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OS FS 52S サーパス 吹き返し対策① 対策方針、作業開始

 テストベンチでOS FS52Sを回すとキャブからの吹き返しが大変なことになっていることが良くわかります。別にOSだからではなくENYA 41-4Cでも同様です。

能書き

 クランクケース換気デバイスを作動させると吹き返しがどうなるか予想を立てておきます。
 前のブログの繰り返しですが整理してみます。
燃焼行程:下がるピストンに押されてエンジン内のブローバイガスと混合気(長いので「ミスト」にします)が吸気管に噴出する。吸気バルブが閉じているので行き場がないミストはキャブの外に出るかもしれない
排気行程:上がるピストンに引っ張られて吸気管内に残っている混合気がエンジン内に吸い込まれる。
吸気行程:下がるピストンに押されてミストが吸気管に噴出する。一方、吸気バルブが開くので混合気とミストがシリンダーに吸い込まれる。吸気行程の最後で吸い込み切れなかった混合気とミストが逆流して吹き返しになる
圧縮行程:上がるピストンに引っ張られて吸気管内に残っている混合気がエンジン内に吸い込まれる。
 ピストンが下死点から上に向かう(エンジン内が負圧になる)排気行程圧縮工程ではクランクケース換気システムが吹き返しを増やす要因としては働かないでしょうがピストンが上死点から下に向かう(エンジン内が加圧される)燃焼行程吸気行程では吹き返しが促進されそうな予感がします。
 クランクケース換気システムを作動させれば、通常起きる吹き返しよりも多くなる要素はあっても少なくなる要素はなさそうです。

チャンバーを作ろう

 クランクケース換気システムを使うにしろ使わないにしろ吹き返しへの対策を取らなければエンジンまわりは油まみれになります。


 ところで、実物エンジンでエアクリーナを外した状態でアクセルをあおる様子をアップしている動画があります。

【MJNシステム】マイクロミスティングデモンストレーション
 この動画は吹き返しの様子がどうなっているかを説明するための動画ではありませんが、30秒くらいの所から見れば吹き返しがすごいことになっていることが分かります。

ヨシムラTMR-MJNキャブ 走行中のスライドバルブの映像
 こちらはホンダのS800(まだ動くのがあるんだ!)を実際に走らせた時の動画だそうです。サーキットで走らせたんでしょうか。これだけ吹き返しが出ていればボンネットからガソリンの匂いがしてきそうです。
 実機エンジン(キャブレター式だけでしょうけど)でもスロットルバルブのすぐ上流にはこれだけ盛大に吹き返しています。それでも困っていないのはキャブがむき出しではなくてキャブの上流側にエアクリーナーボックスとかがあるからでしょうね。


 ということでエアクリーナーボックスのような空間を設けて吹き返し(で吹き出る燃料)が外まで出ていかないようにすることにしました。


 ENYA 41-4Cではエンジン側でキャブレターのインレットにアルミパイプとシリコンパイプを付けて、

 それをエンジンルームの外のチャンバーにつながっている穴に突っ込みました。この場合は機体の構造の一部をキャブからの吹き返しが一時的にとどまる空間として利用しています。吹き返しは次の吸気行程でシリンダーに吸い込まれます。
 詳細は「ENYA 41-4C 運用記 吹き返し対策編」をご覧ください。


 今回は機体ができていませんが機体を作るときに余計な工作をしなくても済むようにエンジンに付属したクリーナーボックス的なものを付けることにしました。名前は「吹き返しトラップチャンバー」略して「チャンバー」です。

チャンバーの製作開始

 まず構想?を練ります。

 キャブのインレットの外径は10mmです。これにシリコンチューブで10mmのアルミパイプを付けてエンジンの下側に持っていきます。キャブの口径は5.5mm(実測)くらいですから吸気抵抗にはならないでしょう。このパイプの先端にチャンバーを付けることにしました。

取付ステー

 チャンバーは必要に応じて取り外しができるようにしたいのでエンジン側に取付けステーを付けてそれにアルミパイプと一体化したチャンバーをねじ止めする設計にします。

 材料は手作業で加工できる1mmアルミ板です。


 取付ステーを金切りばさみで切り出し、ラジオペンチと電動のドライバードリル、金工ヤスリで仕上げました。クランクケース後蓋の止ねじでステーを固定するのでエンジン側の加工は不要です。

 チャンバー本体は2.6mmねじ3本で取り付けることにします。受けになるナットを愛用のJBウェルドで接着します。接着剤に荷重がかかるわけではなく、チャンバーとステーはねじとナットで固定されていてJBウェルドはナットの回り止め程度の役割です。

 ナットの回り止めに接着剤を盛ってステーは完成です。ステーを置いてある紙にチャンバーとステーの設計図が描いてあります。

チャンバー本体、型の作成

 チャンバーは上下分割の小さな箱の構造(モナカ構造?)にしました。
 厚紙細工で作ってエポキシで固めるくらいの簡単な細工でも大丈夫でしょうが新工法の研究もかねてFRPで作ります。

 発泡ポリスチレンの「ザ・スリム」で雄型を作ります。まず直方体を切り出して、

 外形を整えていきます。ちなみに取付けステーはこれ以降、付けたままにしておきます。
 いっぺん付けたものは外す必要が出てくるまでは外さない方が良いというのが長年の経験から得た教訓です。

 整形が終われば上下を分割して水性ウレタンで塗装します。乾かしては塗りを繰り返します。
 水性ウレタンが乾く時間がありますから今日の作業はここまでです。


閑話休題、エアファンネル

 OSのウェブページからコピーした画像ですが、左はOSFSα-56、右はFS-62Vです。
 前にも書いたことがありましたが、OS FSα-56をはじめとするアルファシリーズには赤いカプセル型で囲んだとおりエアファンネルが付いています。でもFS-62VとかのVシリーズには付いていないんですよね。
 後から出たVシリーズに付いていないということはどういうことでしょうか。効果はあってもコストの関係で採用されなかったのでしょうか。Vシリーズはマフラーのプレッシャーフィッティングやブリーザーニップルが鋳込みのままとか工数と部品数を減らす工夫をしていますし、そもそもα56よりも62Vの方が定価が安いということを考えるとコストの問題のような気もします(でもロッカー室は2つになるから工数と部品数は増えるよね?)。
 SAITOでもエアファンネルが付いていたりいなかったりしているので気になります。あの長さでも吹き返しの減少に多少は効果があるかもしれません。

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