年金生活フライヤーのブログ

ラジコン飛行機関連のブログ

熱ダレの実験、リング入りなら大丈夫?

 OS 32SXでマフラーの仕様のテストをしたとき、ニードルを最高回転の位置にセットしてから回転数が数百回転落ちて落ち着いたことを記事にしました。
マフラー選定のためのベンチテスト、データが取れない - 年金生活フライヤーのブログ
 いわゆる「熱ダレ」でしょうが、リングなしABNピストン・シリンダーのOS 32SXに比べてリング入りのENYA SS35では「熱ダレ」による回転低下が少ないような気がしました。
 こうなると「熱ダレ」の起き方がエンジンによってどう変わるかを調べたくなりました。
 リングなしのOS 32SX、リング入りのENYA SS35ヘリ用で実験です。マフラーは重いけれども消音効果があって出力の低下が少ないENYA M352X、プロペラはAPC10.5×6を230mm(9")に縮めたいつものテスト用です。燃料は経済的な自作の3.3%ニトロのひまし油系を使いました。 

実験

 回転が低下する様子を正確に把握するため実験は次の手順で行いました。

実験手順

①耳で聞いた感じで最高回転のニードル位置から2コマ戻した位置にセットしてエンジンを止める。
②手で触れる程度までエンジンを冷やした後、そのニードルセットのままもう一度始動する。
③エンジンがあまり熱くならないうちに全開にして回転が落ちきるまで回転数を測り続ける。


 ③の過程を動画で撮影し、全開にしてからいつの時点で最高回転に達し、どのくらいたってからどのくらい回転が落ちるかを解析?できるようにしました。
 2台のエンジンをベンチに乗せ換え、マフラーを使いまわし、エンジンを冷やす必要があるので時間がかかります。

OS 32SX

ニードルの位置は1+3/32
始動後:12,900~12,700r.m→1分全開運転後:12,500~12,400r.p.m

 全開にしてから最初の10秒くらいで一時的に12,900から13,000r.p.mに達しました。画像の下の方の青い線(何て呼ぶんでしょう?)で運転を始めてどのくらいたった時の画像か分かります。

 12,700r.p.mでしばらく安定し、数十秒後に12,500r.p.mくらいに落ちました。確かに回転は落ちますが、前回の実験のときほど落ち込みが激しくありません。ニードル位置が変わっていないことに注目してください。
 このポイントから2コマニードルを絞ると数秒後に12,300r.p.mまで下がりました。全開運転が全壊運転になっては困りますからすぐニードルを戻しました。

ENYA SS35

ニードルの位置は1+5/40
始動後:12,600r.pp.m→1分全開運転後:12,600r.p.m

 回転数は落ちません。全開直後では32SXより200r.p.mくらい低い数値ですが、数十秒後の回転数はOS 32SXをわずかに上回っています。SSシリーズはOSのFSRシリーズより後に出た割にデザインはイモ臭い(個人の感想)のですが結構頑張っています。

実験結果の考察

 OS 32SXは全開運転開始後に回転計ではっきりわかるレベルで回転は落ちましたが回転の落ちは200r.p.m、瞬間最大風速的な13,000~12,900r.p.mを基準にしても400~500r.p.mレベルです。以前に運転したときと比べて落ちはわずかです。熱ダレの再現ができたかといえばちょっと微妙です。
 実験の途中で回転の落ち込みが少ないことに気が付いて、もっとニードルを絞らなければ熱ダレを再現できないんじゃないかと思いましたがエンジンを壊すのが怖いので絞り切りませんでした。
 回転が落ちた理由を文系の素人が考えてみました。よく言われているように全開運転をしている間に温度が上がって各部のすり合わせやクリアランスが最適の状態からずれて各部の摩擦が大きくなるとか圧縮が弱くなるとかのために回転が落ちたとのでしょう。
 リング入りのSS35で回転の落ちが少ないのは、ピストンリングのおかげで高温になってクリアランスが増えても圧縮が維持されると考えるべきでしょうか。

リング入りエンジンには利点がある

 今回のリングなし、リング付きの代表が1台ずつの実験で結論を出すことはできませんがリング入りは熱ダレしにくい(ことがある)という感想を持ちました。
 車用のエンジンはほぼすべてABCですから絶対的なパワーの点からはABCが優るのでしょうが、この世のすべてのグローエンジンがリングなしになっていないということはリング入りのメリットがあるのでしょう。ヘリ用エンジンはリング入りですよね。
 僕が愛用しているENYA 61CXはABCでしたがいつの間にかリング入り仕様になりました。ENYAのサイトでは「P.C ABN With Ring」になっています。スリーブは真ちゅうでもメッキの仕様も変わったんでしょう。ENYAに聞いてみるとリングなしの仕様はもう作っていないようです。一方で、ENYAの広告を見るとENYA 41-4Cの後継はリングなしの36-4C アルクロームのようです。方針が一貫していないような気がします。リング入りの需要もアルクロームの需要もあるのでしょうか。


 世界で最初にABCエンジンを販売した(とどこかで読んだことがある)SuperTigreもリング入りエンジンを販売しています。

 G-34とかG-61のように同じクラスでリングなしバージョンとリングバージョンがあるのはニーズに対応しているのでしょう。

脱線、マフラーの見映え

 以前のブログ記事で一旦マフラーを取り付けたら外さないと書きましたが、その方針に逆らって今回の実験のため、せっかく取り付けたM251改をENYAの二つのエンジンから外しました。

 外したM251を見てみるとスマートでカッコいいと感じます。
 カッコいいのですがM251は1970年代のENYA19X用のマフラーの金型を流用・修正した製品のようですから32とか40に使うには容積が不足しています。容積を計ってみたら38ccでした、OS 32SX用のE-3030は54cc、ENYA M352Xは83ccです。

 小さい容積では出力の低下が激しいので(実験済み)排気口の口径を7mmから8.4mmに拡大して、爆音仕様になったマフラーを大型サブマフラーで消音しています。かさばるのですがOSのE-3030(82g、実測値)や市販品で最も軽いHATORIの30NA(73g)より軽くなるので(本体42g、サブマフラー22g、合計64g)機体に積んで運用しています。


 ENYAのカタログには40~49X用(今は作ってないだろうな、SSシリーズより良いデザインだったんですけどね)のM401Xが載っています。こういうのが好みなんですよね。プライミング用のシャッターはいらないし、マフラー側からエンジン側にねじ止めする仕組みですから今のエンジンに付けるには工夫が必要ですけど。
 OSもシュニューレを出し始めたFSRシリーズの頃はこういうスタイルのマフラーでしたよね。

 純正のM352Xは消音効果がある割には出力の低下が少ないのですがスタイルがちょっとね・・・


 後ろ蓋を回して排気口の向きを変えるなんて機能はいりませんから35用や40用にスタイルはそのままにして容積を大きくした製品を出してもらいたいですね。

×

非ログインユーザーとして返信する