FRP製品をいろんなやり方で作る⑥ カウル取付け部の工作
カウルの組立てが終わったので次は取付け部の工作です。
胴体側にはすでに取付け用のブラケットを取り付けてあります。
普通にブラケットにカウルをねじ止めするだけならこのブラケット(ステーというのかな?どちらが正しいんでしょう?)に合わせてカウルに穴を開けるだけでよいのですが、カウルを皿ビスで取付け、カウルの表面、胴体の表面、皿ビスの頭をツライチにしたいので無駄に凝った工作が必要になります。
皿ネジの頭を沈み込ませる分だけ余計に引っ込んでいて、胴体の面より2.7mm内側になっています。
カウル側の加工
この引っ込んでいる分だけカウルを厚くすると皿ネジの頭が隠れる余裕ができるという寸法です。また、カウル側面がペラペラなのでネジが来るところ以外も厚くして剛性を出す効果も期待します。
材料は左の写真のとおりです。カウルの内側に1.5mmバルサ、#200のガラスクロス2枚を重ねます。
元からのカウルの厚さ0.4mmにバルサの1.5mmとガラスクロス2枚の0.8mmが加わって2.7mmになるはずです。寸法が合わなかったら樹脂を足すか削るかしてつじつまを合わせます。
角材を介してクランプをかけて硬化を待ちます。
硬化したらクランプを外して押さえの角材を外します。こういう細工のときの離型のためにはセロテープを使います。
樹脂がはみ出しているのでトリミングをするのですが、カウルがヘナヘナなので雌型の中に押し込んでトリミングします。雌型の縁をガイドにして縁に沿って切り出しを滑らせてはみ出た樹脂やクロスを削り取ります。
これで皿ネジの頭を沈ませる分の厚さが確保できました。
座繰り加工
皿ねじの頭を沈ませる細工をします。最初にネジ穴を開けます。
胴体にあてがってブラケットの穴の位置に合わせて位置を確認して穴を開け・・・、
一旦皿頭のビスでカウルを仮止めし、ビスの頭をガイドにして以前のブログの記事でも登場した5mmの真鍮パイプで作ったパンチ(ポンチ?どっちかな)で座繰りする位置をマークして・・・、
リューターで漏斗状の穴を開けて皿ネジで仮止めして調子を見ます。
まあ、いいんじゃないでしょうか。
これで完成ではなく、皿ネジの下に樹脂を入れて皿ネジがぴったり合うようにするといういつもの細工をしなければなりません。
こういう座繰り風加工するときの注意点があります。
これは20年くらい前に作った機体のカウルです。このカウルでも座繰り加工していますが青の矢印の所でFRPが裂けています。
どうしてこうなったかと言えば、座繰りした内側が木粉入りエポキシ樹脂だけになってしまってガラスクロスの繊維が来ていないからです。皿ネジを閉め込むと穴が広がる力が加わって繊維が入っていないところが裂けたということです。
ということで今回はブラケットに当たってネジ穴が開くところのクロスが2重になるように工夫しました。
右舷側も同じような細工をすると・・・、
カウルが取り付けられるようになりました。
この後は防火壁にエンジンマウントを付けて最終的なトリミングをします。
塗装という面倒くさい工程が残っていますがもう少しで完成です。