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FRP製のエンジンカウルを作る① 序章

 僕の最近作のこてる32はバルサ製のカウルです。一品物を作るのに適した工法でそれほど重くもなりません。

バルサ製カウルの問題点

 とはいってもグローエンジン機で運用するとバルサ製のカウルでは問題が起きます。

 このカウルと脚取付け部カバーはこてる32のもので、すでに数十回飛ばしたものです。
 ところどころ青くなっていますが、これはただ油が付着しただけでなく油が浸みこんだものです。
 写真の洗浄ビンに入っている自作の怪しいブレンド燃料で真っ青なオイルを使っているのでこうなります。

 表面をエポキシ処理してウレタンを塗ったのですが、軽量化のためマイクログラスを貼らなかったため塗膜に欠陥ができて油が浸み込んだんでしょう。

 木口になっているところ、一度割れて直したところ、運用中に小さなへこみができたところから油が浸み込んでいることが分かります。
 オイルを着色剤が入っていない製品に換えれば目立たなくなるのですが、浸み込むことに変わりはありません。
 オイルが浸み込んでも強度が落ちる(落ちても機体全体の性能に影響はない)とか重くなるとかの悪影響はさほどないでしょうが美観上の問題があります。
 油が浸みて変色したところを削り取ってバルサで埋めて・・・というような補修をしたらかえってみすぼらしくなるでしょう。


 この際だからということでFRPでカウルを作ることにしました。

オーソドックスな工法を採用

 僕はここ数年、雌型を起こしてから製品を作るのが面倒なのでFRPで作るときも最近では原型にクロスを貼ってそれを製品にするという簡略工法にしています。
 今回は初心(?)に返ってオーソドックスな作り方に戻ることにしました。
 オーソドックスと言っても他の人とは違うやり方なので(と思います)ブログにしてみます。

資材をそろえる

 原型は加工が楽なスタイロフォーム、原型の表面仕上げはエポキシ樹脂と水性塗料、雌型はスタイロフォームの原型が侵されないようにエポキシ樹脂で作ることにします。
 原型を作るスタイロフォームとクロスには手持ちがあります。離型用のPVAもありますが改めて買うものがあります。

離型ワックス

 離型剤は特製PVA(ポリビニルアルコール、実態としては着色洗濯糊)を使います。離型剤は離型ワックスと併用すると効果的です。

 手持ちの離型ワックスとしてクリッパー商会の物があるのですが、これが今後も入手できるか疑問です。
 クリッパー商会のワックスはPVAがベターッと貼りつくわけではありませんが「塗ってしばらくしたら弾いちゃった」ということはなく、ある程度乗るのでそれと同等の物でなければなりません。油性の靴墨ではPVAを弾いて代用できないことが分かっています。
 定評のある専用の製品に「ボンリース」があります。まだ使ったことはないのですが販売元が公開している取説を閲覧することができました。

chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://keiyou-kasei.co.jp/images/products/products_caralog_2013.pdf
 PVAと併用できると書いてあります。クリッパー商会で出していたワックスはこれと同じものだったのかもしれません。
 ボンリースは1㎏の製品がスタンダードですが、小分けして販売している業者もあります。1㎏が5000円くらいのところ200gで990円と割高になりますが許容範囲です。1kgも買ったら生きている間に使い切ることはできません。
 フェザーフィールドに注文しました。

雌型用の樹脂

 原型はスタイロフォームで作る予定です。スタイロフォームでもきちんと表面をカバーすればスチレン樹脂を溶かすポリエステル樹脂も使えるのでしょうが失敗するリスクは高まります(経験があります)。雌型用の樹脂はスタイロフォームを侵さないエポキシ樹脂にします。カウルのような形のものは石膏で雌型を作るのは(僕の経験では)思いのほか厄介です。


 エポキシ樹脂を使うにしろ、製品を作るための積層用の樹脂を雌型に使うのはもったいないので使えそうなものを探しました。


 セメダインで工業用に「セメダイン1500」という製品を出しています。1970年代のラジコン技術で木製のボートを作るのにこれを使っている記事を見た記憶があります。たしかその記事ではエンジンルームの耐燃料性を出すため筆で塗っていたような気がします。


 セメダインのサイトで物性が分かるので調べました。


 普通のエポキシ接着材(例のセメダインスーパー)より粘度が低い(サラサラ)のですが積層用よりは粘度が高い(シロップくらい?)のでグラスファイバーにうまく含浸するか心配ですが使ってみることにします。


 工業用ですから一般消費者が入手するにはモノタロウが頼りです。
 主剤・硬化剤合計500gの「セメダイン1500」が約5000円で手に入ります。

 普及型のFRP製品用のポリエステル樹脂より割高ですが、今使っている積層用のエポキシ樹脂より経済的です。

 モノタロウに注文したら注文の次の日に届きました。
 雌型作成用だけでなく、性能が要求されないようなところの積層用やグラス貼り用に使えるかもしれません。 


 缶の蓋を開けてみると主剤は粘度が低くてガムシロップのような感じ、硬化剤は色も粘度もハチミツのようです。
 250gずつ入っているわけですが主剤と硬化剤の比重が違うので同じ容量で混合すると正確な混合比にはなりません。
 セメダインのサイトでは混合比を変えることにより出来上がりの樹脂の物性を変えることができるとしていますから容量で1対1で混合しても使ってもいいのですが完全な性能が発揮できない恐れがあります。

 これでは「等量押出シリンジシステム」を使うのに躊躇します。

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