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無人航空機登録、転写シールと水性塗料転写法による登録記号の記入

無人航空機登録記号を表示しなければならない

 改正航空法の無人航空機関連の政令・省令は今年(令和4年)6月20日施行のようですからそれ以降は無人航空機登録記号を表示しなければなりません。
 6月20日以降は表示していない機体を飛ばすとどこからか「ドローン警察」のような者が現れて取り締まりを受け、懲役1年又は50万円以下の罰金を科せられるという事態が予想されます。
 というのは冗談で、国交省がそんなことをするほどヒマだとは思いませんが、ラジコンに悪感情を抱いている人が国交省に通報するかもしれません。「航空法違反だ」と言われれば申し開きはできません。立場を変えればラジコン機の騒音に悩んでいる住民にとって強力な手段ができた形です。
 僕はこの期に及んでは無駄な抵抗をせず、現在事前登録の状態の7機への記入作業を始めました。


 国交省航空局の「無人航空機登録要領」(「要領」)を見てみましょう。

 ちょっと脱線です。新作機を作っても「飛ぶことが分かってから登録したい」という人がいますし、僕もそうしたいのですが「要領」に「航空の用に供する前に」と書いてあるので、飛ぶかどうかわからない機体でも初飛行(試験飛行)の前に登録記号の交付を受け表示しておかなければなりません。


 「要領」によれば、登録記号は25㎏未満の機体なら縦の高さが3mm以上の文字で機体のどこか1カ所に表示すればよいことになっています。
 表示場所は、「胴体のうち、容易に取り外すことができない部分の表面であって外部から容易に確認できる場所」であって、「ドライバー等の工具を用いずに取り外すことのできない場所」とありますから胴体の側面等に記入することにします。「オレの機体のハッチはねじ止めだからハッチに書く」というようなへそ曲がりなことはしません。
 僕の機体の多くは工具なしで主翼を取り外せるようになっているし、「要領」では「胴体」と明記されているので主翼に表示しちゃいけない(しても良いかもしれないが表示しても意味がない)ような感じです。ラジコン機の主翼はマルチコプターのローターと同じ機能を果たすものですから国交省的には無人航空機の本体ではないのかもしれません。
 無尾翼機なら主翼に記入するほかないでしょうけど。

何を使って表示(記入)するか?

 表示要領は耐候性があってはがれたり消えたりしなければ自由です。マスキングして塗装しても、シールを作って貼っても、テプラを貼っても、油性ペンで手書きして透明な荷造りテープで保護する程度でも大丈夫です。
 今回は文字と数字しか記入しないので手持ちの材料で(新たなものを買わずに)、簡単にできる手段がないか検討しました。


 昔(30年近く前)、子供の持ち物に名前を書くためにテプラを買いました。数年前に電池を入れたら動いたので期待しましたが、テープが品切れでした。テープがあればこれを使いたかったのですが残念です(テープは結構高い)。


 テプラ以外の手持ちの材料でどうにかならないか探しているといろんなメーカーのデカールが出てきました。今となっては懐かしいですね。2.4ギガになる前の最高峰はPCM1024でしたよね。5012というのもあったような気がします。MKのキットは買ったことはあるしパーツは愛用してました。カルマートはまだ元気に世界中を飛び回ってますけどKyoshoがああいう状態になるとは想像できませんでした。ヒロボーも模型はゴム飛行機しか作っていないようです。
 こうやって感慨にふけっていると作業が進みません。ところでデカール、シール、ステッカーの違いは何でしょうか?調べりゃわかるんでしょうけど。


