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ストレート燃料の実用性検証 準備編:能書き、エンジンと燃料の準備

 9月になってからグローエンジンの機体ばかり飛ばしているのでグロー燃料が残り少なになり、そろそろ自作のグロー燃料の作り時になりました。せっかく作るので燃料で何か実験することにしました。
 今回は自作燃料をストレート仕様にして実用に耐えるか実験します。
 ノーニトロ教とかストレート教を信仰しているわけではないので無理してストレート燃料を使う気はありませんが実用性があれば使わない手はありません。

自作燃料をストレートにすればもっと安くなる

 自作燃料を作ろうと思ったのはグロー燃料が高いなと思って燃料代を安くあげたかったからです。
 安さを追求するがゆえに最初は5%ニトロ(自作ストレート2に対して15%ニトロの市販品1の割合)にしていたのを段々とニトロを減らして3.3%ニトロ(自作ストレート5に対して20%ニトロの市販品1の割合)にしました。
 市販品を全く混ぜないストレート燃料にすればさらに安上がりになります。
 16リットル入りのアルコールはシンナー(主成分はメタノール)として買うと通販で6000円くらい、店頭で買えば5000円台でしょうか。使いだした頃は3000円を切っていました。
 法規に詳しくないのですが純メタノールは通信販売はできないのかもしれません。印鑑持参で店頭でしか買ったことがありません。
 ひまし油の値段を調べると1リットルペットボトルで1260円、1.8リットル缶入りで2860円、4リットル缶入りで4950円という製品があります(いずれも税込み、調べるたびに値上がりしています)。1リットルあたりにすると1260円、1589円、1237円ということになります。
 これらでひまし油20%のストレート燃料を4リットル作るとすれば、アルコール3200ccとひまし油800ccで2008円(アルコールが5000÷16×3.2で1000円+ひまし油が1260×0.8で1008円)になります。去年の記事では2000円を切ると書きましたが値上がりしてます。
 市販の燃料は一番安い15%ニトロで定価が4000円台後半から5000円、店頭価格でも3000円台後半から4000円ですから半額近くになります。
 ちなみに市販のストレート燃料もありますが(YS用?FAI競技用?)燃料を自作すればこれより安価になります。

ストレート燃料の実用性を調べよう

 ストレート燃料が安いのはいいのですが、自作燃料を作り出した頃に実験したところニトロが5%の燃料の低速のセッティングではアイドルが効きませんでした。そのときはニトロが入っていた方がいいなと判断してそれ以来ニトロを添加して(市販燃料を混ぜてニトロ成分を調整して)使っています。
 ストレート燃料で最高回転が落ちるのは覚悟の上ですから実験の目玉は低速運転の安定性が確保できるかです。実用性が確認できればストレート燃料に切り替え、ダメなら今までどおり3%くらいのニトロに戻して運用することにします。

エンジン側の準備、主としてアイドル調整

 ストレート燃料でどれだけ変わるかを確認するためには比較の基準となる初期値が必要です。ストレート燃料に実用性がないときに元の設定に戻すためにも3.3%ニトロで回したときの初期値を取っておく必要があります。
 テストベッドは熱ダレしにくいことが気に入ったENYA SS35にします。スロットルストップスクリューがついているので(最近のOSには付いていない)アイドルのときのスロットル開度が確認できるのも実験には好都合です。
 このエンジンは低速運転の調整を詰めていないので飛行機に積む前のアイドル調整も兼ねます。

設定の初期値の確認

 初期値として、最高回転とそのときのニードル位置、実用的なアイドリングができる時のスロットル開度(スロットルストップスクリューの開き)、低速ニードルの開き、アイドルの回転数を確認します。

全開運転での回転数とニードル位置

 全開運転では甘目のピーク(回転が頭打ちになってからニードルを開いていって回転が下がり始める直前)で12,700r.p.mが得られました。キャプチャー画像では12,800r.p.mですが128と127の間を行ったり来たりしています。ニードルの開きは1+10/40、1回転1/4です。なぜ10/40かといえばENYAのニードルバルブは40コマで1回転だからです(OSは32コマで1回転)。
 SS35は以前の同仕様の回転数と比べると回すたびに調子が出てくる感じです。人間の方が使い方に慣れてきたのかもしれません。

低速ニードルとスロットルストップスクリューの位置

 アイドル調整(スロットル開度と低速ニードルの開き)では、スロットル操作への追従性を優先します。混合比が適正に近づいてホロホロと安定してアイドル運転ができるようではスロットルを開けた途端にエンストします。OSの取説にも最もアイドリングが安定する位置より半回転開けという意味のことが書いてあります。


 最初はスロットルの開きを大きめにし(スロットルストップスクリューを締め)、低速の混合気は濃い目の状態(取説にある工場出荷状態)にして高めのアイドルで様子を見ます。

