ホイールパンツの新規作成⑪ PVA塗布、FRP雌型の作成開始
前回に続きホイールパンツの記事です。
雄型に離型ワックスのボンリースを塗り終わったのでPVAを塗ります。
ワックスに油気(石油系溶剤)が残っていると水性のPVAが乗らないかもしれないと思ったので一晩明けてからPVAの作業を始めました。
PVAの塗布
PVAはスポンジで一回塗るというのがプロのやり方ですが僕レベルの技術の者がそのまねをしてうまくいくわけがありません。
PVA(実は着色した洗濯のり)の層を確実に構成するため、エアブラシで吹き付け、扇風機で乾かして粘度を上げ、また吹き付けるという工程を繰り返します。技術の低さは労力で補わなければなりません。
バラ吹き状態のときの写真です。PVAに色を付けたおかげでPVAの乗り具合が分かります。
2回目を吹いた状態です。全体にうっすら赤みがかった状態になっています。原型を白で塗装したのでPVAの乗り具合が良くわかります。原型と耳の継ぎ目の所にPVAが多めに乗っているのは好都合です。
赤いブツブツが見えますがビンに保管してあった間に保管用のボトルの壁に乾いてこびりついたノリのカスです。塗りなおした方が良いかなとも思いましたが(塗りなおした方が良いに決まっています)PVAは乾くと目減りしますから目立たなくなるだろうと判断しました。
ボンリースはさすがに専用品です。ピカピカなワックス層ができるのですが水性のPVAをほとんどはじかないという都合の良い性能を持っています。
ところでボンリースをカーワックス代わりに車に塗った時は水をはじいたんですけどあれは何だったんでしょうか?
ともあれ離型処理は終わりということで次は雌型の作成です。
セメダイン1500を使ってみる
雌型用の樹脂には今回、セメダイン1500を使ってみます。失敗しても雄型が健在なら石膏型にするという代替案があります。
セメダインを主剤・硬化剤合計16g練ったところです。ご覧のとおりの粘度ですから積層用の樹脂ではありません。さりとてチューブ入りの接着剤のような固さもありません。
セメダイン1500のこの性質を利用すればゲルコート代わりにも使えそうです。まあ、僕はFRP工作でゲルコートと言うものを使ったことはないんですけどね。
セメダイン1500には困ったところもあります。せっせとかき混ぜると接着剤と同様、上の写真のようにクリーム色になります。これは細かい泡を噛んでいるということですから、整形作業のときはこの泡をどうにかしなければなりません。
ハケで塗れるような粘度ではないし、ハケの毛先でPVAの膜を破るのが嫌なのでアイスの棒で樹脂を垂らしてコスメ用のスポンジでならしました。厚く塗ったまままだと細かい泡が抜けないので薄めに塗ります。さりとて薄くしようとして強くこするとPVAの膜を破るのでほどほどの力にします。
色を付けなきゃゲルコートとは言えないかもしれませんが、ゲルコートの役割は雌型にピンホールなどの欠陥やグラスの目を出さないためのものだと思います。色がついていたりタルクを混ぜると泡を噛んだかどうかが分かりません。
硬化を早めるためのほか、粘度を下げて泡を抜けやすくするため硬化促進加熱箱に30分くらいセットしました。
ちょっと気になる現象が出てきました。
なんだか白く濁ってますね。汚いたとえですが膿のようです。原型と耳の間に乾ききらずに残っていたPVAが浸み出てきたのでしょう。作業を焦りすぎました。完全に乾くのを待つべきでした。
雌型の表面に影響が出るのは必定ですが作業はこのまま続けます。出来具合によっては雌型を作りなおさなければなりません。
原型と耳になる部分の継ぎ目が直角になっているのでグラスがなじみません。その対策を立てます。
直角になった部分にセメダイン1500にタルクを混ぜて作ったパテを盛ってRを付けます。これでグラスがなじみやすくなることを期待します。
ラジコン機のカウルを作っている人が公開している動画をパクってパテを絞り出す道具を作ってみました。
適当な紙にパテをセットし、
紙をくるくる巻いて細い漏斗のような形にします。先っぽを鋏で切って出口を作り、
ケーキ屋さんがクリームを絞り出すときに使うような感じでパテを盛ります。
が、残念ながらそれほどきれいには盛れません。
結局ラテックス手袋を付けた指でならしました。ケーキ屋さんのクリーム絞り(あれの名前は何というのでしょうか?)で接着剤を細いひも状に出すというのはいいアイデアなので練習を重ねたいと思います。まあ、ビニール袋の先っぽを切った方が簡単かもしれないとも思います。
原型と耳の所が緩いRになった状態で一旦硬化させます。
硬化促進加熱箱に入れることで樹脂が柔らかくなって気泡が抜けたり表面がならされることを期待します。
まだグラスの積層にかからないのか?と言われそうですがゴジラ-1.0を見に行ったりしたので作業が進みません。
ゴジラ-1.0
エポキシの硬化を待つ間にゴジラ-1.0を見に行きました。
ネタバレになるので映画の細部は述べませんが、本土決戦用に温存していた旧陸軍の4式中戦車?が国会議事堂前でゴジラを迎撃している場面がありました。
映画では4式中戦車が信地旋回(片方の履帯を止めて片方の履帯だけを動かして旋回すること)していましたが、当時の戦車は信地旋回はできなかったと思うんですがどうでしょう?。戦車に詳しいミリタリーオタクの方々の見解を伺いたいですね。
戦後の日本の装軌車両(キャタピラ付きの車両)でも60式106mm自走無反動砲、60式装甲車、73式装甲車は信地旋回はできませんでした(と思います)。