 インレタって覚えてますか? 商品名なのか一般的な名前なのかわかりませんが、カセットテープのケースとかに貼ってました。今でも画材屋さんで手に入ります。僕は機体に自分の名前を記入するのに愛用していました(機体に名前を書いておくと自分の名前を覚えてもらえます。よく使う文字が無くなったのでインレタは使わなくなりました)。文字だけ転写されるので段差がほとんどできない上に、上から薄めにウレタンのクリヤを吹いておけば耐久性は十分です。残念ながら今回交付された記号では、JとかUとか同じ文字・数字の繰り返しが多いのですべての機体に貼るには間に合いません。それに1文字ずつ転写していくのは気が遠くなります。
 使いかけの赤や黒のシートがありますが、12桁の文字を7機分切り出すのはものすごい作業量になります。
 右のほうに腕にタトゥーシールを貼ったサッカーファンらしきお姉さんの写真をパッケージにした製品が写っています。何を思って買ったか覚えていませんがOA用品を出しているA-Oneのハガキ大の転写シールの白地タイプです。これを使うときがついに来ました。

転写シールによる転写

 

 この転写シールはインクジェットプリンター用なので買ったのだと思います。ネットの紹介動画ではクッキリハッキリ印刷されているんですが僕の設定が悪かったのかインクがにじみました。

 転写シールはEPP機に貼ることにしました。接着面の透明の保護フィルムをはがして対象に貼り付けます。赤の塗装をしてあるところに貼ることにしましたが、貼りつけるところをメタノールで拭いたら色が抜けてぎくりとしました。オフィスクリーナーで拭いた方が良かったですね。

 写真を見ると斜めになっているのが分かりますがやり直しは効きませんからあきらめます。相手がEPPですからゴシゴシこするわけにはいきません。ソフトに押して密着させて裏紙を水で湿らせます。

 水が浸み込むと紙をずらすことができます。シールの本体が破けないように慎重にずらしていきます。

 印刷された品質そのままで転写されています。印刷が上手くいけばかなりの品質の製品ができるでしょう。張り付けた直後は柔らかくて「大丈夫か?」という感じですが、完全に乾けばしっかりします。普通のシールより薄くてプラモデルのデカールのような感じです。段差はわからないレベル、EPPのビーズのデコボコにも追従しています。結構使えそうな感じです。
 今回のは透明シールではなく白地タイプですが、うっすらと下地の赤が透けて見えます。これはしょうがないでしょう。また、表面はつるっとはしておらず、細かい凸凹がありますから気になる場合は上塗りが必要です。
 無人航空機登録要領によれば耐候性が必要ですから保護のために透明な荷造りテープを貼ります。
 転写シールをEPP機に使って調子が良いのでモーターグライダーにも使いました。モータグライダー「ルフト改」の胴体はつや消しの自衛隊色ですから水性ウレタンを使うとそこだけテカりますし、黒や赤の字では目立たないからです。


 この製品の使い方はネットにたくさん紹介されていますから詳しくはそちらを参考にすることをお勧めします(丸投げ)。

水性塗料転写法による転写

 EPPの機体とグライダー以外の5機には別の記事、「ラジコン飛行機にロゴを転写 ステッカーとは違うやり方」に書いたやり方で転写していきます。今回このやり方を「水性塗料転写法」と名付けました。

 パワーポイントで原稿を作ります。登録記号がどの機体に対応しているかが分かるように機体の名前も原稿に書いてあります。左上のテキストボックスを反転させたものをA4の紙いっぱいに3組コピーしました。これで2回までは失敗できます。


 登録記号は個人情報でしょうが、僕のような凡人を登録記号をたどって特定するような暇人はいないでしょうし、特定されても困りませんからそのまま公開します。


 コンビニのコピー機はパワーポイントを認識できないようなのでPDF化したデータをUSBに保存しコンビニのコピー機で印刷します。1枚50円でカラー印刷してから「しまった。モノクロで良かった(1枚10円)」と後悔しました。

 よくよく見ると、普通の文字はくっきりと印刷されましたが反転させた文字の印刷精度がよくありません。どうしてこうなったのか僕のIT知識では分かりません。今回のように高さ6mmくらいの文字では気になりませんがスケール機に細かい字で「非常脱出」「プロペラ回転面」とか書くときは問題になるかもしれません。


