年金生活フライヤーのブログ

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3種類のサブマフラーをENYA 40XZで実験

 軽くてカッコいいM251マフラーがお気に入りなのですが排気口を拡大して爆音マフラーになったので消音のためのサブマフラーが必須です。

サブマフラーを小型化したい

 現用のサブマフラーは、さしたる根拠もなく「これくらいの容量なら出力の低下は起きないだろう」と考えて手近にあった35mm径のアルミのスプレー缶で作りました。

 これと同仕様のサブマフラーは実際に飛行機に積んで運用しています。消音効果がある一方で出力の低下がほぼなく、しかも軽量(約20g)という成功作ですが、写真のとおりかさばるのが難点です。サブマフラーの方がメインマフラーより大きいという仕様は見たことがないので小型化したいところです。
 マフラーの実験の流れでもっと良い(小型の)サブマフラーができるのではないかと考え、何個か実験してその中から選ぼうという気になりました。


 今回の実験はM251をメインマフラーとすることを前提とし、それ用のサブマフラーの仕様を探るため、最近作った小型サブマフラーと新たに作った細長サブマフラーを試します。
 小型サブマフラーは10月10日に完成し、その後の実験でちょっと試しました。その時の様子はブログ記事にしています。
マフラー選定のためのベンチテスト、仕切り直し - 年金生活フライヤーのブログ
 その時の実験では小型サブマフラーを爆音マフラーに付ける実験はやらなかったので今回はそれもやってみます。

細長サブマフラー

 35mmのアルミ缶に替えて28mmのアルミ缶を利用したものを作りました。直径が減って長くなり、容積はわずかに減っています(90cc→80cc)。
 なぜ28mmかといえば、現用の35mmと小型の22mmの中間の寸法でかつ入手容易だからです。このアルミ缶は白髪染め(ヘアマニキュアと呼ばないと怒られる)の空き缶として安定的に2個単位で入手できます。すでにガソリンエンジンのNGH GT9-Pro用のサブマフラーとして使っています。
 細長いのが気になります。容積が同じでも消音器がずんぐりしているか細長いかで消音効果が変わることは直感的に想像できます。
 昭和37年の日本機械学会論文集に載った論文*によれば単純な空洞型の消音器では容積が変わると最適な縦横比が変わるそうですが、その論文で実験した160ccのガソリンエンジンの場合は、消音器の容積を変えても直径に対して長さが3~4倍くらいの円筒で消音効果が高くなっていました。
* 「内燃機関の排気消音器に関する基礎的研究(第3報,空どう部の形状および内部仕切の及ぼす影響)」この論文は僕の知的レベルでは読みにくいのですが勉強になります。
URL:  https://www.jstage.jst.go.jp/article/kikai1938/28/192/28_192_966/_pdf/-char/ja
 今回のは直径に対して長さが5倍くらいですからちょっと外れますが素人考えで多孔管貫通型だから大丈夫だろうと判断しました。貫通多孔管が長くなって減衰効果を受ける距離が長くなるので消音効果が大きくなる、というようなことが起きればいいなと期待します。


 雨で飛ばしに行けないので材料を集めて設計図(というほどのものではなく穴の位置の展開図)を作って作業を始めました。


 電動工具のお蔭で穴をあけるのが楽になりました。以前はハンドドリルとピンバイスしかなかったのでこの作業は苦行でした。

 調子に乗ってたくさん穴を開けました。穴の数、配列、大きさに最適値があるんでしょうがいつものように適当に開けました。入口側の穴が大きくて(2.5mm)出口側の穴が小さい(2mm)のは貫通管とマフラー本体の空間から貫通管に流れ込む排気の気流音を減らす工夫です(効果はあるのかな?)。
 設計図(穴をあける位置を展開した紙)を書いてから通算1時間もかからずに組立てまで進みました。


