「奮闘記　飛行ごとの調整」で飛行ごとにニードル位置を変える（燃料供給量の変動に対応する）旨述べました。その原因として、保管中にダイヤフラムが干からびて硬くなっているから最初の運転では燃料供給が足りなくなっているのではないかと考えました。ダイヤフラムが硬くなっているかどうかを直接調べることはできないまでも症状を確認するため平日の飛行場で実験しました。

実験手順

　最初の運転で暖機後の回転数と高速ニードルの位置を記録し、運転を続けるうちにニードル位置がどのように変化するかを調べます。

実験結果

 　最初の運転はダイヤフラムが干からびた状態での運転を再現するため給油後、時間を置かずに始動します。

　前回の運転は10月30日、実験日は11月4日ですから4日間、間が開いていますから干からびた状態は再現できていると思います。また、10月30日は1回しか飛ばしていないので高速ニードルも低速ニードルも開いた状態です。したがって1回目はこの設定で快調に運転できると予想しました。カウルを付けると低速ニードルの位置が見えにくいので外します。カウルの重さは36gですから外して飛ばしてもあまり影響はありません。
　前回の高速ニードルの位置は12時法で3時～9時、このニードル位置のままで始動しました。始動直後の回転数は9,500 rpmです。このセッティングで1回飛ばしました。
　次の実験ですが、ダイヤフラムにガソリンがなじんだ状態で実験しなければ意味がないのでガソリンがなじむ（？）まで電動グライダーを飛ばして時間をつぶしました。

　1回目の飛行後約20分経過した2回目の運転では最高回転数が落ちていたので高速ニードルを45度閉めて9,700 rpmを得ました。写真で高速ニードルの位置が確認できますが1時～7時になっています。低速ニードルの方は、エンストしないまでも吹き上がりが悪いので45度締めました。どのスロットル開度でもエンストしないことを確認して2回目の飛行をし、そのセッティングで3回目も飛ばしました。

　3回目の飛行後、高速ニードルを1回目の飛行の位置近くに戻すと回転数は8,700 rpmに落ちました。ここまで運転すると1回目のニードル位置では燃料供給が多くなっているということです。

結論

　予想通り、2回目以降はニードルを絞らなければならなくなりました。4回5回と飛ばしてどうなるかは実験しませんでしたが、2回目と3回目のニードルセットが変わらなかったのでキャブレターに燃料が入ってから20分以上たてば燃料の供給量は安定するようです。
　この実験だけでは2回目以降の飛行でニードルを絞らなければならなくなる原因がダイヤフラムが硬くなっていたから、ということの証明にはなりません。しかし、現象として、その日の最初の運転では燃料供給が少ないが、しばらく運転したら燃料供給が増え、その状態が維持されるという症状は確認できました。

対策

　原因がダイヤフラムの硬化なら、干からびても硬くならない製品と交換すれば根本的な解決になります。純正のメタリングダイヤフラムを交換してから3ℓも運転していないのにこの状態ですから純正品と交換しても無駄でしょう。干からびても硬くならない製品を試したくなります。作動原理が同じWalbroのWJYキャブレターの予備部品を調べると使えそうなものがありました。

　薄茶色のポンプダイヤフラムと金属の円盤が付いたメタリングダイヤフラム、そしてそれらのガスケットがセットになった予備部品が手に入ります。Walbro純正ではないので299円と破格のお値段です。NGHのキャブの部品とは形が違いますが、金属板の大きさが合って、密閉が保たれていれば転用可能かもしれません。実はホームセンターにも刈払機用エンジンの予備部品のダイヤフラムを置いてあるのですが純正品のためかお値段が1000円を超えるので試す気にならなかったのです。これなら無駄になっても惜しくないと考えて注文しました。僕が人柱になって試してみます。
　キャブ（ダイヤフラム）をいじらないのであれば、今までどおり飛行ごとにニードルを再設定するという運用で対応することになります（家庭の事情によりキャブにガソリンを入れたまま保管することは絶対にできません。）。仮に最初の設定のまま飛ばしてだんだん混合気が濃い状態になっても回転が落ちるだけでエンジンが壊れたりエンストしたりする危険は少ないので当面はこれで運用していくことにします。

　まわりにガソリンエンジンをやっている人がほとんどいない中で（ボートをでガソリンエンジンを使った人はいますが「全然別物」とのことです。）、手探り状態でやってきました。突っ込みどころが多いと思いますがいろいろご教授いただければ幸いです。