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模型用ガソリンエンジン用オイル、JASOのグレード

 僕は模型用のガソリンエンジンは2台しか持っておらず、使い始めてから2年くらいしか経っていません(若いころに2ストの原付バイクに乗ったことがあり、チェンソーや刈払機の経験は多少ありますけど使っただけでいじったわけではありません)。
 そんな僕が混合ガソリン用のオイルについてあれこれ言っても説得力がないのですが、ネットで調べた情報や乏しい自分の経験を共有する意味で記事にします。 

JASOのFD級なら高性能というわけではない

 NGH GT9-Proの取説にはJASOのFD級のオイルを使えと書いてあります。低品質のオイルを使われてエンジンを壊されては困るからでしょう。
 でもFD級なら絶対に安心なのでしょうか。


 僕が愛用している通販のモノタロウのサイトには基本的な技術情報を説明するページがあります。購買者に対する配慮が感じられて好感が持てます。

 モノタロウのサイトでのJASOのグレード(等級)の区分の説明ではFD級のオイルが最高品質だとされています。FBの潤滑性、清浄性に加えてFCの排気煙、排気系閉塞性が加わり、FDになってさらに清浄性が高まったので総合的に最高品質であることは間違いないはずですが、おかしなことがあります。
 同じモノタロウのサイトでの実際のオイルの価格を調べてみます。信頼できる銘柄なら価格は品質・性能に比例すると考えていいと思います。

 モノタロウのオリジナルブランドの汎用の半合成油のFD級オイルは1ℓ 629円。お買い得価格です。スズキのFC級の鉱物油より安価です。

 ヤマハの半合成油のFD級オイルは1ℓ 1,090円、バイクメーカーの純正品だけあって高くなります。

 ヤマハの化学合成のFC級オイルは1ℓ 1,990円です・・。あれ? 同じメーカーのFC級なのにFD級より高いですね。


 JASOの等級を知らない情報弱者は「高けりゃ高品質」と誤解して1,990円でヤマハのFC級を買い、FCとFDの違いが分かる情報強者は629円でモノタロウブランドのFD級を買う・・・ということにはなりません。
 ヤマハの販促資料によればオイルとしての性能はお値段の順番になっていて、JASOのグレードには従っていません。ただし、モノタロウブランドが本当にものすごい性能を持つ優れモノである可能性はないことはありません。


 チェンソーのSTIHLの純正オイルでも似たようなことになっています。
 カタログでは普及品のHPがFB級、高級品のHPスーパーがFD級と等級が上がりますが、最高級のHPウルトラはFB級に下がります。

 手持ちのHPウルトラのパッケージを見ると、完全合成(Fully synthetic)、生分解性(Biogradable)とは書いてありますがFBであるとの記載はありません。マーケッティング上の考慮でしょうか。

JASOのグレードは環境への配慮が基準

 日本自動車技術会規格を調べると「2サイクルガソリン機関潤滑油性能分類(JASO M 345 : 2018)の規格利用マニュアル」が見つかります。

https://www.jalos.or.jp/onfile/pdf/2T_2018_JV1912.pdf
 FB、FC、FDは2サイクル油の性能のグレードであり、「基本的考え方」によればグレード分けに使う性能とは排気煙、排気系閉塞性、清浄性能です。 
 各グレードの基準指標を見ると潤滑性と初期トルクの基準指数はFBからFDまで同じ「103」と「98」ですが清浄性、排気煙性能及び排気系閉塞性の基準指標はFBからFDになるにつれて高くなっています。
 つまり、FB、FC、FDの順で排気煙が少なくなってカーボンが貯まりにくくなり、エンジンの汚れが少なくなって環境負荷が低くなりますが、潤滑性や初期トルクの指標はFBからFDまですべて共通です。
 潤滑性(エンジンが良く回って摩耗が少ない)の指標が110のFB級オイルであれば103ギリギリのFD級オイルより潤滑性が良いということです。


 ヤマハの化学合成油で高価(高性能)なFC級のオイルは、清浄性だけがFD級の指標に達しなかったのでしょう。半合成油でスモークレスが売りのお買い得なオイルは全ての指標でFD級に達しているが、清浄性以外の指標ではFC級の化学合成油に劣っている可能性があります。

 STIHLのサイトによるオイルの比較はこのようになっています。それぞれの指標でHPウルトラが最高です。でも表の中に排気煙性能に関する指標はありません。HPウルトラは煙が多いからFB級どまりになったのかもしれません。


 ホームホームセンターの農機具売り場のオイルの棚にはバイク用のFC級より安いFD級が並んでいます。モノタロウブランドのFD級オイルもその一種かもしれません(供給元が同じかも)。農林関係では煙が沢山出たり、カーボンがたまるオイルは嫌われるようです。背中に背負ったり、手で扱う道具から煙がモクモク出たら閉口だし、手入れの負担はかけたくないですよね。
 もっとも、農林関係のブロガーやユーチューバーはあまりに安いFD級オイルは使わない方が良いと警告しています。特にスクーター用のスモークレスオイルは使ってはならないというのは農林関係では共通認識に近いような感じです。

JASOのグレードを判断材料にしない

 サーキット用とかのオイルにはJASOのグレードを取っていない製品もあります。シーズンごと又はレース(ヒート)ごとにエンジンをばらすレースの世界では、煙がモクモク出ようがカーボンが溜まろうが、潤滑性が良くてエンジンが回るオイルなら良いということでしょうか。ひまし油やひまし油を配合したオイルもレースに使われますが、これらは清浄性、排気煙、排気系閉塞性の観点からはJASOのグレードは取れないでしょう。


 結局JASOのFDだから模型エンジンにとって良いというわけではないと判断しました。

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