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模型用ガソリンエンジン用オイル、ならし運転には鉱物油を使え?

 エンジンの慣らし運転には鉱物油を使うという話がありますが皆さんご存知でしたか?
 僕を含め僕の周りでもならし運転を鉱物油でやるという話は誰も知りませんでした。皆さん一様にお金の問題がなければ合成油の方が良いといってます。

ならし運転に鉱物油を使うのは必須ではないが・・

 RCGFシリーズの取説にはならし運転中は良質な鉱物油を使えと書いてあります。初めてこれを読んだときは「なぜ?」と思いました(今でも納得していません)。
 僕が持っているもう一台のガソリンエンジンであるNGH GT9-Proにはそんなことは書いてありません。
 オーストラリアのDAエンジンを扱っているRCデポのサイトでは「ブレークインから通常使用までレッドライン(高級で高価な完全合成油)を40:1で使用して下さい」と書いてありますし、ウェブで公開されているDAエンジンの取説を見てもならし運転に鉱物油を使えとは書いてありません。
 RCGFの日本の取扱業者に問い合わせると燃焼温度の関係で鉱物油が良いという話もあるが合成油でも問題はないと言われました。

ならし運転に鉱物油を使うという考え方はある

 それではRCGFの取説だけが鉱物油を使えと言っているのかと言えばそうでもありません。
 ハーレーダビットソン関連のサイトでは慣らしには同社純正の鉱物油を使い、3000マイル以降、合成油に替えろとされているそうです。ハーレーダビッドソンについては一次資料には当たれませんでしたし、なぜ鉱物油なのかの説明も見つけられませんでしたが伝聞としてそういう情報を聞きました。
 車やオートバイのオーディオシステムを販売している人のブログにBMWのモーターサイクル(意識の高い人はオートバイでもバイクでもなくモーターサイクルという)のマニュアルに沿ったならし運転の仕方が書いてありました。この人によれば「慣らしの間は鉱物油を使用する。フルシンセなど、潤滑の良すぎるエンジンオイルは使用しない方が良い」そうです。あたりを付けるには鉱物油で摩耗させなければならないということでしょう。この人の推奨するならし運転でのオイルの使用量もすごく、ならしが済むまでに(1000km走行まで)オイルは20ℓは使うそうです。単純計算で50km走るごとにオイルを1ℓ消費するという2サイクルをはるかに上回るオイル消費量になります。ならし運転に高い合成油を使ったらものすごい出費になります。
 ま、このオーディオシステムの人は「サーキット走行以外での慣らし運転は事実上不可能です」と言ってしまうほどです。オートバイ関係の情報には宗教じみたものがあるので(信者もたくさんいる)、僕としてはある程度割り引いて考えることにしていますが(僕の偏見)、グローエンジンでも似た情報を見たことがあります。
 ドイツのWebraの取説に市販燃料には減摩剤が含まれるので慣らしにはひまし油燃料を使えとの記述がありました(現在Webraは廃業しているのでサイトも閲覧できません。僕の記憶です)。
 あたりを付けるため、適度?に摩耗するオイル(ガソリンエンジンなら鉱物油)を使うという考え方はあるようです。

ならし運転用の鉱物油が製品としてある

 自動車の4サイクルエンジン用ですが、ならし運転用のオイルもあります。

 これはマキシマのPerformance Break-inです。基油は鉱物油で、ピストンリングとシリンダーのあたりが速やかに付く一方、ローラー式でないカムシャフトシステムのエンジンのカム周りの摩耗を防ぐために亜鉛系の添加物(ZDDP、ジアルキルジチオりん酸亜鉛(Zinc Dialkyldithiophosphate))を配合しています。

