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ラジコン機の製作材料としてのザ・スリム

 バルサの入手難を受けて、ここ数年バルサに変わる素材をいろいろ試しました。
今回、発泡ポリスチレン素材の「ザ・スリム」の使い方について紹介します。

 発売元のデュポン・スタイロ株式会社のサイトに掲載されている写真です。薄茶色というかクリーム色です。4mm、7mm、10mmの板材として販売されています。体積当たりの重さは例の青いスタイロフォームの倍くらいですがその分丈夫です。表面は「滑らかなスキン層」になっているのでツルツルですが一皮めくれば硬めのスタイロフォームという感じです。色がバルサに似ているので無塗装でも色合い的に生地完成の部分になじみます。


 前の記事で披露したとおり、タンクの空気抜きのチューブから漏れたガソリンにより脚取付け部のカバーがガソリンでグズグズになりました。この部分を直します。


 グズグズになった部分はガソリンが乾けば元に戻るかと言えばそんなことはなく、湿っていた時はグズグズのベコベコ、乾けばカサカサの粉状になります。グズグズ・カサカサになった部分をカットし、それを埋めるためのザ・スリムのブロックを作ります。ザ・スリムは「滑らかなスキン層」のお蔭で表面がツルツルになっていて接着しても「パリン」と外れますから表面の層を一皮むいたうえでサンドペーパーで荒らします。使っている刃物は「発泡ウレタン・発泡スチロールカッター」です。時々研がなければなりませんが専用の道具だけあって発泡スチロールやスタイロフォームなどを切ったり削ったりするときに大変重宝します。


 カットした部分にザ・スリムの切れ端を接着します。接着には発泡スチロール用の乾けば透明になる接着剤を使いました。タイトボンドだと接着剤の色が目立つし、乾けば透明になる酢酸ビニル系の白いセメダインホワイトや木工用ボンドでははみ出た接着剤を削るのに苦労します。


 手の届かない部分の加工はリューターが便利です。砥石系のビットで軽快に削れますが同じところに当てておくとか使い方によっては発泡材が溶けます。
 ところで、僕は「リューター」と呼んでいましたがWikipedia先生によれば「リューター」は日本精密機械工作株式会社の製品名だということを知りました。「リューター」は「router」の読み間違いではないそうです。フッ素系の耐熱Oリングを「バイトン」、ガソリンエンジン用の黄色いチューブを「タイゴン」というのと同じことのようです。でも、例のコの字型の針で紙を綴じるあれはステープラーじゃなくてホチキスですよね。ということで今後もリューターで行きます。


 仮止めして調子が良いのでエポキシ処理に進みます。


 本当は積層用か表面処理用のエポキシ樹脂を使った方が良いのでしょうが、電子ばかりと言えども1g以下の樹脂を正確に軽量するのは難しいのでエポキシ接着剤をすり込みます。マイクログラスを貼れば丈夫になりますが、強度を受け持つ部分でもないし、ハードランディングで脚が外れればぶっ壊れる消耗品的なところなので最低限の手間で仕上げました。
 右側に写っているシリンジはロックタイトのエポキシ接着剤を使い切った後にアルコールで洗ってコニシのボンドEセットに入れ替えたものです。使い切れば主剤と硬化剤を入れなおします。何年も使っていて数十回入れ替えていますがまだ使えます(貧乏くせえなー)。



 塗り終わった接着剤が硬化した状態です。1回すり込んでケバを削ってから2回目をすり込みます。ピンホールがあるとガソリンが浸みこみますからエポキシの層がムラなくできるように注意します。どこを補修したかはわかりますが目立たなくはなりました。
 光線の具合でデコボコが良くわかります(分かるように撮影しました)。「滑らかなスキン層」を削り取ってサンドペーパーで荒らしても、また、使う樹脂が積層用のエポキシ樹脂でもエポキシ接着剤でも樹脂(接着剤)が網目状にはじかれてこうなります。スタイロフォームではこういうことはなかったような気がします。なぜこうなるんでしょうか。スチレン樹脂を発泡させるのに使うガス成分とかの影響でしょうか。


 ザ・スリムはエンジン機の動翼の材料として使ったことがあります。完成品はずっしりと持ち重りがして、同じ寸法のバルサ骨組み構造より50%増しくらいになりました。
 構造材としては微妙ですが4mm厚のザ・スリムなら面積当たりの重さは1mmバルサくらいと軽量で、工作は変に粘りがあるEPPより簡単、艶のある表面をそのまま使えば仕上がりも美麗になるという特徴があるので使い道はあると思います。垂直安定板のフィレットに使ったことがありますが、バルサのように目がないので削るのが楽でした。重量増加は僅少でした。
 発泡材全般に言えることですがエンジン機に使う場合は燃料や排気に耐える表面処理が必要です。この工程で増える重量がかなりなものなのが気になります。今回の脚取付け部カバーは、ザ・スリムだけの重量は3.4g、エポキシを塗ると5gになりました。ちょっと残念なところではあります。

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