エンジン機のキャノピーをスタイロフォームで作る-3
キャノピー製作の3回目です。整形を始める前にラッチも付けて様子を見ます。
表面処理の工程ごとの重量増加をチェックするため整形前の重さを測っておきます。整形前の重さは約26gです。ラッチユニットで3gくらい増えました。
スタイロフォームの整形
書く順序が前後しますがスタイロフォームを切り出すときの型紙の話です。出っ張ったところを削るのは簡単ですがスタイロフォームが足りなくてへこんだところができると悲惨なことになります(修正はできるが新しいブロックを切り出した方が楽だと感じるレベル)。そうならないようにブロックが上下左右に1mmくらいずつ大きくなるように型紙を作っておきました。
胴体とつながる部分は胴体側を養生しておきます。
サンディングのときはサンディングブロックの方にもマスキングテープを貼っておくと大事なところが削れてしまうことを防げます。
スタイロフォームを削ると大量の粉が出ます。これは環境に悪いマイクロプラスチックの元になりそうですからサンディングはできる限りポリ袋の中でやります。
最初に横から見たシルエットをしっかり作ります。何度も遠くから見てチェックしながら機体の曲線になじむようにします。
横から見たシルエットを整えた段階です。てっぺんの段差が無くなっています。ブロックの継ぎ目は整形の案内に使えます。こういう手が使えるところがこの工法の良い所です(自画自賛)。
胴体とつながる所は現物合わせで段差が出ないように削ります。
こちらは後ろ側。光っているところがまだ削っていない所です。
こちらは前側です。
削り終わってスエード調になった状態です。横から見たシルエットを整え、胴体とつながる所の段差をなくしてからブロック同士の段差がなくなるまで削ります。機体に取り付けて頻繁にチェックしながらでも削り出してから1時間くらいでここまで来れます。
整形した後はラッチ用の部品を含めて約25gです(ラッチなしで22.8g)。整形で削り取った分は1g強です(意外と少ない)。
表面処理前の細部工作
表面処理を行う前にノックピンまわりやラッチ回りの細かい工作をします。
キャノピーの切り欠きと胴体側のでっぱりに食い違いができるとカッコ悪いのでエポキシ樹脂で埋めることにします。胴体側の離型処理として、キャノピーと胴体の間のクリアランスを確保するためマスキングテープ2枚、セロハンテープ1枚を貼りました。
隙間はスタイロフォームを加工したときに大量に出たスタイロフォームの粉をエポキシ接着剤で練ったもので埋めます。マイクロバルーンで粘度を上げるのがセオリーなのでしょうが、マイクロバルーンを練った場合は粘度が上がっても流れます。一方、バルサの粉とかスタイロフォームの粉とかを練るとそのままの形を維持して(ゲル化して)流れません。マイクロバルーンを使うと水飴状、バルサの粉やスタイロフォームの粉を使うと練り歯磨き状になるということです(揺変性というのでしょうか?)。
こんな感じで埋めます。エポキシ接着剤の硬化を待たねばならないので今日(11月18日)の作業はここまでです。
塗装下地はどうするか
スタイロフォーム自体はグロー燃料に耐えそうですが(メタノールには耐えますがニトロメタンにはどうなんでしょう。ガソリンに耐えられないことは経験済みです。)スタイロフォームをむき出しで運用するわけにはいきません。
エンジン機ですから耐グロー性のある2液性ウレタンか塩ビのスプレーで仕上げなければなりませんがこれらをスタイロフォーム(スチレン樹脂)に直接塗ることはできません。
というわけで上塗り塗料のシンナーの浸透を防ぐ下地を作る必要があります。僕はこれまでエポキシ樹脂と水性ウレタンを使ってきました。
水性ウレタンはシンナーに侵されますが、しっかりと塗膜が形成されていればスタイロフォームまでシンナーが届くことはありません。エンジン機のフィレットやフェアリング、翼端材にスタイロフォーム等の発泡ポリスチレン材料を使っていますがその下地作りに愛用しています。といっても水性ウレタンは万能ではありません。
これは水性ウレタンとタルクでスタイロフォームを平滑にし、水性ウレタンで絹を貼った後に2液性ウレタンを吹いた例です。上塗り以外は全て水性ウレタンということです。子細に点検すると塗膜の欠陥からシンナーが浸み込んでスタイロフォームがグズグズになっているところがあります。軽く作ろうとして塗膜を薄くし過ぎるとこうなります。塗装が雑なのはお見逃し下さい。
こちらは水性ウレタンとタルクでスタイロフォームを平滑にし、マイクログラスをエポキシで貼るという最新工法(?)のキャノピーです。スタイロフォームが侵されたところはありません。マイクログラスとエポキシ樹脂の組み合わせですから強度も上がります。空を飛ぶものですから重量は大事ですが、同じような寸法のキャノピーで水性ウレタン+2液性ウレタン仕上げの40gに対して50gになります。
今回は水性ウレタンとタルクで下地を平滑化し、マイクログラスをエポキシで張り、2液性ウレタンで仕上げるという工程にします。