バブレスタンク 長所と留意点
バブレスタンクの取説はテトラのサイトに掲載されていたので商品に付属していた説明書は捨ててしまいました。
今回記事を書こうと思ってテトラのサイトを探したらもう掲載されていません。別のブログ記事でも書きましたが模型店にも入ってこないとのことですから製造中止になったのでしょうか。
説明書を使って記事を書こうとしたので困ったことになりました。記事が文字ばかりになります。
入手の可能性が無くなった製品について書いてもしょうがないとも思いましたが使用感などをグダグダとつづっていきます。
仕組みと長所
バブレスタンクは、タンクの中に耐グロー性がある風船(バルーン)が組み込まれ、バルーン内に空気を含まない燃料だけが入り、タンクの外殻とバルーンの間の空間にプレッシャーをかけて又は外気に開放し燃料を供給するという仕組みです。
給油口から燃料を入れるだけでは空気がバルーンに残る可能性がありますからバルーンの中の一番高い所(出っ張りがある)にシリコンチューブを被せた空気抜きパイプを持ってきて泡を押し出すか抜き取るようになっています。
バブレスタンクにはいろいろと長所があります。
① バブレスだけに、泡を噛むことによるエンジンの息つきやエンストが回避できる。
② 燃料の消費につれてバルーンの長さや高さが変わることなく潰れる形でバルーンの容積が減っていくので、燃料消費による液面の変化が事実上ない。もちろんギリギリまで燃料を使ってバルーンの弾力に逆らって燃料を吸い込むレベルでは供給が苦しくなります。
図にすると分かりやすいかな?満タンでも空に近い状態でも液面は変わらないということです。
また、姿勢の変化による燃料供給の変化は避けられませんが、普通のクランクタンクでは満タンのときと空に近いときの液面差の影響が大きくなるのですがバブレスタンクでは満タンと空に近い状態での液面に差が生じないので姿勢変化による燃料供給の影響が少なくなります。
キャブレター(のスプレーバー)の位置と液面の差は変化しても、バブレスでは液面の高さが変わらなので影響が緩和されるということです。
③ 排気プレッシャーを使っても排気はタンク内の外隔とバルーンの隙間に入り、バルーン内は燃料のみのままであるため、排気に含まれる水、廃油、各種生成物が燃料に混ざらない。
見逃されがちなバブレスタンクの利点は③です。前の記事に書いたとおり、普通のタンクでマフラープレッシャーをかけてエンジンを回すと、タンク内の燃料がどんどん汚れていくのがわかります。
バブレスタンクを使うようになって、エンジンを運転すると結構な量の水、廃油、その他がタンクに送られてタンクの外側とバルーンの間に溜まることが確認できます。
③の排気プレッシャーと燃料が物理的に遮断されていることには副次的効果もあります。エンジンの回転を下げるなど、排気プレッシャーが弱くなった時、タンク内の空気(実際には排気)はマフラーに戻ります。普通のクランクタンクでは背面飛行時など、排気プレッシャー用のパイプが燃料につかっている状態では、空気ではなく燃料がマフラーに戻ることになり、燃料に無駄が生じます。また、給油の時にマフラー内に燃料があふれる(独立した空気抜きパイプを使うときはそのパイプから燃料が噴き出す)ことがなく、結果として燃料の無駄がありません。バブレスタンクには経済的効果もあるわけです(みみっちい)。
短所:給油と空気抜きが面倒
給油の際、バルーン内の空気を抜く作業が手間です。
僕は250ccの洗浄ビンを改造したポンプで給油、空気抜き、残った燃料の抜き取りをしています。というか、こういうものじゃなきゃ無理じゃないかと思います。
パイロンをやっている人が大きなシリンジで給油や抜き取りをしていましたが、それよりは安価です。
僕が使っている手押しのポンプです。僕はやったことがないので何とも言えませんが手回し又は電動のポンプで給油や抜き取りをするのは非常に面倒くさいんじゃないでしょうか。
丹菊モデルクラフトの取説には、バルーンが破れる可能性があるから空気抜きパイプから燃料を抜くなと書いてありますが、僕は20年以上給油も燃料の抜き取りも空気抜きパイプから行っていて問題はありません。押しつぶされた洗浄ビンが元に戻る程度の吸引力ではバルーンが破れることはないようです。バルーン内の燃料に混入した空気は、空気抜きパイプから燃料を給油する最後の段階で泡が戻らなくなるまで洗浄ビンを握ったり緩めたりすることで抜きとることができます。
余った燃料の抜き取りは、機体を裏返して空気抜きパイプがタンクの一番下になるようにして抜き取っています。
短所、バルーンと外殻の間の排油の処理
この写真はテストベンチでバブレスタンクを使った後の写真です。1タンク分まわすとこれだけの廃油が貯まります。廃油の色がものすごいことになっているのは自作の燃料だからです。
この時は高速運転を多くしたのでタンク(の外殻とバルーンの間)に入った廃油は未燃焼の燃料であまり希釈されていないため粘度が高くてどろどろです。
この状態になるまで廃油が貯まると、排気プレッシャーのタンク側の出口が廃油につかり、チューブの中に廃油が入っている状態になります。するとプレッシャーが導かれる経路の抵抗になって高速運転で燃料供給が足りなくなります。
ベンチからタンクを取り外して排出させようとしましたが粘度が高いのでなかなか流れません。
それじゃ困るだろうと思われるかもしれませんが、飛行機に乗せた状態で実際にこれが原因で不調になったことはまずありません。
実際の飛行では常に全開で運用するわけではないので貯まる廃油はある程度未燃焼の燃料で希釈された緩い液体になるので(次の給油でマフラーに戻る廃油はかなり緩いことが分かる)抵抗になりません。
また、スロットルの開閉でタンクの(外殻とバルーンの間の)圧力が変動するにつれて出入りする排気と一緒に液体もマフラー内に戻ります。
飛行機に乗せた状態で燃料供給付則の症状が出たのは、こてる61CXを久しぶりに回したときでした。いつものニードルセットではフルスロットルで燃料供給が不足したので、機首を上に向けたり下向きにして低速・中速の間でスロットルを動かして運転をしていたら詰まっていた鼻が開通したようにプレッシャーが通るようになりました。甘目の混合気由来の緩い廃油で古いオイルが洗い流された感じです。
テトラの取説には給油するときに廃油がマフラーに戻るから特に清掃の必要はないと書いてありました。確かにその通りですが心配なら排気プレッシャーのチューブから燃料をタンク(タンクの外殻とバルーンの間)にいれて粘度の高い廃油を流して置けばよいでしょう。
2サイクルエンジンのベンチテストの機会にバブレスタンクの排油の処理の実験をしてみるかもしれません。