 実験するサブマフラーを並べました。上から、
・大型サブマフラー:23.3g、容積89.6cc
・細長サブマフラー:19.9g、容積80.2cc
・小型サブマフラー:10.2g、容積20.8cc
 本体のM251マフラーの容積が39ccですから、その半分の容積の小型サブマフラーでも効果があるんじゃないのという期待を持てます。
 当て馬としてシリコン製サブマフラーも持っていきます。シリコン製サブマフラーでも爆音マフラーに付けて手でクランクするとパコパコという音からポコポコという音に変わって音が小さくなります。
 実験中に煙をかぶらないように排気デフレクター*も用意します。
 * こういうものに正式の名前はあるんでしょうか?テトラでは「シリコンエキパイ」、アイエムでは「シリコンアダプター」と呼んでいます。

実験手順

 最初にサブマフラーなしと現用の大型サブマフラー仕様のデータ、いうなれば初期データを取り、その後で新たな小型サブマフラーと細長サブマフラーのデータを取ります。
 実験にあたっては排気抵抗の強弱を知るためにニードル位置を確認します。出力が上がる(下がる)のに応じて燃料消費が増え(減り)、ニードルを開く(絞る)ということにはならないでしょうが、排気抵抗が増えて(減って)排気プレッシャーが強く(弱く)なる、ニードルを絞る(開く)ということになるはずなので排気抵抗の強弱はわかります。
 熱ダレする可能性がありますから各仕様で1分以上全開運転を続けてから回転数を取ります。
 実験の様子は動画で撮影します。編集してみて音の変化が分かるようならこの記事の最後の方に添付することにします(2022-10-19現在編集中→2022-10-21、動画をアップしました)。

初期データの取得

爆音仕様(M251排気口8.4mm)

 M251の排気口の口径を8.4mmに拡大したものに何もつけない仕様です。この仕様で飛ばすことはできませんがサブマフラーを付けない状態を確認するために必要で、この状態から各仕様のサブマフラーを付けてどう変わるかを試します。
 ニードル位置は2+3/40、かなり開いています。背圧が低いことが分かります。

 回転数は12,900r.p.mくらい、瞬間的に13,000r.p.mを超えます。
 排気音はまさに爆音です。アイドリング付近でも「パリパリ」という音がします。甲高い排気音で破裂音というか耳に突き刺さる成分がストック仕様より大きくなっています。テストベンチの横にしゃがんで聞いていると脳みそがくすぐられる感じです。

ストック仕様(M251排気口7mm)

 現有のM251は排気口の口径を8.4mmに拡大したのですがストック状態は7mmです。ストック状態に戻すために内径7mmのアルミパイプをマフラー出口に取り付けました。
 この仕様で運用することはないのですが未加工のM251の具合を確認するための実験です。
 ニードル位置は1+13/40、かなり閉じました。排気口の口径を8.4mmから元の7mmに戻しただけですが、何かの臨界点を超えた感じです。

 回転数は12,300r.p.m、爆音仕様より500r.p.mも落ちるのは意外です。
 排気音は爆音仕様より多少は小さくなったものの耳に突き刺さる感じの成分が残っています。
 Uコンで40XZにこのマフラーを付けている写真と動画を見ましたが排気音が甲高いので広い空域を飛ばすラジコンじゃ厳しい感じでした。

大型サブマフラー7mm口径仕様

 大型サブマフラーの出口を7mmに絞った仕様です。
 現在運用中の仕様の性能を確認するための実験です。
 ニードル位置は1+8/40、排気系の出口が7mmで同じですがストック仕様より絞らなければなりません。

 回転数は13,100r.p.mがコンスタントに出て一時的に13,200r.p.mが出ます。爆音仕様より回転が上がっています。1分くらい運転した後でも回転が落ちません。リングなしのエンジンなのに「熱ダレ」しないのはエンジンがまだ10ℓしか回していない新品だからでしょうか。これも理由が分かりません。
 排気音がこもった感じになって破裂音の成分はかなり減衰しています。
 実は爆音仕様より回転が上がるのに違和感があって「間違いじゃないの?」と思って何度も試したので回転が上がったのは間違いないと思います。


