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水上機のフロート 参考文献とか

 水上機をきれいに降ろすにはどうすりゃいいんでしょうか。
 毎年、夏近くになるとラジコン技術に水上機の記事が掲載されます。
 今年の8月号にはこんな記事が載っていました。松田恒久さんの記事の再掲だそうです。

 離陸滑走のときも着水のときも機首を上げてフロートの先端を突っ込まないようにしなきゃダメですよね。ためになります。でも、7月に販売される8月号に載せてもらっても困るんですけど・・・もう初飛行を済ませちゃいました。

沈下率が小さければきれいに降りる

 離着水のやり方は動画でも研究できます。YouTubeで「水上機」と検索すれば実機の美しい離着水の状態を見ることができます。かなり急角度(大きい沈下率で)降りてきても、水面ギリギリでフレアをかけて水面とほぼ平行にしばらく飛行してステップとフロートの後ろがほぼ同時に着水する感じです。
 実機の離着水の様子をみるとラジコンがいかに雑に飛ばしているかが分かります。


 ラジコン機の離着水の動画は「水上機 ラジコン」で検索すればヒットします。その中で気になった動画がありました。

 動画では引き波の様子がわかって良かったのですがこの動画についたコメントに違和感がありました。
 コメントで「残念ながら、タッチアンドゴーとは言い難し。最後の着水はGOOD」と上から目線で書き込むのはどうなんでしょうか。人のことをとやかく言うくらいだから御本人はさぞかしうまいんでしょうが余計なお世話です。


 実際に飛んでいるところを見ても勉強になります。

 7月23日の日曜日にテトラのコンドルにフロートを付けて飛ばす方の動画を撮影できました。

 これは動画のキャプチャー画像です。着水の様子を見ると機速をあまり落とさずに沈下率を小さくして着水させています。「チャチャチャチャ」という感じで水の上を滑って行ってカッコいいですね。同じ人間のやることですからマネできそうです。


 僕の場合は着水直前でスロットルスティックを一番下まで下げるので、
※ フロートの抵抗が加わる分だけ急に機速が落ちる、
※ 沈下率が大きくなる、
※ パチャンという感じで水に落ちる、
という感じになっています。
 ラジコン技術の記事にあるように頭上げで着水するには機速を落さなければならないのですがそれにも限度があり、まだスピードがある状態で水面ギリギリを水平飛行させる感じでだんだんと機首を上げて着水を待つのがよさそうです。 


 実機でも着陸間際にスピードを上げて沈下率を小さくする例を経験しました。
 20年くらい前、出張で旅客機に乗ったのですが、着地陸寸前で「ゴオッ」という感じでエンジンを2秒くらい吹かしました。
 一緒に乗っていたP3Cのパイロットだった人(PS-1のパイロットだった人とは別の人)は「ありゃあドシンと接地しないようにしてるんだ。フレアをうまく掛けられなかったときはああするんだ」と説明してくれました。
 着陸速度が速くなっても沈下率を小さくした方が降着装置への衝撃が小さいのでしょう。

フロートの底と水しぶき

 毎月ラジコン技術を買うとか、お金を出して航空工学の本を買うとかして知識を得るのが本道ですがお金を出さずとも手間を掛ければ結構良い情報が手に入ります。


 色々調べているうちに、川西の2式大艇や戦後の新明和のPS-1の設計にかかわった菊原静雄さんの講座を見つけました。

chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsass1969/20/223/20_223_426/_pdf/-char/ja
 この講座は数式があまりなく読み物として面白いのでお勧めです。上の文字列をブラウザの検索窓にコピペすれば閲覧できます。

 この中で、着水時の衝撃を緩和するには底に角度を付けると効果がある、へさきでは角度を強くしてステップ付近で浅くする、という記述があって「オレのやったことは間違いじゃなかった」とうれしくなりました。

 その一方、しぶきを上げないための工夫を説明している所でチャインに水切り板のようなものを付けても(記事では「折り曲げチャイン付」と表現)、滑走状態になる前の艇体が水没していているとき(ハンプを超える前)には効果がないというようなことも書いてあって「せっかくつけたのになあ」とがっかりもしました。
 貼り付けた画像の左下の図がその状態で、水切り板が水没している状態ではその効果が表れず、しぶきがかえって高く上がっています。
 フロートが水没している状態でも滑走状態でもしぶきが上がりにくいのは右下の図の「波消し溝付」のようです。これはPS-1やPS-2に採用されている仕組みでしょう。


 こうしたことからフロートの底の形やチャインの処理がかなり影響を及ぼすことが分かります。


 ところがヒノデのコンドルに付いていたフロートを見るとこの考えをぐらつかせるような形になっています。

 底は真っ平らでチャインには何の仕掛けもありません。このフロートでもうまく操縦すればしぶきはあまり上がりません。

 動画からキャップチャーしたので画面が荒いのですが着水後ハンプ付近の速度で水上タキシングしているところです。
 フロートの前でできた波の一部が横ではなく前に巻き上がっているのが観察できます。ただし、上に巻き上がるほどではないので運用上支障はないでようです。


 こういうものを見ると底をV型にしたり水切り板を付けたりという工夫が徒労のような気もします。

 まあ、カッコよくなっているのでいいんですけどね。きれいに塗装すれば高級感もでるんじゃないでしょうか。

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