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ENYA 41-4C 運用記 クランクケース換気システム 混合気バイパス

 クランクケース換気システムの考え方は、STIHLの4-MIXエンジンと同様、インテークマニホールドから混合気をクランクケースに吸い込み、吸い込んだ後の混合気をクランクケースからインテークマニホールドに戻すと言うものです。
 別の記事でも書きますがこのシステム(?)には気になることがあります。このシステムを使いだしてから10ℓも回していませんから耐久性への影響は未知数です。参考にする人はご注意ください(そんな人はいないだろうな)

最初の仕様

 最初に試した仕様を紹介します。OS56αのようにシリンダーヘッドに小穴を開けますが、プッシュロッドパイプをオイルや混合気(ブローバイガス)の通路にするとかの高度なことはせず、クランクケースの下部とロッカー室の間をバイパスチューブでつなぐという方法です。


 シリンダーヘッドのロッカー室側からインテークポートにつながる穴を1.5mmドリルで開けて2mmのタップを立てておきます。有効径は約1.8mmになります。元に戻さない覚悟ならばタップを立てる必要はありませんが実験が失敗すれば短い2mmビスで穴をふさいで元の仕様に戻すことができるようにしました*。
* 元に戻せる仕様にしておいて幸いでした。結局シリンダーヘッドの穴はふさいだ仕様に落ち着きました。

 ヘッドカバー(この部品の正しい呼び名は何でしょうか。タペットカバー、ロッカーアームカバー、ロッカーカバーとも呼ぶようですが。)に4mmタップを切ってニップルを付け、シリコンチューブでシリンダーブロック下部のニップルにつないでバイパスを形成します。混合気が十分に流れなければ意味がないのでシリンダーブロック(エンジン本体)の後部に元からついているブリーザーニップルを内径2mmのものに替えて(内径を広げて)流通量を増やし、ヘッドカバーにも内径2mmのニップルを取付け、内径2.5mmのシリコンチューブでつなぎました。バイパスの流量を規制するのはシリンダーヘッドに開けた2mmタップを立てた1.8mm径くらいの穴になります。実験の結果をみて支障が出るなら流量を規制することにしました。
 作動の仕組みはこんな具合です。
・ピストンが上向きに動く圧縮と掃気の行程でクランクケースの負圧によりインテークポートの混合気がロッカー室を通ってクランクケースに流れ込み、
・ピストンが下向きに動く燃焼と吸入の行程でクランクケースの気体(ミスト)がロッカー室を通ってインテークポートに流れます。
このように混合気とブローバイガスがロッカー室を経由してインテークポートとクランクケースの間を出入りすることになります。


 ENYAユーザーならわかると思いますがYSやSAITOと違ってヘッドカバーとシリンダーヘッドの間にはガスケットがありません。そのためシリンダーヘッドとヘッドカバーの気密は保たれません。今回の仕組みではヘッドカバーから空気を吸い込んだり混合気が漏れたりしたら良くないのでロッカー室の気密を保つために厚手のクラフト紙でガスケットを作りました。

最初の仕様の実験

 飛んでいる最中にエンストしたら大変なのでテストベンチで試運転をしました。飛行中の回転数に近づけるため10.5×6のプロペラの直径を230mm(約9インチ)に縮めたテスト用のプロペラを使いました。

 最初に元の仕様での初期値を取るため、ロッカー室からインテークポートにつながるシリンダーヘッドの穴を2mmビスで閉塞して運転しました。フルスロットルで12,600 r.p.mから12,400 r.p.m、アイドリングは小さ目のプロペラですが2,300 r.p.mの濃い目の混合気で回ります。

 次いで、ロッカー室の2mmビスを取り去り、ヘッドカバーとクランクケースをシリコンチューブでつないでインテークマニホールド、ロッカー室、クランクケースの中のガスが流通する状態とし、クランクケース換気システムを作動させます。これで回してみると最高回転でのニードル位置は変わらず、回転数も変わりません。実は過給効果やポンピングロスの減少による出力の増加をほのかに期待していたのですがそんなものはありませんでした。効果があったら模型エンジンメーカーが採用しているはずです。
 運転中はバイパスのシリコンチューブの中をミスト状になった混合気(とブローバイガス)がクランクケースとロッカールーム室の間を激しく行き来して、トータルで見ればロッカー室に向かう様子が確認できます。ニップルの内径を広げた上にインテークマニホールドの負圧がかかるので出入りの激しさは通常の仕様のブリーザーチューブを出入りするオイルのミストの動きとは比較になりません。クランクケースへの混合気の出入りは期待どおりに行われていることがわかります。

最初の問題

 ここまでは良いのですが困った現象が起きました。アイドルまでスロットルを絞ると最初の1~2数秒は元の仕様と同じくらいの回転数まで下がりますが、すぐに6,000 r.p.mくらいまで回転が上がってそこで安定して回転が続いてしまいます。アイドルストップスクリュー(スロー調整ビス)を緩めてスロットルバルブの開度を狭くするとアイドリングまで下げた瞬間にエンストします。これでは実用にはなりません。
 原因はフロントベアリングから空気を吸ってるんだなと見当がつきました。これであきらめて元の仕様に戻しても良いのですが対策を立ててさらに実験を続けました。

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