もらい物エンジンのチェック ENYA SS35リング、OS52 FS サーパス
ラジコンを引退する人からいろいろともらいました。最近ラジコンを引退する人が多いのは無人航空機登録制度が関係しているのでしょうか。
SS 35 Ring
もらい物の中にエンジンがありました。そのうちの一つのENYA SS35 Ringです。ENYAのカタログからは落ちていますから製造中止の製品でしょう。
OSのラジアルマウントとOS 25SF又はFX用の892マフラー付きです。キャブレターは欠品です。
ヘリ用のヘッドを飛行機に使えるように削っています。プロ用の電動工具は持っていなさそうな人だったんですが何を使って切ったんでしょうか。カナノコで切ったのなら大変な労力です。
リング入りのエンジンが欲しかったので期待して排気口を見るとリング入りでした。このころのエンヤは排気口のマフラー取付け面を機械加工していませんでした。30年近く前に買ったENYA SS25 アルクロームもこんな感じでした。
プラグを付けてみると圧縮はしっかりしていました。どこぞの中国製2ストガソリンエンジンとは大きな違いです。
元の持ち主は器用な人なのでいろいろいじっています。OSのラジアルマウントに載せるためでしょうかエンジン側のラグの取付け穴を外側に広げてあります。
右上の小さ目のワッシャがドライブワッシャの前に入れてありました。エンヤのこのシリーズではドライブワッシャはキーで止めるようになっていますからキーが飛び出さないようにするための工夫かもしれません。19Ⅴ BBTVでキーが外れそうになった経験がありますからこの工夫は継承します。
どんどんばらして各部をチェックします。
燃焼室にカーボンは溜まっていません。
ピストンを抜くと、ありがたいことにコンロッドにちゃんと「F」と書いてくれています。分解・組立てのときに便利です。
ピストンはきれいなもので、あまり回していないことが分かります。ごらんのとおりリングの回り止めが付いていてリングの切れ目はエンジン左後ろのメインポートとブーストポートの間の穴が開いていない所を上下するようになっています。
メインポートに混合気を流すピストンスカートの切り欠きがENYA SS25や35X、40XZに比べて大きいような気がします。
リングを外して竹串でリング溝をきれいにしました。リングに錆が出ていますが力を入れて折れたら大変ですから軽くぬぐうだけにしました。
珍しい加工がしてありました(僕が知らなかっただけ?)。
クランクシャフトを見てびっくりしました。クランクウェブにこんな加工をしたものは見たことがありません。カウンターウエイトが重すぎたから削ったということでしょうか。SS35 Ringはアルミピストンだからこうなっていて、SS30とかの鉄ピストンタイプではこの切り欠きがないとかなら面白いと思います。アルミピストンのENYA SS25 アルクロームではクランクウェブは普通に切り欠いていたと思います。
※ クランクシャフトのこの部分は何と呼ぶんでしょうか。クランクウェブのカウンターウェイトの役割を果たしている部分だからカウンターウェイトと呼んでもいいんでしょうか。
25クラスのエンジンと同じ鋳型のクランクケースですからストロークが25の16.4mmから18.7mmまで大きくなった分だけコンロッドを通すための「逃げ」が切ってあります。
メインポートは鋳型のままですがブーストポートは機械加工されています。同じ鋳型のSS25では鋳型から出したままだったような気がします。
キャブレターがないのでジャンク箱を探したら19X用のG5.5キャブが出てきました。シャンクの径が12mmで共通、ネジの位置も合いました。
とりあえずはこれを付けますが、ENYAのサイトを調べると専用のTNタイプのキャブもあるし、35Xや40XZ用も使えそうですからこれらに交換するかもしれません。
取説がありませんからネットで探しました。
英語版がありました。日本語版同様あっさりしたものですがあるに越したことはありません。マニュアルによればSSシリーズにはGMキャブバージョンもあったようです。譲ってもらったエンジンにGMキャブが付いていたら面白かったと思います。
コンロッドはガタガタしていません。ベアリングなどは錆びてはいますが回してもごろつかないので大丈夫だと判断しました。クランクシャフトやシリンダーの錆はCRC556をかけて緩めてから歯ブラシで取れるところまで取って組み立てました。
もらったからには回さなければなりません。考えてみるとリング入りの2サイクルのグローエンジンは初めてです。手持ちにOSの32SXとENYA35Xがありますからそれらと力比べしたら面白そうです。
OS 52FS Surpass
こちらはFS52 Surpassで専用ラジアルマウント付きです。ご覧のとおりマフラーがへこんでます。落としたんでしょうね。
シリンダーヘッドの一番熱くなりそうなところのフィンが欠けています。どうすればここが壊れるんでしょうか。気化潜熱で冷たくなるインテークポートで冷やされるのを期待します。
カムシャフトのベアリング回りにグリース状にスラッジが貯まっていましたが綿棒でこすると落ちました。ベアリング、カムシャフト、カムフォロワは錆びていない感じです。ひょっとしたら最初からグリースが入れてあったのかもしれません。
ロッカーカバーとバックプレートも外しましたが内部に錆は出ていません。古い油とスラッジを洗って防錆油を注して組み直しました。
このエンジンのピストンを抜くときはシリンダーブロックの穴からピストンピンを抜くというアクロバティックなことをしなければならないようですからそこまではばらしませんでした。
マフラーはへこんだものを使ってもいいのですが「凍結膨張法」で修理できるか挑戦します。
マフラの出口と入り口、プレッシャーニップルに栓をして水を入れ、冷凍庫に入れて凍らせます。
アルミ缶のサブマフラーでも同じ実験をしましたが膨張した氷のためにアルミ缶が裂けました。肉厚のアルミのマフラーではどうでしょう。
以前の実験の結果は「こてるRCGFの再生番外編 サブマフラーのへこみ補修、結果は?」をご覧ください。
失敗しても手持ちにK&S製のマフラーがあります。ネジ山が合うのでENYAの41~80用のマフラーも使えます。
製造中止の製品ですが取説が手に入りました。
英語版もあります。
これを乗せる機体を作らなければなりません。
二つのエンジンをいじってみると、プロペラシャフトが同じ1/4インチでもENYAよりOSの方が太い感じです。今までのエンジンでもそうでした。