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フン詰まりマフラーでエンジンを回す

 消音効果が高いマフラーを付ければ背圧が強くなります。まあ、そうじゃない優秀なマフラーもあるかもしれませんがグローエンジンで排気プレッシャーが機能しているのですから背圧は大きくなっているはずです。
 背圧が強くなったエンジンはどう回せばよいか考えてみます。直感的には回転は上がらない、したがって低い回転数で運用しなければならないということになりますが本当にそれでいいのか調べてみました。


 ここから御託が続きますからやってみた結果だけを知りたい場合は「NGH GT9-Proで検証」から読んでください

データを見る

 模型雑誌に載っていたエンジンの紹介記事をまとめて公開しているサイトがあります。紹介されているのは古いエンジンが多いのですが面白いのでご一読をお勧めします。

 このサイトに掲載されているエンジンの記事にエンジンの出力曲線や各種条件での回転数が記載されていることがあります。これを見れば背圧が強くなったら(マフラーを付けたら)エンジンの出力特性がどう変わるかが分かります。

 こちらはModel Airplane Newsの1977年4月号に掲載されたENYA 60XFの出力曲線です。ENYA最初のシュニューレエンジンですね。
 馬力はマフラーなしで1.6PS弱、マフラー付きで1.4PS弱、馬力は1割くらい落ちて最高出力が出る回転数が16,000r.p.mから14,700r.p.mくらいに下がっています。
 マフラーは1室構造でバッフルが入っていないし尾管の内径は記事によれば10mmと大きいのでかなりうるさかったと思います。

 こちらはRadio Modellerの1975年9月号に掲載されたOS 60 FSRの出力曲線です。フロントハウジングとシリンダーブロックが分かれている初期型です。
 マフラーなしのときの馬力はENYAと同じようなものですが、マフラーを付けたときの馬力の落ちが大きくなっています。最高出力が出る回転数は落ちていることは落ちているのですが16,400r.p.mくらいから15,800r.p.mくらいとENYAほどではありません。どうしてでしょう?
 記事によればOSのマフラー尾管の内径は7.5mmとされていますから尾管の排気流路の大きさは、面積比ではENYAの約半分です(約79平方mmに対して約44平方mm)。マフラー付きのときの馬力の落ちはその影響でしょうか。


 最高出力が出る回転数の落ち方がENYAとOSで違うのが気になりますが、掲載紙は違うものの記事を書いた人は有名なピーター・チン氏ですから信用できるんじゃないかと思います。


 Model Engine Testsで調べると、どんなエンジンでもマフラーを付ければ最高回転が出る回転数は下がっています。当たり前の話です。
 マフラーを付けたら回転が落ちた、そこでマフラー付きでも回転が落ちないように小さいプロペラを付ける、ということをしても意味はないということです。

 ENYA 60XFの出力曲線で見ればマフラーなしの最高回転数の1,600r.p.mを出そうとして小さなプロペラを使うと空回りの状態になって1.6hpから1.3hpに落ちます。


 直観どおり低い回転数で回さざるを得ないようですから取説に書いてあるプロペラの中で最も負荷の大きい(ダイヤとピッチが大きい)プロペラで回すことにします。大きいプロペラで回す、回転数が落ちる、音も小さくなるという効果もあるはずです。


 と、素人がゴタクを並べていますが実際に試してみないとわかりません。プロペラを変えて垂直上昇での引っ張り具合を確かめるという「科学的な」方法で確かめます。

NGH GT9-Proで検証

 持っているガソリンエンジンのうち、NGH GT9-Proを乗せたこてるNGHは垂直上昇がやっとです。ということは力の出方の差が分かりやすいということなのでこれで実験することにします。

 テストに使うプロペラですが、上からAPC11×6、J.X.F.12×6、J.X.F.13×6です。
 NGH GT9-Proの取説によればお勧めのプロペラは11×6、11×7、12×6です。取説から見れば13×6はオーバーサイズですが13×6で回すと推力が強くて良いということをYouTubeのコメントで教えてくれた人がいますから試してみます。
 地上運転での回転数は次のとおりです。
APC 11×6: 9,800 r.p.m~ 9,700 r.p.m
JXF 12×6: 8,800 r.p.m~ 8,700 r.p.m
JXF 13×6: 7,900 r.p.m~ 7,800 r.p.m

 写真は左から11インチ、12インチ、13インチの順です。1インチ増えるごとに1,000r.p.mくらいずつ落ちています。回転数が落ちると低周波になることもあって音はかなり小さく感じます。写真では12×6の数字が「086」ですが高速ニードルを調整すると一時的に9,000r.p.mまで出ました。

飛ばしたら?何回転で回せばいいの?

 NGH GT9-Proの取説では最高出力は1.2HP/13,000r.p.mになっています。フン詰まりのマフラーを付けて最高回転が出る回転数が12,000r.p.mに落ちるとすると地上運転ではその9割くらいの10,000~11,000r.p.mくらいで回るプロペラがよさそうです。
 ということは11×6の方がよさそうですが飛ばして見ると12×6との差は感じられませんでした。
 13×6ではプロペラの先端が地面すれすれになって離陸滑走でプロペラを擦りそうな感じなので飛ばしませんでした。


 静かに感じられる分12×6の方が良いなという感じです。

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