FRP製品をいろんなやり方で作る③ 代用ピールプライ
FRP製品は繊維の含有比率を増やせば軽くて高強度なものができます。素人細工でどうにかなるでしょうか。
ピールプライ的なものを試す
真空引きでFRP製品を作るときにピールプライという、樹脂を通すが樹脂がくっつかない素材(テフロン系?)の織物を使うことがあります。
雌型に置いたクロスと樹脂の上にピールプライを被せ、さらにその上に樹脂を吸い込む素材を敷いて余分な樹脂を吸い取る仕掛けのようです。
ちゃんとした製品があって小分けでも販売されています。それほど高くはないのですが使い捨てなのはもったいない。
ピールプライ | CFRP.Market(運営(株)羽生田鉄工所)
こういうものを使えば真空引きで製品を作るときに樹脂をしぼり取って繊維の比率を上げることができるのでしょう。
真空引きなどはやる気はありませんが、余計な樹脂を吸い取れば軽くて丈夫な製品ができるんじゃないかと期待してピールプライ的なものを試してみました。
例によって代用品です。
穴付きポリ袋
樹脂にくっつかない素材に小さい穴を沢山あけてそこから樹脂を絞り出せばいいんだろうということで、レジ袋が「PE」ポリエチレンであることを確認して剣山で穴をあけることにしました。
これを使ってみましたが、セメダイン1500では粘度が高いためもあってか空気は抜けますが樹脂はほとんど抜けませんでした。これを使うのであれば低粘度の積層用の樹脂で試した方がよさそうです。
ポリエステル布
手芸屋さんで買ったポリエステル布が使えないものか試してみました。
このポリエステル布はグラスクラスの代用にならないかと買ったものですが樹脂との食いつきが悪いので積層用には使うには微妙でした。同じポリエステル布でもワイシャツの生地は使えたんですけどね。
実験として単純なFRP板を作ってみました。
どこかで聞きかじった情報を参考に、#200のクロスの繊維の方向を45度ずらして2プライ重ねました。その上にポリエステル布、その上に樹脂吸い取り用のショップタオルを重ねてクランプで押さえつけました。
「ペリッ」とはがれるポリ袋製の代用ピールプライに比べてかなり力を入れて「メリメリ」という感じではがさなければなりませんがグラスの層とポリエステル布ははがれました。余分な樹脂はショップタオルに吸い取られています。
このようにピールプライとして機能することはわかったのですが雌型で製品を作るときにこれを使うとポリエステル布をはがすときに製品が壊れそうです。
代用ピールプライ(ポリエステル布)でFRP板を作った、でもお勧めはできない
型を使った製品に使うのはあまりにも無謀なので薄いFRP板を作ることにしました。
#200のガラスクロスを2枚重ねしてセメダイン1500を含浸させ、ガラスクロスにポリエステル布を被せ・・・、
樹脂を吸い取るためにショップタオルを畳んだものを乗せて重しを掛けて硬化させ、ポリエステル布とショップタオルをはがします・・・。が、なかなかはがれません。
ペンチまで動員してやっとのことではがれました。
出来上がりはこのとおり。ところどころ網目状になっています。ということはショップタオルが余計な樹脂を吸い取るはずだったのですがクロスの目を埋めるのに必要な分の樹脂まで吸い取ってしまったようです。
せっかくできたものをボツにするのはもったいないのでもう一回樹脂を塗ってザルのようになった所をふさぐことにします。
なんというか、樹脂が余計に必要になるのでピールプライをつかった意味がありません。
次回は樹脂を多めに塗って本当に余分な樹脂だけを吸い取るように工夫することにします。
僕は本物のピールプライと言うものを使ったことがないので本物と代用品の違いを評価できないのですが、はがすのに苦労するという欠点があるもののポリエステル布はピールプライの代用として使えないことはなさそうです。
まあ、ポリエステル布は「ぜひやってみてね」とお勧めできるようなものとは言えません。
そもそも素人細工にピールプライ的なものが必要なのかという根本的な疑問もあります。 浮き上がった樹脂をペーパータオルで吸い取る程度で十分じゃないかと思います。