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エンジンの話

 エンジンを潤滑不足で運転すると部品が異常摩耗するとか固着します。ネットで実車の情報を見ると、軽めのものを「抱き付く」、重症なものを「焼き付く」と区別しているようです。ブログなどでは「こういうのが抱き付き」、「こうなれば焼き付き」とかの説が唱えられていますが人によって基準が違うようです。学術レベルの記事では「抱き付き」は使われていないようですね。
 まあ、好きに表現すればいいんでしょう。


 今回はコンロッドの焼き付きの話です。「それは焼き付きではない、抱き付きだ」とかは言わないでください。

コンロッド

メタルが回る?

 別のブログで一台目のENYA 40XZを「ほぼ新品状態のときにコンロッドを焼き付かせ」たと書きましたがそのコンロッドがENYAエンジンの予備品箱から出てきました。


 大端部のメタルの油穴に注目してください。コンロッド大端部の穴は真下にあるのですがメタルの穴は90度くらいずれたところになっています。大端部の穴は貫通していません。メタルが回ったのです。ではなぜ?
 新品エンジンを30分くらい運転した後でばらして各部をチェックしたときに気が付きました。クランクピンには砲金(ですよね)のメタルがこびりついていました。これから考えて、クランクピンにコンロッドの大端部のメタルが焼き付いて、圧入(?)されたメタルが正規の位置からずれたんだと考えました。
 クランクピンにこびりついたメタルをはぎとってクランクピンとコンロッドを組み合わせるとガタはそれほどありませんでした。
 こういう現象は使っている本人が気が付かないだけで結構起きているかもしれません。実際、分解してチェックしたので気が付いたにすぎず、気が付かなければ回しているうちにメタルが荒れたところがなじんで支障なく回っていたと思います。


 経験上、大端部の穴が楕円形になっていることが目で見てわかるほどになっても平気で回るので焼き付いたコンロッドも大丈夫だろうということでアルミの部分に開いている穴をガイドにして油穴を開け直しました。とはいうものの高額な部品でもないので新しいコンロッドを手持ちの40Xと35X用の予備と含めて合計3本注文しました。焼き付いた方も製品が生産中止になって部品供給ができなくなることに備えて保管しておくことにしたと思います。だから予備品箱に入っていたのでしょう。

コンロッドを磨く、自己満足だけどね

 届いたコンロッドを磨いてみました。「4.0→3.8」と書いてあるのは削ったり磨いたりしたら4gから3.8gに重さが減ったということです。こういう風にメモしておくと10年以上前にしたことでも思い出すことができます(さりげなく自慢)。

 こんな具合の仕上がりです。手作業の割にはきれいです(自己評価)。コンロッドの強度が落ちたら困りますから強度に関係のなさそうな角のところを削りました。ENYAのコンロッドは鍛造?の型の跡が付いているので表面もピカピカにしました。
 運動するもののマスを減らすことに害はないでしょうしENYAのコンロッドはごついので強度的には大丈夫でしょう(多分)。こういうことは自己満足でしょうがこのほかの細かいことも積み重ねればトータルで100 r.p.mくらい回転が上がるかもしれません。
 エンジンが回らなければ話にならないボートをやっている人の話ではピストントップの裏側やスカートの内側を削ることまでするそうですからそれに比べれば可愛いものです。

コンロッドのオイル穴

 コンロッドに付いてもう少し。
 コンロッドの大端部と小端部には油穴が一つか二つ開いています。Uコンをやっていた頃はそういうエンジンは大型(30クラス以上)の高級エンジンでした。

 高性能エンジンで有名なアメリカのJett Aerotecchというエンジンメーカーの社長(設計者)のDub Jett氏の気になる発言がありました。
 同社のエンジンのコンロッドは遊びを大きくとってあり、小端部にも大端部にも油穴やオイル供給用のスリットは付けていないそうです(実物は見たことありません)。
 その理由は、大端部と小端部の軸受けの広めの隙間がクランクピンとピストンピンの動きにより開いたり閉まったりしてポンプの作用が生じオイルを吸い込んだり吐き出したりするからだそうです。Jett氏によれば模型エンジンの寸法では油穴やスリットの必要はなく、そんなものを付ければ強度が落ちるだけだそうです。
 大端部や小端部に小さな穴を開けても強度が落ちるとは思いませんが一理ある話です。工賃が減ってコストの削減にもなります。


 申し訳ありませんがこの話は印象に残ったので記憶に残ったのですが資料源を提示できません。アメリカのUコン関係のYouTubeチャンネルでのDub Jett氏へのインタビューの動画の中で聞き取った話です。YouTubeのどこかに存在しているはずです。

OSエンジンのスラストワッシャ

 エンジンの棚卸しをしているとワッシャが出てきました。

 OSの2サイクルエンジンにはドライブワッシャとフロントベアリングの間にスラストワッシャという鋼鉄のワッシャが入っています。分解図の11ですね。

 調べてみると保管中の25FXで左側のように鉄のワッシャの内径をリーマーで9mmに広げて正規のスラストワッシャの代わりにしていました。いつかの時点でスラストワッシャをなくしたので苦肉の策を講じたのです。
 今日になってなくしたはずのスラストワッシャが出てきたということです。正規の部品が見つかったのでクランクシャフトのすぐ横の正規のワッシャに戻しました。


 OSの2サイクルエンジンのスラストワッシャはドライブワッシャの端面がフロントベアリング外輪に触れ合わないためのスペーサーの役目とドライブワッシャの摩耗防止の役目を果たしているのでしょう。
 スラストワッシャを実際に一度はなくしたのですから余計な部品は使わないでもらいたいものです。飛行場でプロペラを交換する、その時にドライブワッシャと一緒に(ドライブワッシャに貼りついて)スラストワッシャも外れる、スラストワッシャがどこかに行ってしまう、という事故が起きそうです。


 25FXの2代前?の25クラスで初のシュニューレエンジンの25FSRではこれに加えてクランクシャフトの前の方の端面にもアルミのワッシャが入っていて、前の鋼鉄のワッシャと後のアルミのワッシャを介してドライブワッシャとクランクシャフトがフロントベアリングの内輪を挟む仕組みになっていました。
 当時はENYA 19Xや21Xと比べて無駄に凝った作りだなと思いました。今でも思っています。


 ENYAのエンジンにはこういうものは入っていません。ドライブワッシャのエンジン側に段差があってフロントベアリングの内輪をドラブワッシャの端面とクランクシャフトの端面で直接挟む仕組みになっています。こちらの方が明らかに簡単ですし、部品をなくす心配がないという点で安全な気がします。OSの4サイクルもこの作りですよね。


 ただし、ENYAのようにスラストワッシャを省くことには不都合なところもあります。

 これはENYA 41-4Cの2代目のドライブワッシャで、20ℓくらい回した状態です。ドライブワッシャ中央の一段盛り上がった、フロントベアリングの内輪に当たるところがフレッチング摩耗していることが分かります。
 2サイクルエンジンではこうはなりませんが4サイクルエンジンではトルク変動が激しいためかドライブワッシャとフロントベアリングの内輪が接触するところが目で見てわかるほど摩耗します。
 ENYA 41-4Cの1代目のドライブワッシャは「傾いてるんじゃないか」と思えるくらい摩耗が激しくなったので30ℓくらい回したところで交換しました。ENYA 53-4Cでは0.5mのアルミでワッシャを作って噛ませていました(OSと同じ)。

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