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「こてる61」の主翼と胴体の修理-2、今どきドープ?

塗装下地作り

 残り少ないドープでの補修を始めます。まず下地作り。

 主翼の補修部分のセメダインCが乾いたのでならします。切り出しをよく研いでまわりの無事な部分とツライチにします。

 まわりを養生してサンドペーパーでならします。


 段差は消えましたが隙間があります。右のほうにミシンの目のように連続して穴があいてますが、マチバリでつついて瞬間を流したところです。木目方向にバルサが割れたのはこうやって補修しました。

 隙間にパテを埋め込んでいるところです。パテはバルサの粉をセメダインCで練ったもので、名付けて「バルサ・セルロースパテ」です。水性パテでは割れ目が埋まるだけで強度は期待できませんが、この「バルサ・セルロースパテ」なら多少肉ヤセするものの強度が出ます。1970年代のラジコン技術(吉岡さんが世界チャンピオンになる前)の記事を参考にした技術?です。いろんなところに使っています。


 埋めたらこんな状態です。強度を確保しつつ隙間を埋めるにはバルサの粉を詰めて瞬間を流すという方法やバルサの粉をエポキシで練ったものを詰めるという手もありますが、ドープで仕上げるので「バルサ・セルロースパテ」にしました。
 絹張りをしないのならこの上にフィルムを張って終わりですが今回はそうはいきません。

使用する塗料

 ドープの在庫を調べました。クリヤドープはガラス瓶にこれだけしか残っていません。しかもシンナーが飛んで松ヤニ状に固まっています。
 ドープの代替になることを期待して釣りのルアーを作るのに使う「セルロースセメント」と言うものを買ってあります。ドープが無くなったらこれを試してみるつもりです。セルロースと言ってもどういうセルロースなのかわかりません。酢酸セルロース(アセチルセルロース)かアセチルブチルセルロースだったらグロー燃料に耐えますが、ニトロセルロース(硝化綿)だったらグロー燃料に耐えないと思います。セルロースセメントによる絹張りは小型機の尾翼でも作るときに実験したいと思います。
 ウレタン用のシンナーはドープには使えませんからアセトンで代用します(東邦化研のエンジンシンナーはなくなった)。アセトンは乾燥が早くてかぶりやすいのですが仕方ありません。ほかに使えるシンナーがあるかもしれませんが貴重なドープで実験する気にはなりません。

 サンディングドープを開けてみるとタルクが下に沈んで透明な上澄みができています。これは使えそうです。

塗装下地作り

 主翼のバルサの部分に水が浸みこまなくなるまでドープ(サンディングドープの上澄み)を塗ります。濃い目を3回塗ったらこれくらいになりました。これにペーパーをかけて滑らかにします。

絹張り

 ロストテクノロジーの世界の作業が続きます。ドープが手に入らなくなった今となっては知っていても使い道がありません。

 絹が乗らない部分にマスキングします。胴体の方は元から塗ってあるドープが接着剤になります。

 主翼の方もこんな具合にマスキングします。絹はもったいなのですがきれいに貼る(張る)ためには大きめに切って絹を貼った(張った)後でマスキングテープの所で余分な絹をトリミングします。

 絹を貼る所に置いて水で濡らします。絹が水に浮かんでスルスル動く状態にして絹目を整えます。

 絹目が整えばペーパータオルとかティッシュで水気を吸い取り、絹を貼り付けます。

 今回はアセトンとドープサイザーで固まったドープを緩めたものを使います。昭和初期にはセルロイドの屑をアセトン(かそれに類する溶剤)で溶かしてニトロセルロースドープを作っていたという記事を見たことがありますが、それをほうふつさせます。
 ドープサイザーはリターダーではありませんが乾燥が遅い(と思う)のでアセトンだけよりかぶりにくいはずです(かぶりにくいことを期待します)。ドープサイザーは使いかけのこのビンのほか、新品が2ビンありますがもう本来の使い道がありません。セルロースセメントの実験のときにでも使います。

 濃い塗料でいきなり張ろうとすると下地と絹の間に塗料が回らず絹と塗料の膜が浮き上がった状態になってしまいます。刷毛に残ったドープがアセトンとドープサイザーで溶けていい塩梅の粘度になったところでチョンチョンという感じで絹の下まで浸み込むように塗料(大部分はアセトン)を絹に含ませ、対象物の表面のドープが溶けて絹の裏側だけが対象物に貼りつく状態にします。これで絹が対象物にある程度固定された状態になるので水気が飛ぶのを待ちます。
 水気が飛ぶと白くかぶることがありますがかぶりの上から薄めの塗料を塗ればかぶりは取れます。この日は湿度が低いのでかぶりはほとんど出ず、できたかぶりも簡単に消えました。
 水気が飛び、かぶりが取れてからトリミングできるようになるまでドープを数回塗って絹を固めます。乾いた状態で絹目は見えるが表面がテカテカしだすまで塗ればトリミングができます。あまり塗りすぎるとかえってトリミングしにくくなります。好みの状態になるまで塗っていきます。

 マスキングテープの上の絹の固まり具合を爪で確認して「できるな」と思ったらマスキングテープをガイドに絹をトリミングします。

 窓の所は絹の上に絹が貼りついている状態になっていますから、下の絹を切らないように注意します。ここでは絹をマスキングテープの縁で折り曲げて、カッターの刃をマスキングテープの上にのせて切りました。

 絹がほつれてしまったところは細かい(この時は800番だったかな?)サンドペーパーで削って処理します。
 マスキングテープを取り去り、ほつれを処理したら絹の周り数ミリにドープが乗るようにドープを塗り重ねます。

 作業の途中ですが主翼の状態です。退色したところと新しい所の差がくっきり分かって「補修しました」感がありありです。

 指で突き破った胴体後部です。結構テカってきました。たるんでいますがドープが乾けばピンと張るでしょう(多分)。今回補修した部分の上の方に絹がよじれたようになっているところがありますが、これは以前補修したときに絹が柔らかいうちに(ドープの乾燥が進んでいないうちに)絹をトリミングしようとして絹を引っ張ったらこうなりました。あせりは禁物です。

 胴体の主翼付け根が来る部分の破れを補修したところです。主翼の後縁が当たったのでしょうか。今回の補修作業中に気が付きました


 この後、ドープを塗り重ねます。燃料や排油が浸み込まず、強度が確保でき、取り扱い上の支障が出なくなるまで、2~3回塗って軽くサンディングするという工程を繰り返します。
 この機体を作った時はかなりピカピカになるまで20回は塗ったと思いますがそこまでやると次の補修に使うドープが無くなりますから今回は美麗さは追求しません。排油が絹目に入らない程度にします。

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