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ENYA 41-4C 運用記 修理・整備編 壊れたベアリング

 同じエンジンを10年近く使っていると壊れるところも出てきます。ニードルバルブの摩耗も故障ですが、かなり深刻な故障と修理の事例を紹介します。

ベアリングが壊れた

 去年(2020年)の6月27日、クランクケース換気システムを導入してから4ℓ、延べで45ℓ回したあたりのことです。2回目の飛行中に変な衝撃音がしました。エンジンは止まらず出力も落ちなかったのですがそのまま飛ばしてはまずいと思ってすぐに降ろしました。エンジンを止めて裏返してみると排気口からでた灰色の排油が胴体に付いていました。黒い油なら摩耗程度ですが(排気管のネジが緩んだり組み立て式のマフラーの組立てが緩むと黒い油が出ますね。)灰色の油の中にキラキラ光るものが混じっているので深刻な事態が予想されました。
 

 フロントハウジング(前蓋)を外すとこんな具合です。灰色のオイルがクランクケースの中にたまり、ステンレスの皿の上にこぼれ出ています。白くて細かいものは金属片(粉)です。コンロッドが傷だらけになっていることも確認できます。


 ピストンを抜いて、タイミングギヤシャフトを外すとタイミングギヤシャフトの大きい方のベアリングが壊れていました。ボール自体は内輪と外輪の間に納まっていたので回転が続いたのでしょう。リテーナーが外れて跡形もなくなっていました。排気に金属粉が混じっていたということは、金属の破片がクランクケース、フロントハウジング、ブリーザーニップル、吸気管、シリンダー、排気管という経路を通ったということです。こんなになっても回転が続くもんだと感心しました。

 ロッカー室にまで金属粉が回っていました。プッシュロッドチューブから入ったのでしょうか。とにかくどこもかしこも金属粉だらけです。
 エンジンはすべてばらして金属の粉を除去しました。案の定、プッシュロッドチューブの中にも金属粉が入っていました。無事なのはキャブレターだけです。フロントハウジング(前蓋)はベアリングを外して洗いました(外さないと金属片を除去できなかった)。交換したばかりのクランクシャフトのベアリングはまだ使えると判断しました。
 壊れたベアリングが外れるか不安でしたがシリンダーブロックをオーブントースターで加熱して木の板にたたきつけたらすんなりと外れました。これでベアリングを交換すれば元に戻ります。クランクケースの内側とコンロッド、ピストンの裏側はサンドブラストを掛けたような状態になっていてリテーナーの破片が食い込んだりしていましたが豚毛ブラシでこすってきれいにすることができました。圧縮も残っていました。
 ENYAエンジンのいい所は予備部品さえあれば特殊な工具がなくても修理できるところです。手間はかかりましたがお金がかかったのはベアリングだけでした。


 ベアリングが壊れたのはクランクケース換気システムを働かせ始めてから4ℓ回したところだったので、この二つに因果関係があるか心配でした。
「混合気を直接クランクケースに入れると潤滑油が希釈されて潤滑が悪くなるのか?」
「でもYSエンジンや2サイクルエンジンは平気で回ってるよね?」
「いや、YSや2サイクルエンジンは混合気が勢いよく流れるからアルコールが飛んでオイル分が多くなっているから大丈夫なんじゃないの?」
「フロントベアリングを接触型のゴムシールにしたことで潤滑油の巡りが悪くなるとかの影響が出たのでは?でもSAITOはゴムシール仕様だよね?」
というようにいろいろ疑問がわきます。
 このまま使うのも実験だということで換気システムは働かせ続けています。ベアリングを交換して4ℓ消費しましたが今のところ無事です。10ℓくらい回して異常がなければベアリングの破損は普通に寿命だったと考えることにします。

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