上がり状態です。色を付けてないので写真ではよくわからないのですが複雑な形が再現できました。
後は表面をならして塗装して完成です。木目調塗装にすれば表面が多少デコボコでも目立ちません(言い訳がましい)。
これが付くこてるRCGFはバルサ製のクリヤ仕上げの機体なのでバルサ製の方がしっくりするのですがこういう形のものをバルサで作るとなると手間が掛かります。
バルサで作った例はこちらです。
バルサの場合はこのように単純な形でもマフラーをかわす切り欠きを作るのが手間でした。