 ここまでは初期データの収集で、これから先が新しいサブマフラーの実験になります。

新たな仕様のデータ取得

 この後の仕様の実験にはひと工夫必要です。現用の大型サブマフラー用の取付けステーはベンチに付けてありますが細長サブマフラーと小型サブマフラー用のステーはないので運転中はサブマフラーが吹き飛ばないように手で支えておく必要があります。つまり、
①混合気が薄くならないようにニードルを爆音仕様での位置にセットしてサブマフラーを外した状態で始動
②サブマフラーを装着し、サブマフラーが吹き飛ばないように片手で支えながらスロットルを全開で固定
③ニードルを調整(サブマフラーを支えながら)
③片手でサブマフラーを支えながら回転計で回転を取る
というアクロバティックなやり方が必要です。

小型サブマフラー9mm口径仕様

 出口が内径9mmのアルミパイプのままの仕様を試します。
 小型サブマフラーで背圧を上げずに消音効果が得られるか確認するための実験です。
 ニードル位置は1+30/40、爆音仕様よりやや閉じました。背圧は少し増えています。

 回転数は11,900r.p.m、頑張っても時々12,000r.p.mが出る程度です。微妙というかなんというか・・・
 排気音はストック仕様よりかなり静かな感じですが大型サブマフラー7mm口径仕様より明らかにうるさい感じです。

小型サブマフラー7mm口径仕様

 出入り口の口径が9mmの小型のサブマフラーの出口に内径7mmのアルミパイプを付けた仕様です。
 小型サブマフラーの出口を絞ったらどうなるかの確認で、背圧の確保と消音効果の増大を期待します。
 ニードル位置は1+8/40、大型サブマフラーと同じ位置です。背圧は確保されているということです。

 回転数は11,800r.p.m、時々19,000r.p.mが出る程度です。9mmから7mmに減った割には回転が落ちません。
 排気音は9mm仕様より小さくなったかな程度です。変わんないじゃないのと言えば言えます。

細長サブマフラー7mm口径仕様

 大型サブマフラーと同様、出口は背圧を確保するため7mmに絞っています。
 期待の新作の細長サブマフラーの性能を確認する実験です。
 ニードル位置は1+8/40、大型サブマフラーと同じです。

 回転数は12,700r.p.mと12,800r.p.mを行ったり来たりしています。頑張って12,900r.p.mがやっと出ます。爆音仕様とほぼ同じ回転数で消音効果が段違いです。
 排気音は現場で聞いた感じでは大型サブマフラーと区別が付きません。

細長サブマフラー9mm口径仕様

 試しに出口を7mmに絞るノズルを外して9mmにしてみました。

ニードルの開きが1+15/40になります。背圧が減ったわけです。  

 回転数は12,600~12,500r.p.m、7mm仕様より下がるという納得しがたい結果です。
 音は7mm仕様とあまり変わらない感じです。

おまけ、市販シリコンサブマフラー

 使う機会がなく放置していた市販のサブマフラーの使い道があるか調べるための実験もしました。出口は8mmに絞ってあります。
 爆音マフラーに付けると消音効果はわずかなのに回転が下がるという結果なので動画も撮りませんでした。

実験結果の考察

 今回の実験は現用の大型サブマフラー並みかそれ以上の性能の小型のサブマフラーがあるかを調べるためのものでした。
 結論を先に言えば現用の大型サブマフラーを超える仕様は残念ながらありませんでした。

回転数の整理

第1位 大型サブマフラー7mm口径仕様:13,100r.p.m。今使っているのが1番でした。
第2位 爆音仕様:12,900r.p.m。予想ではこの仕様で一番回転が上がるはずでしたが意外な結果です。
第3位 細長サブマフラー7mm仕様:12,700r.p.m。回転数の低下は少ないですね。
第4位 細長サブマフラー9mm仕様:12,500r.p.m。なぜ出口を広げると回転が下がるのか不思議です。
第5位 ストック仕様:12,300r.p.m。口径を絞っただけで600r.p.mも回転が落ちました。
第6位 小型サブマフラー9mm口径仕様:11,900r.p.m。遺憾な結果です。
第7位 小型サブマフラー7mm口径仕様:11,800r.p.m。こちらも遺憾な結果です。 

