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ENYA 41-4C 運用記 クランクケース換気システム 下がらないアイドリング対策

 ENYAの4サイクルエンジンのフロントベアリングは金属シールが付いています。これではゴミの侵入は防ぐことはできますが、接触型のゴムシール仕様と違って気体や液体を密封することはできません。

二つの対策

 回転がいったん下がってから上がるのは、スロットルを閉じた瞬間はフロントベアリングまわりの油が吸い込まれるのですが、やがて油が吸い尽くされて空気が抵抗なく進入できるようになるからでしょう。空気が余計に吸い込まれれば混合気が薄くなりますがエンストするほどは薄くはならなかったようです。

 実験する前はこの問題は重大視していませんでした。気が付いていない人がいるかもしれませんが、2サイクルエンジンではフロントベアリングからのオイル漏れを減らすため(ですよね?)キャブレター取付穴からフロントベアリングの間に細い穴か溝が切ってあります。
 こうしたエンジンではフロントベアリングからオイルだけでなく外気も吸い込んでいるはずですが支障なく(支障はあっても実用上問題なく)回っています*。ということで最初は何も対策しなかったのですが、実際には問題が生じたわけです。
* OS初の25クラスのシニューレエンジンOS25FSRではフロントベアリングハウジングからキャブレター取付穴への溝も穴もありませんでした。油漏れが激しかったのでENYAの真似をして0.7mmくらいの穴を開け、エポキシ接着剤(デブコンだったかな?)で穴の径を小さく加工したところ油漏れはかなり減りました。
 一方で、アメリカのFOXエンジンのファンが運営していたサイト(今は閉鎖している模様)でアイドルの安定性を確保するためフロントベアリングのハウジングからキャブレター取付穴に通じている溝穴だったかな?)をJBウェルドでふさぐというテクニックが紹介されていました。影響があるのかもしれません。


 対策として次の二つを考えました。
①:クランクケースからインテークマニホールドに流入する混合気と空気の量を規制する。
②:クランクケースの密閉性を高める。

最初の対策と一応の成果

 ①の対策で対処できれば新たな費用が発生しないのでとりあえず①の実験をすることにしました。クランクケースとロッカー室を結ぶチューブの途中にオリフィス付きの真鍮パイプを入れて規制することにしました。 

 最初に1mm、0.7mm径のオリフィスを準備しました。1mm径でも効果はありましたがそれでも4,000 r.p.m以下には下がりません。0.7mm径にすると3,600 r.p.mまで下げることができました。1mm径でも0.7mm径でもフロントベアリングから空気を吸い込むので燃料の吸い込みは弱くなりました。ベンチを上に向けてスプレーバーとタンクの液面の差を大きくすると燃料供給が少なくなって数秒でエンストします。日を改めて0.38mm径のオリフィス付きの真鍮パイプを作って実験しました。0.38mmの穴ははんだを真鍮パイプに盛るときに28番(0.3759mm)のステンレスの針金を通しておき、はんだが固まった後に引き抜いて作りました。
 なぜ0.38mmかといえば、2サイクルエンジンのフロントベアリングからインテークにつながるオイル回収のための穴や溝より狭くするためです。2サイクルエンジンはフロントベアリングからオイルとともに空気を吸い込みながら平気で回っているのでそのレベルなら大丈夫だと考えました。
 0.38mm径では0.7mm径よりアイドリングの回転を下げることができました。実際に使うプロペラより小さいプロペラでもスロットルをアイドルまで下げると1~2秒後に2,600 r.p.mに下がり、数秒後にそれより200 r.p.mくらい上がって落ち着きます。アイドリングでのスロットルの開きはシリンダーに供給される混合気にフロントベアリングから吸い込まれる空気が加わるのでキャブレターからの空気の流入を少なくするため狭くなりました。低速ニードルは元の仕様より1/8開いた状態になりました。低速ニードルを開かなければならなかったのはスロットルバルブ付近での負圧が小さくなって燃料の吸い込みが弱くなることと燃料を含まない空気が供給されることによると思います。この仕様でも実用に耐えられないことはありません。
 本来の目的のクランクケース内の換気の強化ですが、ヘッドカバーとクランクケースを結ぶシリコンチューブの中のオイルや混合気の動きはオリフィスなしや0.7mmオリフィスほど激しくありません。通常の仕様のエンジンでブリーザーチューブを行き来するガスとオイルの動きよりは激しいので効果は維持されてはいます。でもこれではOSのオイルリターンシステムと変わりません。あまり納得できる結果ではありませんでした。

次の対策へ

 ということで ②のクランクケースの密閉性を高める実験に移ることにしました。②の対策はフロントベアリングを同じ寸法(8×22×7)の接触型のゴムシール仕様のベアリングに替えれば実現できます。
 YSの4サイクルならクランクケースを加圧する関係でクランクケースのシールは必須なので期待しましたが、手持ちの63FZはエンジン全体の作りがごついのにフロントベアリングは同クラスのENYA、OS、SAITOより小さいものを使っているので(8×19×6)そもそも寸法が合いません。しかも非接触型の金属シールでした。調べてみるとYSはクランクケースの気密を別部品のオイルシールで確保しているようです。ということでYSの純正仕様のベアリングは使えません。


 今回はここまで。次回は接触型のゴムシール付きのフロントベアリングに換装した後の成果です。

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