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新作サブマフラー作成の狙い 排気の気流音(空力騒音)対策など

 今回はサブマフラーの実験結果をアップするまでのつなぎとして文字ばかりの理屈っぽい記事をアップします。


 12月6日から作り始めて12月10日に完成したサブマフラーはRCGF Stinger 10cc RE用としては5作目です。うるさい飛行機を飛ばすのは肩身が狭いし飛ばす本人が疲れるので消音効果を確保するためいくつもサブマフラーを作りました。

過去のサブマフラー

 最初の頃に使っていた2つ目までの箱型のサブマフラーは中にバッフル(隔壁)が入っていない、いわゆる単純膨張室型でした。とはいっても実質的に純正マフラーとサブマフラーの2室構造になっていたからでしょうか、消音効果が高く、出力の低下はそれほどありませんでした。特に2作目のアルミの鋳物製のケースを利用したサブマフラーは肉厚なこともあってか音がこもっていたような感じで尾管の口径を13mmまで拡大してもそれほどうるさくはなりませんでした(重いんですけどね)。

 とはいえアゴの下に箱をぶら下げたようになってカッコ悪いので銅管エルボを見つけたのを機にアルミ缶マフラーに移行しました。

 見た目はましになりました(と思います)。

 4作目は音量は小さいのですが音色に問題がありました。12月5日に久しぶりにRCGF Stinger 10cc REを飛ばしたところ、グローエンジンの排気音に慣れた耳には「ビュルビュル」というか「ジャー」というか変な音が混じっているのが気になりました。

変な音色の正体は?

 変な音色の原因と対策をいろいろ調べていくうちに僕のサブマフラーに似た構造のマフラーが実機にもあることを知りました。

 トラック用のパーツを販売しているジェット・イノウエで出しているトラック用のTYマフラーという製品で、写真はアマゾンに掲載されていたカットモデルです。空洞(グラスウールとかの吸音材が入っていない)の円筒に穴が沢山開いたパイプを通すという僕のサブマフラーとほぼ同じ構造です。
 メーカーが意図しているかは定かではありませんが*、このマフラーは「ビー」とか「ビュルビュル」というように「鳴く」ところが人気なようです。
* メーカーのサイトでは音色についての言及がありません。簡単な構造(低コスト)で消音効果を上げるために工夫したら笛のような音が出るようになったというのが実態かもしれません。グラスウールのような吸音材に頼っていないこともメリットだと思います。
 このマフラーを付けると下のリンクのような音になります。
#エルフ #2トン #TYマフラー #鳴き - YouTube
 国道や高速道路でよく聞くトラックの音の正体はこれなんでしょうか。Youtubeにはパイプの穴の大きさや配置を工夫して「鳴き」を良くしている動画がアップされています。「鳴く」マフラーでもトータルの音量は大きくなっていないようですしトラックドライバーにとっては心地よい音なのかもしれませんが僕としてはこの音は気に入りません。
追記:このような音を「鳴き」といって喜ぶ向きがある一方で「ビビり音」といって嫌う向きもあります。この場合の「ビビり音」とは機械的な振動による雑音ではなく、空力的な「風切り音」のようなもののようです。


 この音を消したいのですが、原因が分からなければ対策は立てられません。「気流」「内燃機関」「消音器」で検索すると、「消音器から発生する流体音」という論文が見つかりました。それによれば貫通多孔管型(僕のサブマフラーやトラックのTYマフラーがこの型) においては,ほとんどの小孔から空胴部へ気流が吹き出しているが空胴出口部直前において空胴部から尾管内に激しい吸込みが起っている。この時の高速気流によって発生するいわゆる笛吹き音が,貫通多孔管型消音器の気流音の主成分を構成 している」そうです。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/souonseigyo1977/14/5/14_5_245/_pdf/-char/en
 僕としては貫通多孔管型でもパイプの周囲の空間は外気に開放されていないのでパイプの中と外との間で圧力の差は生じない、したがって排気の出入りはそれほどないと考えていたのですが(そういう説明をするマフラーメーカーもあった。)、そういうことではなさそうです。実験で確認された現象なら受け入れなければなりません。
 貫通多孔管型で気流音(笛吹き音)を抑制するにはパイプの外側から内側に流れる排気の速度を下げればいいんだろう、そのためにはパイプに穴をたくさん開ければ一つの穴当たりの排気の流通量が少なくなって速度が下がるだろうと考えました。また、パイプの外側と内側の容積の差が小さければ中と外の間の排気の出入りが少なくなるだろう、そのためには太いパイプと細い缶の組み合わせが良いだろうということで内径11mmから内径13mmのパイプに替え、缶は3作目で使っていた38mmではなく35mmにしました(この理屈でいいんでしょうか?)。


 サブマフラーを作っている間に、脈動音(破裂音)を消しても気流に乱流が生じることによって起きる騒音が問題になっているとの情報も見つけました。確かにヘリコプターのマフラーは結構大きな音で「シューン」と鳴っています。
 東北大学の未来科学技術共同研究グループの研究室では「高速気流を伴う条件で使用する高出力車の消音器において期待された消音効果を得られないという問題が生じている.これは本来エンジンの脈動音の低減を可能にする消音器内で,気流による新たな二次的騒音(空力騒音)が発生する事が原因である」との認識の下、騒音低減の研究をしているそうです。
http://www.tagen.tohoku.ac.jp/labo/shibata/public_html/aerodynamic_noise-j.html
 僕の理解では排気の流れを隔壁でせき止めるようにして脈動音(破裂音)を抑制しても乱流が強くなれば空力騒音(気流音)が大きくなる。排気はすんなり流して空力騒音(気流音)を防ぎ、脈動音(破裂音)は音の干渉や共鳴によって消音した方が良いということになります。
 貫通多孔管型では排気の流れは前から後にほぼ真っすぐにすんなり流れるので(流れるはずなので)この点では安心です。


 ともあれ、脈動音(破裂音)を十分に抑制するとともに、気流音は消せないまでも「ビー」とか「ジャー」とかではなく、バイクやスクーターの純正マフラー、あるいはヘリコプター用のマフラーのような「シューン」という音色に変わったら良いと思います。

出力の低下の防止

 4作目のサブマフラーでは、運転しているうちに(エンジンがなじんでいって?)、また、気温が下がるにつれて出力の低下は少なくなってきたのですがそれでも出力の低下がある感じです。
 サブマフラーの出口の口径をレデューサーで絞っても回転数に変化がないので排気系の上流側で排気抵抗が大きくなっているのだろうと考えました。
 4作目で内径11mmのパイプにしたのは銅管エルボの内径の一番狭い所で9.5mm(3/8インチ)なので抵抗が増えることはないと思ったからでした。ところが実態として出力が下がっていることを受けて、排気流路が銅管エルボで狭くなってもその後で広くすれば排気抵抗を小さくできるだろうと考えて内径13mmに広げました(この認識でいいのでしょうか?)。


 5作目のサブマフラーはこんな狙いで作ったのですが狙い通りになっているかは飛行場で実際に回してみなければわかりません。

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