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ガソリンエンジンの消音問題 レデューサーの効果は?

 集合住宅の理事会の仕事、年賀状書き、家の掃除、洗車とかの余計な用事はさっさと済ませて、最優先課題であるガソリンエンジンの消音化に向けた実験を2021年内で行うことを目指して準備しました。

実験内容、レデューサーなどの準備

 実験のベースにするサブマフラーは、貫通多孔管タイプのアルミ缶サブマフラーの中で、回転の落ちがほぼない一方で消音効果がやや劣っていた5作目にします。鋳物や機械加工の製品に比べて軽量なのもいいですね。

このサブマフラーの作成記事は「小型ガソリンエンジン RCGF Stinger 10cc RE用サブマフラーの製作」というシリーズでアップしました。4作目以前と比べて貫通管を太くし、管に開ける穴を多くしたものです。


 マフラーの容積が大きければ消音効果が高くなることは経験済みです。5作目のアルミ缶サブマフラーはアルミ缶一つで90cc、2個で180ccくらい、純正マフラーが30cc、排気系全体では合計で200ccを超えますから同じ排気量のグローの60クラスの純正マフラーに対して2倍までは行きませんがかなり大きめです。こういう排気系ならグローエンジンのマフラー並みに排気口の口径を絞れば消音効果が期待できます(できると思います)。
 最近の60級グローエンジンの純正マフラーの排気口の口径は7~8mmですからそれと同等の排気面積を目指します。
 そこで排気口の口径を絞るレデューサー(バイクのマフラーでいえばバッフル?)の効果を改めて試すことにします。

 準備したレデューサーと関連デバイスです。左から右に下流(出口)から上流側(サブマフラー側)の順で並べてあります。
 左は胴体に排油が付着しないようにするための外筒(アウターパイプ)、真ん中は小型サブマフラーの出口に付けるレデューサーで、上は単純に口径を絞ったタイプ(単純絞り型)、下は上流側に小穴を開けたパイプを挿入するタイプ(穴あき型)です。右は小型サブマフラーの入口に付けるレデューサーです。

 角度を変えた写真です。レデューサーはイコールコンディションを確保するため一番狭い所の口径を5mmにそろえています(1本の排気管に換算すれば口径7mmに相当)。アルミ丸棒に5mmの穴をあけるとかではなく、内径5mm、外径6mmのアルミパイプを内径6mm、外径8mmのアルミパイプに差し込んで耐熱エポキシ接着剤(JBウェルド)で固定するというアマチュアらしい構造です。


 レデューサーを囲んでいるのは排気系に取り付けるためにホームセンターで買ったシリコンチューブです。これをレデューサーにかぶせて外径を調整します。今回は内径6mmのチューブを外径8mmのレデューサーにかぶせて内径9mmの小型サブマフラーのパイプにはめることにしました。


 レデューサーに内径6mmのシリコンチューブを被せると外径が9mm強になります。これを内径9mmの小型マフラーに頑張ってはめ込むと口径が5mmに絞られます。


 レデューサーの上流側はベルマウス状に加工して乱流の発生を抑え、排気抵抗の低減と気流騒音の抑制を図ります。 ・・・写真にすると分かりにくいですね。こういう加工をしても悪影響は出ないでしょうが効果があったとしても回転計には反映されないし耳で聞いても分からないでしょう。それでもチリツモ効果に期待して労をいとわず加工します。


 レデューサーや外筒を小型サブマフラーの出口(排気系の出口)に付けたときと小型サブマフラーの入口(サブマフラーと小型サブマフラーの中間)にレデューサーを付けたときの、さらに出口と入り口の両方に付けたときの差を比べてみます。


 実験でのプロペラは上空での回転数に近づけるためにAPCの12×7を使います(取説指定の最小のプロペラは13×6)。

予備実験?