排気音の評価

 現場で聞いた感じでは小型サブマフラーはストック仕様よりも静かにはなるが大型サブマフラーと細長サブマフラーより明らかにうるさいという結果です。大型サブマフラーと細長サブマフラーの差はわかりませんでした。
 とはいえ人間の耳は当てにならないので帰宅後動画を編集して各仕様の最高回転のときの排気音を比べられるようにしました。
 残念ながら、音量の差はわかりません。スマホとエンジン(排気口)の位置関係は一定ですが、うるさいはずの爆音仕様と大型サブマフラー仕様の音の大きさが耳で聞いた感じと違います。アイフォンのマイクは音量を自動補正するとかの機能があるのでしょうか。ただし、音色の区別は動画で比べる方がよくわかりました。


 2022-10-21追記:動画をYouTubeにアップしました。

Test of home made sub mufflers on ENYA 40XZ
 論より証拠というか、動画の最後の方でそれぞれの仕様の最高回転の様子を連続して再生するようにしたら違いが分かりやすくなりました。
 現場では分かりませんでしたが聞き比べると大型サブマフラーの方が細長サブマフラーより音がこもった感じになって良いような気がします。内燃機関の排気騒音には破裂音(バリバリ)と気流音(シューン)があるそうですが、破裂音の成分が減って気流音の成分が増えた感じです。回転数が高いため高音域のままですが音色は聞きやすくなっています(個人の感想)。
 動画の字幕とこの記事の本文に食い違いがありますが、そこは技術論文ではなくて素人がやることですから勘弁してください(そんなことを気にする人はいない)。

なぜ大型サブマフラー7mm仕様の回転数が高いのか・・謎ですね

 素人が適当に作った余計なものが排気系に付いたのに回転が上がるのは驚きです。
 テストした仕様の中で最も背圧が高いのに回転が上がっているということは、ある程度背圧を掛けた方が回るのか、とも思いますが何らかの同調効果が働いたためかもしれません。
 素人が考えても理由はわかりません。謎ですね。素通しに近づければ回転が上がるものではないことが分かりました。偶然の産物で良い製品ができたことを素直に喜んでいればいいんでしょう。
 何かを作るとヒョウタンから駒で良いものができるものかもしれませんからやるだけはやってみるものです。

なぜ細長サブマフラーで回転数が落ちるのか・・これも謎ですね

 爆音仕様よりほとんど回転が落ちず消音効果は大でした。大型サブマフラーの回転数を取る前にこの仕様を実験していればハッピーだったんですが大型サブマフラーの優秀性を知ってしまうとがっかり感がありました。
 細長サブマフラーと大型サブマフラーの容積は約90ccと80ccで大して変わりません。貫通多孔管の太さは一緒、出口の口径も同じです。違いはマフラーの直径と長さ、それに伴う貫通多孔管の長さです。この違いにより7mm口径で300r.p.mの差が出るのは合点がいきません。出口の口径を7mmから9mmに拡大すると背圧が下がったのに(下がったから?)回転が下がったのも謎ですね。

細長サブマフラーと小型サブマフラーの使い道

 小型サブマフラーはがっかりな結果になりました。細長サブマフラーも微妙な結果でした。
 ただし、40XZと排気口を拡大したM251マフラーのセットとの組み合わせでの結果ですから別のエンジン、別のマフラーなら違う結果になります。
 実際、OS 32SXとENYAのM352Xマフラーのバッフルを抜いたものの組み合わせに小型サブマフラーを付けたら静かな割にOS純正のE-3030より回転が上がり、市販品で最高のHATORIの30NAとほぼ同等の回転数でした。
 細長サブマフラーも純正のM352Xよりも回転が上がるので、細い胴体の機体に載せる時に使うとかの使い道があります。

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