 段差が目立たないように余白を最小限にして切り出します。


 対象物側も余計なところに水性ウレタンが付かないようにマスキングします。


 原稿の印刷面と対象物の両方に水性ウレタンをムラにならないように塗ります。今回は塗る面積が小さいので綿棒を使いました。乾いた紙に水性ウレタンを塗ると紙が反るので原稿はわずかに湿らせてから水性ウレタンを印刷面に塗ります。
 印刷面のインクの層にウレタンが染み込むことが重要です。ムラなく塗れて原稿の紙がしっとりしたら印刷面を下にして対象物(胴体)にセットします。

 インクの層が対象物にしっかり写るようにきちんと密着させます。紙が柔らかくなっているので慎重に行います。最初はこんな状態です。

 JとUの色が変わっているのが分かりますがインクの層が密着した目安になります。湿って柔らかくなった原稿を指の腹で対象物側に押し付けていくとだんだんこうなります。

 こんな具合に原稿が一様に半透明になったら余分な水分を吸い取って、

 マスキングテープをはがします。
 同じ作業をすべての機体で行いますが、記入はサクサク進みます。箪笥の上から飛行機を降ろしたり戻したりする方が手間がかかりました。


 失敗例をご覧に入れます。インクの層にウレタンがちゃんと染み込んでいない、原稿が完全に密着していない、水性ウレタンが完全に固っていない、とかのためにインクの層が対象物に食いついていない場合、こんな感じになります。「J」の下の部分は転写されていますが「U」の下の部分が転写されていません。失敗した場合は紙をはがしてメタノールを含ませたペーパータオルなどでゴシゴシこすればインクと水性ウレタンを除去できます。


 完全に乾いたら紙を湿らせて指の腹で力を入れずにこそげ落とします。慎重にしないとインクの層まで落ちてしまいます。


 別の機体の例ですが、色が抜けたところがあります。真ん中よりの「6」の字の下のように一部が欠けているレベルなら「ステンシル風で味わいがある」と言えますが、「E」くらいまで色が抜けたら黒のペンなどで修正します。
 対象物の表面は色絹にクリヤドープ仕上げです。文字の周りに水性ウレタンの膜ができているはずですがほぼ分かりません。

 この程度までかすれるとやり直した方が速くなります(やり直しました)。つるつるの表面には食いつきが悪いようです。


 水性塗料転写法ではウレタン塗料が浸みこんだ紙の層が薄く残るため転写しただけでは出来上がりがザラザラになります。また、燃料が付いた手で触ると文字が消えますから上塗りが必要です。今回は透明性の高いエポキシでコートします(2液性ウレタンを吹き付ける道具を準備するのはちょっとね・・・)。

 ボンドの30分硬化型の接着剤を使った結果、こうなります。あえて余白に乗ったエポキシ樹脂が分かるように撮影しましたが離れてみれば気になりません。知らないで見ればシールのように見えます。

水性塗料転写法の評価

 今回、水性塗料転写法でいっぺんに5機分記入しました。最初の1機目と2機目はやり直さなければなりませんでしたが、3機目以降になると技量が上がっていきました。
 テプラのテープがあればテプラでシールを作っていたところですが水性塗料転写法にしたためかえって高い品質のものができました(僕の個人的感想)。
 水性塗料転写法は、コンビニへの往復、水性ウレタンの乾燥時間がかかりますが、原稿作成を含めた作業時間そのものはわずかなものです。1文字ずつ切り取って貼り付けたりするのに比べてはるかに能率的です。しかも今回のような黒文字なら1枚10円でコピーできますからきわめて安価です(もちろん塗料、紙、接着剤はただではありませんが手持ちが流用できます)。


 現在の水性塗料転写法ではインクの抜けができたりしやすいのでもう少し簡単かつ美麗に(しかも安価に)できるように研究したいと思います。


 似たようなことをしていて「オレの(わたしの)やり方ならもっときれいにできる」という方はぜひご教授願いたいと思います。


追記:プロッターでシートを切り取って作ったロゴを機体に貼っている人がいます。「息子に作らせた」とか「知り合いに頼んだ」とかして作ったそうです。業者に発注することもできます。
 画像を転写するのではなく文字や数字のステッカーを作るのならそちらの方がきれいだし簡単でしょう。でもこうやって工夫するのが楽しいんですよね。

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