 Royal PurpleもEngine Break-in Oilという製品を出しています。こちらもマキシマと同様、良質な鉱物油でピストンリングのあたりが速やかに付く一方、カム周りの摩耗を防ぐために亜鉛系の添加物を配合しているそうです。
 両方が配合している亜鉛系の添加物(ZDDP、ジアルキルジチオりん酸亜鉛(Zinc Dialkyldithiophosphate))は動弁系やギヤの摩耗防止に役立つようです。ならし運転用の製品にこれが使われるのは動弁系のようにぶつかり合う物同士の摩耗は防ぐけれどもピストンとシリンダーのようにすれ合う物同士の適度な摩耗は妨げないということでしょうか。僕の知識では分かりません。
2022-01-25追記:その他のAms Oil、Lucas Oil company、VP Racingとかのアメリカのオイル業者もブレークインオイル(Break-in Oil)を販売していて似たような説明をしています。シリンダー内壁の加工跡の山を速やかにならしてリングとのあたりを付ける一方でカムシャフトや動弁系の摩耗を防ぐそうです。・・・競技用のオイルを供給している業者の話なのでほんとなんでしょうね?


2022-01-28追記:ZDDP、ZnDTP、ジアルキルジチオりん酸亜鉛(Zinc Dialkyldithiophosphate)について調べていたら、「その効果は経験的によく知られていますが,作用機構や他の添加剤共存下での挙動等は十分に明らかにされておらず今後の研究が期待されます」との説明が見つかりました。使ってみたら効いていることが分かったから使っているんでしょうね。とはいってもならし運転用のオイルにこれを添加する理由は依然不明です。
 ついでに言えば、二硫化モリブデンや有機モリブデンについてもオイルに入れれば効くのは経験的にわかっているけれどもなぜ効くのかの理屈はよくわかっていないそうです。


 情報源は油脂関係の業者の「ジュンツウネット21」というサイトです。油脂関係はこのサイトで調べると勉強になります。

「オートプロジェクト京都」のサイトも役に立ちました。

 素人や胡散臭い人のSNSやブログの情報は信用せず信頼性のある情報源に当たるのが良いですね(「〇〇生活フライヤー」のブログなどは話半分に聞いておくのが良いでしょう)。


 僕や僕の周りの人が知らなかっただけで、ならし運転には鉱物油を使うべきだという考え方があって、ならし運転用の鉱物油の製品もあるわけです。
 とはいってもはいろいろ疑問がわいてきます。
・ならし運転はエンジンの摺動部のあたりを付ける期間だよね?
・早くあたりを付けるのに鉱物油が適しているということは鉱物油を使うと摩耗しやすいということだよね?
・摩耗しやすいということは潤滑性能が悪いということだよね? そんなオイルをエンジンがなじんでいない段階で使ったら焼き付いたりしないの?
・そうか、焼き付かないように気を付けておとなしい運転をするのがならし運転ってことかな?
・合成油でもいずれはあたりが付くのだから鉱物油じゃなくてもいいんじゃないの? お金はもったいないけど。

鉱物油を使うべき理由に(僕は)納得できないけど

 「なぜ鉱物油?」という疑問への回答を探すうちにYahoo知恵袋のようなQAサイトにまで行きつきました。Yahoo知恵袋では、ならし運転の間は回転を上げないのだから高い合成油を使うのは無駄だ、という意見がありました。トンデモ情報ばかりのYahoo知恵袋にしては(僕の個人的評価)説得力のある意見です。


 僕は慣らし運転には鉱物油を使うという理屈に納得できないまま、RCGFの取説に従ってスズキのCCISスーパーの1ℓ缶を買いました。CCISはスズキの分離給油システムに適合するように設計されたそうですが、混合用としても使えると説明されています。なにより安いのがいいですね。
 2022年1月現在でまだ未使用分が170ccくらい残っています(ガソリンは20対1なら3.4ℓ必要)。CCISスーパーを使い切ったらならし運転が終わったということにして合成油に切り替えることにします。
 結局、ならし運転を鉱物油で行うべきである理由が分からないままならし運転の期間が終わろうとしています。


 ならし運転に鉱物油を使うべきである理由を知っている人はいないでしょうか。

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