 飛行場での実験に先立ち、予備実験をしました。
 レデューサーを付ける位置をいろいろと変えて小型サブマフラーの上流側(入口)から口で吹くという科学的・客観的な実験です。
 吹いてみた結果、口径が5mmで変わらないので上流側に付ける、下流側に付ける、両方に付ける、とどんな条件にしても抵抗は変わりませんが「シュー」という気流音がかなり違います。
 はっきりしたことは、
〇 上流側より下流側(出口)にレデューサーを付けた方が気流音は小さい
〇 一方、外筒を付けると、逆に下流側にレデューサーを付けた方が上流側につけるより気流音が大きくなる
ということです。まずい設計の外筒を付けると悪影響が出そうな感じです。



 12月27日午後、いろいろな用事を済ませて飛行場に出発しました。風が4mくらいだし、飛ばしたくなったら困るので主翼は持っていきませんでした。
 この年末に飛行場に来るような人はいないだろうと思いましたが一人来ていました。第三者的な立場で評価してくれる人が確保できました。

サブマフラーのみ(265平方mm又は142平方mm)

 初期値として最も音が大きくて回転の低下が少ないと思われるサブマフラーのみの仕様のデータを取ります。出口の口径は13mm(合計約265平方mm)ですが排気流路の最小径は銅管エルボの部分の9.5mm(3/8インチ、合計142平方mm)です。

 回転数は始動直後に10,000rpmが出ますが数十秒後に9,900~9,800rpmに落ち着きます。
久しぶりにサブマフラーのみの排気音を聞きましたが、音量は大きいもののガソリンエンジンにショボいマフラーを付けたときのような耳に突き刺さる金属的な爆発音が小さくなっています。
 スロットルバルブを8割以上に開くと「マフラーに穴が開いたんじゃないか」と思うほど排気音が大きくなります。

小型サブマフラーのみ、レデューサーなし(127平方mm)

 排気系の仕様を変えるには工具箱の上に胴体を置いて、小型サブマフラーを付けたり外したりしなければなりません。これが面倒くさかった。
 小型サブマフラーを付けない状態のサブマフラーの排気口の口径が大きいことが分かります。


 小型サブマフラーのみの効果を確認します。出口の口径は9mm(合計127平方mm)です。
 回転数はサブマフラーのみのときと同じ9,900rpmである一方、音はかなり小さくなってこもった音になりました。ギャラリーからも「かなり変わりましたね」との感想をいただきました。小型サブマフラーの容積は小さいのですが出力の低下(排気抵抗の増大)が少ない一方でそれなりの消音効果が得られます。
 これまでタコメーターの写真をアップしてきましたが、マフラーの仕様の変化が写っていないのでアップしません。

単純絞り型と穴あき型の比較(39平方mm)

 12月15日に4作目のアルミ缶マフラーと小型サブマフラーの組み合わせに5mmレデューサー(合計39平方mm)を付けた仕様で好結果を得ました。

 期待を込めて今回は単純絞り型と穴あき型の2つを比較しました。いずれを付けても小型サブマフラーだけよりぐっとこもった音になりますが回転は下がらず9,900rpm付近で回ります。
 単純絞り型も穴あき型も回転数と消音効果に差はありません(回転計に表れず、耳で聞いても違いが分からない)。その後の実験は穴あき型でやりました。

出口と中間の両方で絞る仕様(39平方mm)

 出口のレデューサーを付けたまま中間にレデューサーを追加します。
 回転数は変わりません。排気音については気流音が変わるかもと思いましたが時間をおいて運転したので耳で聞いてもわかりません。
 運転中に出口のレデューサーを外したら音の違いがわかるのですがシリコンパイプのはめ合いがきつい上に皮手袋でも手が熱くなるので運転中に抜き取ることができませんでした。

中間だけで絞る仕様(39平方mm)

 出口と中間の両方で絞った状態からの流れで出口のレデューサーを外しました。
 回転数は変化ありません。排気音の音色は、気流音(ビューという成分の音)が減ったような気もしますが、予備実験の結果が頭にあるためのプラシーボ効果かもしれません。

