FRP工作、ホイールパンツの脱型、左右の貼り合わせ、形ができた
現在進行中のFRP工作のうち、新工法のホイールパンツの作成です。
雌型の加工
今回は雌型の内側でホイールパンツの左右の半分を貼り合わせる仕組みにするので型から起こした雌型に手を加えます。
まず、左右分割状態の原型を一体化します。
ホイールパンツの原型をはめて左右の雌型を一体化するのですが、ホイールパンツの型の内側にアクセスできるようにホイールが出る穴を開けました。
原型を挟んで左右の雌型を一体化させ、その状態で固定するネジの穴を開け、ねじで組立・分解ができるようにします。
ホイールが出る穴をから内側にアクセスする算段です。これで左右を貼り合わせるときの工作がしやすくなります。
離型処理、積層
いつものとおりワックスを3回塗ってPVAを塗りました。
グラスの積層ですが、グラスの跳ね上がりを防ぐのにねばつく樹脂にグラスを貼りつけて固定するやり方が効果があったのでそれで行きます。
ゲルコート?をごく薄く塗って、指でぎゅっと押して指紋が付く程度まで硬化が進んだところでマイクログラスを貼ります。
マイクログロスに樹脂を含浸させ、それがある程度硬化してからクロスを貼り付けます。
ホイールの出るところやホイールパンツの後ろなどのRがきつい所にもクロスがなじみました。と、この時は思いました。
この状態で表側から樹脂を含浸させるのですが、今回も粘度が高いセメダイン1500を使ったので暖房用のヒーターの上に型を置いて、その状態で樹脂を浸み込ませました。
ヘアドライヤーを使うより楽でした。それに、ヘアドライヤーにエポキシの指紋が付いたら怒られますからヒーターの上で作業する方が家庭の平和を守るのに好都合です。
セメダイン1500は室温が十度台に下がると接着剤並みに粘度が上がります(接着剤だもんね)。ヒーターの上のように40度くらいになると積層用樹脂と似た作業性になります。
「ス」ができないか心配したのですがうまく樹脂が回りました。この時は気が付かなかったんですよね。
これは左側のホイールパンツの内側の型です。脚に取り付けるところはクロスを2枚にしましたが、それ以外はマイクログラス1枚、#200のガラスクロス1枚というヤワな構造です。どうせ壊れるのですから丈夫に作っても重くなるだけです。・・・と思います。
セメダイン1500という代用の樹脂を使ったので積層に時間がかかりましたが4つの積層が終わりました。余分な樹脂はペーパータオルを軽く押し付けて吸い取りました。マイクログラスが製品の表面になるようにしたので樹脂を吸い取ってもピンホールはできていないようです。
脱型
一晩明けて硬化が進んだところで縁を切り取りました。縁を切り取るタイミングは微妙です。ねばつかないけどカッターでス―っと切れる硬さのときを狙います。
4つの縁を切り終わりました。高い技術を持っているモデラーはこの状態で、つまり型から抜かずに左右を貼り付けるようですが、僕はそういう高度なことはしません。縁を切り取った時に離型剤がはがれているところができているかもしれないので左右の雌型が固着する恐れがあります。
いったん型から抜きます。爪で小さな隙間を作ってテレホンカードを差し込むとペリペリはがれます。
4つとも型に食いつくとかの失敗もなく簡単に型から抜くことができました。きれいに雌型を作っておけば塗装しなくても大丈夫なんだなと実感しました。ゲルコート?の効果が実証できたようです。
うまくいったと悦に入っていたのですがPVAを洗い流すと欠陥が見つかりました。
マイクログラスからガラスクロスが浮き上がっているところがありました。マイクログラスにクロスが密着していなかったようです。右の写真はマイクログラスを切り取った状態です(写真じゃわからない)。左右を貼り合わせる工程でここに樹脂を盛って直すことにします。
左右を貼り合わせる
製品を雌型に入れたり出したりして様子をみながら縁をきれいにします。生乾きの段階でカッターで切っておいたのでサンドペーパーで軽くこする程度で雌型のエッジと同じ高さにそろえることができます。
雌型にもう一度離型処理します。ワックス気が残っているのでワックスかけは2回です。
写真の下の雌型は離型処理した雌型に製品をはめ込んだ状態です。エポキシ樹脂は隙間にどんどん浸み込みますから離型処理は広範囲にしなければなりません。
左右の雌型を組み合わせる前にエポキシ樹脂を縁に線状に盛ります。左右を組み合わせてからでは樹脂を塗りこむのが面倒です。こういう細工は粘度の高いセメダイン1500が便利です。
エポキシ樹脂だけでイモ付けしてもバラバラになりそうですからグラスのリボンも用意します。
右側のホイールパンツには樹脂が回っていないところがありますから樹脂を盛っておきます。この状態で型にはめればきれいになるはずです。
製品をはめ込んだ左右の雌型を組み立ててグラスのリボンを樹脂の上に乗せ、樹脂を含浸させます。この時は暖房器具のヒーターで温めながら、樹脂が足りないところに竹串などで樹脂を足し、グラスのリボンをチョンチョンとつついて含浸させます。
しばらくするとクロスの白い所に樹脂が浸み込んで右側の写真の状態になります。
竹串が届きやすいホイールパンツの上側やホイールパンツのタイヤが出てくる穴のあたりは簡単にリボンを貼ることができます。
樹脂でリボンがくっついた状態になればヒーターの上で樹脂の硬化を促進させます。
硬化後、左右の雌型を分解しました。うまくいってればいいのですが。
左右の雌型の合わせ目にテレホンカードを差し込んではがすと片方に製品が残ります。
型に残った製品をはがすと左右がちゃんとつながっています。
ホイールパンツの縁に樹脂がはみ出しているところは大判焼きか鯛焼きのようです。
先端に樹脂が回っていなかったところはどこを直したかわからないレベルで補修できました。
左右を結合するためのリボンですが、ホイールパンツの上側は作業しやすいのできれいに樹脂が含浸していますが下側は型の中に入っていて見えないし竹串を届かせにくいので樹脂が十分に回っていないところがあります。
こうしたところに追加で樹脂を流せばほぼ出来上がりです。
表側は一見したところピンホールとかはなさそうですが色を付けなければわかりません。
ホイールパンツは、脚に取り付けるところの細工とホイールが出るところのトリミングを実際の脚とホイールに合わせてやり、塗装すれば完成です。
原型と雌型はほぼ無傷です。ホイールパンツをまた作るときのために組み合わせて保管しておきます。
雌型ができていれば樹脂の硬化時間を含めて2日くらいでホイールパンツができます。また、今回やった雌型の中で左右を貼り合わせるというやり方は正確で能率的でした。
積層用樹脂の代用としてのセメダイン1500は最初は雌型を作るために使おうと思ったのですが、製品を起こすときの樹脂としても使えるなと感じました。作業性は悪いんですけどね。