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世界最小(と言われている)ガソリンエンジンNGH GT9-Pro奮闘記 飛行ごとの調整

 NGH GT9-Proの日常の運転での調整要領を紹介します。断っておきますが僕のエンジンでの話です。

実際の手順

 このエンジンの特徴として(僕のだけであれば良いのですが)飛行のたびにニードル調整が必要です。グローエンジンや普通のガソリンエンジンと同じだと考えることはできません。

1回目の飛行前の調整

 このエンジン(キャブレター)の場合は大抵、前に飛ばした日の最後のニードル位置では混合気が薄くなります。混合気が薄い設定でもアイドリング付近では混合気は濃いままなので(悪いことに)始動は可能です。また、アイドリング付近でしばらく運転してクランクケースに生の燃料がたまった状態になれば一気にフルスロットルに上げるとたまった燃料で回転がつながりフルスロットルで回転が続くことがあります。これで「大丈夫だろう」と思って飛ばすとハーフスロットルでエンストする可能性が大です。安全のため、飛行前は次の手順で調整します。


 始動して数秒回した後、スロットルを少し開けて様子を見る、回転が続いたらまた少し開けて様子を見るという具合にチェックします。多くの場合、スロットルをある程度開けたポイントでエンストします。これはいつものことですから悩みません。
 スロットルバルブの開度が8割以下のときにエンストする場合は低速ニードルが効く領域ですから低速ニードルを45度開いてもう一度始動して様子を見ます(低速ニードルをいじるときはエンジンを止めます)。まだ燃料が足りなければさらに45度開きます。
 スロットルを8割以上開いたときにエンストするのは高速ニードルが効き始める領域になりますから高速ニードルを開きます。どのスロットル開度でも回転が続くようになったらフルスロットルにして高速ニードルの調整をします。
 低速ニードルでも高速ニードルでも90度以上開かなければならないことがあります。チョビチョビ調整するのは能率的ではありません。次にスロットルをあおるように動かしてもエンストしないことを確認します。
 最後にエンコンのエンドポイントをいじって安定したアイドル運転が続くポイントを探ります。
 高速ニードルと低速ニードルの調整とエンドポイントの修正までに1分以上かかりますがこれで飛ばせます。1回目の飛行前の調整中に混合気が濃くなることもあるので注意が必要です。

2回目以降の飛行前の調整

 運転していくうちに混合気が段々濃くなっていきます。次の飛行でエンジンを始動したら1回目の飛行の前と同じ要領でどのスロットル開度でもエンストしないことを確認したあと必ずフルスロットルでの回転数を測ります。回転が落ちていたら1/16回転ずつ高速ニードルを絞って回転数をチェックします。フルスロットルで安定した運転ができるようになれば1回目と同様にもう一度スロットルを少し動かしては固定し、また動かしては固定するという要領で、どの位置でも回転が続くことを再び確認します。最後にアイドルの様子をチェックして、低速での混合気が濃くなってアイドルが不安定になっていたら低速ニードルを閉め、再びスロットルへの追従性も確認します。必要ならエンドポイントもいじります。
 3,4回も飛行すると最初のニードル位置とはかなりずれてきて安定しますが、飛ばす前にはどのスロットル位置でもエンジンの回転が安定して続くことを必ず確認します。

なぜこうなるのか、推論

 僕が持っているもう一台のガソリンエンジンであるWalbroのキャブ装備のRCGF Stinger 10cc REではこんな面倒なことをする必要はありません。また、刈払機やチェンソーでも運転のたびにキャブレターを調整するという話は聞いたことがありません。
 なぜニードル位置が変わるのか(変えなければならないのか)と言えば、ニードル位置が同じでも運転を続けるうちに燃料供給量が多くなるからなのは明らかです。燃料供給量がなぜ変わるのかは推測になりますが怪しいのはダイヤフラムです。
 NGHの取説にはゴムが劣化しないように飛行後にキャブレターを空にするよう確認してくださいと書いてあります(Please make sure to enpty the carburetor after each flight, or it'll cause the rubber of carburetor aging、僕が英検3級だからそう感じるのかもしれませんが英語がおかしくありませんか?)。僕はそれに従って毎回ではありませんがその日の飛行が終わればエンストするまでアイドルで回してキャブレターを空にしています。火災予防になるし、家の中がガソリン臭くなりません。
 一方で、同じガソリンエンジンでもOSの取説では「キャブレター内部をガソリンが充満している状態にしてください」「内部のパーツが乾燥し正常な働きをしなくなることがあります」となっています。刈払機やチェンソーでもキャブのガソリンを空にするのはシーズンオフだけです(いや、シーズンオフでもそのまま納屋に放り込んでいる人が多いと思います)。僕の周りのガソリンエンジン経験者もダイヤフラムが干からびるからガソリンは抜かない方が良いと言います。

 ということを考えると、NGHの場合、取説のとおりキャブレターを空にして(ダイヤフラムがガソリンに触れていない状態にして)数日もするとダイヤフラムが干からびて硬くなってしまうのではないかと思っています。上の写真の「定量膜片総成(メタリングダイヤフラム)」はゴム製だから影響が大きいのではないかと考えています。最初に劣化して交換したのもこの部品でした。
 ダイヤフラムが硬いうちは燃料の流入量が少なくなってニードルを開かなければならなくなる、運転を続けるとダイヤフラムにガソリンがなじんで柔軟性が戻り、正常な流入量になるということじゃないかと思っています。

原因究明は?

 原因がはっきりすれば対策が立てられます。まず、推論が正しいかを確認したいところです。
 キャブレターを空にしないでおいたらどうなるかという対照実験ができればよいのですが部屋の中がガソリン臭くなることは許されませんから不可能です。1日に何回も飛ばして、何回目からはニードルの位置が変わらなくなるという実験結果が出れば「ダイヤフラムが干からびてたんだな」とわかります。飛行場に出てくる人が少ない日などの機会を見つけて実験したいと思います。

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