外筒の影響

 これまでの実験では外筒を付けていません。曲げたパイプとかを付けなくても竹やり状にカットした外筒を付けるだけで胴体に付着する廃油が減ります。これを付けてどういう影響が出るか調べました。
 中間で絞った仕様に内径9mmの外筒を付けても変化はありませんが、出口を絞った仕様に外筒を付けると耳障りな高周波の雑音(気流音?)が混じるような感じです。
 口径5mmから口径9mmに急激に拡大するので乱流が発生しているのでしょうか。

各仕様の評価

 実験結果をまとめると、5mmのレデューサーで排気面積を絞ると消音効果が上がるが回転の低下は少なかった、ということになります。詳しくは、
〇 穴あきレデューサーと単純絞りレデューサーの差は計測できず、感じられない
〇 5mmレデューサーをどこに付けるか、二つ付けるかでの回転数の差は計測できない。
〇 中間だけで絞る仕様は出口だけで絞る仕様と回転数は同じだが音色が違う(ような気がする)。
〇 外筒は消音効果に悪影響を及ぼす可能性がある。
 ということになります。

考察、採用案

 なぜこうなったかの理屈を僕なりに考えれば、90cc×2という大きな容積のサブマフラーなので、サブマフラーから下流側のどこで排気流路を絞っても出力の低下をきたさずに消音効果を上げることができたということだと思います。もし容積30ccの純正マフラーの口径12mmの尾管を5mmに絞っただけならまともに回らないと思います。


 今回の実験を踏まえて最良の仕様を決めます。今回作ったレデューサーをそのまま使うことはないと思いますが、レデューサーの上流側の入り口をベルマウス状に加工することは踏襲します。要点は、
〇 小型マフラーの上流(入口、排気系全体の中間)と下流(出口)の双方に5mmレデューサーを付ける。
 理由:2つ付けても回転数の低下はなかったし、消音効果が下がる要素がない一方、実験では感知できなかったものの、小型サブマフラーの出口、入口の両方を絞ることで消音効果が高くなる可能性があるから
〇 排気系最後尾のデバイス(外筒など)は騒音の発生をきたさないものにする。
 理由:5mmレデューサーに内径9mmの外筒を付けた仕様で変な音がしたような気がしたから
というものです。


 この他に、5mmに絞って大丈夫だったので、「4.5mmとか4mmに絞る仕様も試そうかな」という気にもなります(1本に換算すると6.4mm、5.6mmに相当)。
 今回は実験しなかった、サブマフラーに5mmのレデューサーだけを付ける仕様も試したい気もします(それで効果があれば小型サブマフラーが要らなくなる)。

脱 線

 ホームセンターを巡ると模型に使えるものを発見できます。自転車で行けるところにあるビバホームの園芸コーナーにシリコンチューブが置いてあります(だれが何のために使うんでしょうか)。店員さんの了解を得て写真を撮りました。


 シリコンチューブは模型用に比べると驚愕のお安さです。細めのシリコンチューブは少しブカブカですが(内径3mm)グローエンジンの燃料チューブに使えます。
 このコーナーには刈払機、ブロワー用などの小型エンジンの燃料系統の配管に使える「耐油性」の塩ビチューブ(ピンク色のヤツ)もあって、こちらもガソリンエンジン用に愛用しています(タイゴンの黄色の塩ビ系チューブに比べて熱に弱いのでエンジンに直接つながる所には使わない)。
 細めのアメゴムのチューブはグライダーのショックコードとして長年愛用していました。
 僕は使ったことがありませんが、ゴムのガス管をマフラーの排気口の延長パイプにしている人がいます。ちょっと重くて色が限定されますが耐久性は十分にありそうです(半年以上同じものを付けている)。家庭用ガス管の口径は9.5mm(3/8インチ?)ですから46級や60級のマフラーの排気管に付くでしょうね。


 このように模型用品を買わずに済ます人間がいるので模型業界が衰退するのかもしれません。

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