 最初の段階でのスロットル開度の写真です。青いのは自作燃料のオイルの色です。
 この開きでは4000r.p.mくらいで回ります。このスロットル開度でスロットル操作への追従性を確認します。ゆっくりとスロットルを開けて行けば回転は付いていきますから、数秒間アイドルで運転した後、あおるようにスロットルを操作してそれに追従できる限界まで低速ニードルを閉めていきます。今回は4回くらい調整する必要がありました。
 こういう調整はエンジンが回っていると危ないし、低速運転でもエンジンの振動でドライバーの先端をねじに当てるのが難しくなるので運転中にはしないようにしています。どのメーカーの取説にもエンジンを止めてから調整しろと書いてあります。
 飛行機に積んだ状態なら工場出荷状態で回るギリギリまでスロットルを閉じていってそこで低速ニードルの調整を始めるということになるでしょう。
 スロットル操作に俊敏に反応する様になったら回転が続くところまでスロットル開度を狭くしていきます(スロットルストップスクリューを緩めていきます)。


 この手順では低速ニードルをいじるのはスロットルを開け気味のアイドルのときだけで、その後はスロットルストップスクリューでアイドリングの回転数を下げるだけで済みます。今回はこの手がうまくいきました。


 先にスロットル開度を決めてから低速運転が安定するように低速ニードルを調整し、その後にスロットルレスポンスの確認をしてスロットル開度と低速ニードルを調整しなおすのは手戻り作業になって能率的じゃないと思います(僕の経験からの感想です)。


 回転が続く限度でスロットルを絞れるところまで絞るとスロットル開度はこの写真くらいになりました。このエンジンではこの設定で2,700~2,500r.p.mの甘目のアイドル運転が可能でした。アイドル運転の安定だけを追求するのならもっとスロットル開度を小さくし、その空気量に合わせて低速ニードルを絞れば2000r.p.mくらいも可能になりそうですがこういういことで欲張るとたいてい上空でエンストすることになります。そういうことを良く経験しました。


 スロットルストップスクリューの位置とスロットルバルブの開きはマイナスねじで規制されますからその位置を写真に撮るかスケッチしておいて元に戻せるようにしておきます。

 低速ニードルはこんな感じ、スロットル本体を基準に12時~6時です。

 スロットルストップスクリューはこんな感じです。エンジンを後ろ上から見て10時半~4時半です。


 最後に(調整の途中でやってもいいし、その方が手戻りにならなくてよい)テストベンチを上に向けてスロットル操作をしてちゃんと回るか確認します。水平で甘目の設定になっているはずですからたいていは大丈夫です。このエンジンでも大丈夫でしたが、大丈夫でなかったら低速ニードルを甘めにし、その状態で回転が続くようにスロットル開度を広くしなければなりません。


 証拠の動画も撮っておきました。

 アイドリングではスロットルを閉じて2、3秒後に2,700r.p.m以下に下がり、十秒以上回転を維持します。着陸するにはこれで十分です。


 なんだか「僕がやっているグローエンジンのアイドル調整法」のような感じになりました。

燃料などの準備

 このブログを書き始めたときはストレート燃料を作っていませんでした。まずストレート燃料を作らなければなりません。

ストレート燃料の調合

 いつものとおり、調合の資材と道具をそろえます。漏斗、計量カップ、ノズル、燃料ポンプが必要です。燃料ポンプは計量カップに500ccのアルコールを量ってそのまま燃料缶にそそぐとアルコールがこぼれるので計量カップのアルコールを吸い出して2/3くらいに減らすのに使います。吸い出したアルコールは当然、燃料缶に入れます。
 メスシリンダーならこんなことをしなくてもこぼれる恐れはないかもしれません。
 できた燃料を入れる容器は空の4ℓ缶ですから2回に分けて2500cc(ひまし油500cc、アルコール2000cc)ずつ作ります。
 青いボトルのPutoineのCastor Rはこの写真に写っているものを含めあと2本になりました。青い色が付いていると色々と便利なんですけどね。これがなくなると石鹸材料の特Aクラスのひまし油に替えなければなりません。

計量カップは正確じゃない!!

 今回の調合で驚愕の事実が明らかになりました(僕が知らなかっただけか?)。
 いつもは1ℓボトルから計量カップで500ccを量って一缶目の2500ccのストレート燃料を作り、残りの500ccはカップで量らずにボトルからそのまま直接2缶目の燃料缶に入れていたのですが、今回は2缶目用のオイルも計量カップで測ってみました。
 するとカップの500ccの目盛りを超えそうになってもまだオイルがしたたり落ちます。オイルがまだ残っているんですね。残ったオイルの量はボトルの内壁に付着しているレベルプラスアルファだったのですがびっくりしました。
 Putolineがおまけとしてオイルを余分に入れてくれているとは思えませんから計量カップの目盛りがおかしいのです。
 調べてみると計量カップは厳密な計量器具ではなく、簡易的なものだから目盛りは正確とは言えないようです。ホームセンターで買ったものですしね。
 これを知ってしまったので今回はボトルに少し残した状態で2缶目も調合しました。計量カップの500ccの目盛りが正確に500ccでなく495ccくらいだったとしても同じ計量カップでアルコールも量っているので比率は狂わないはずです。
 今回はこれで良いのですが、これまで10年以上にわたって作ってきた燃料は1缶目は正確に1対4だったとしても2缶目はオイルの比率がわずかに多かったことになります。まあ、使っていても気が付かなかったんですけどね。ちゃんとしたメスシリンダーを買うべきかもしれません。

 ボトルに残ったオイルはガソリンエンジン用の燃料に混ぜて消費することにしました。

 ガソリンをボトルに入れてよく振り、ボトルの内側に付いたオイルを全部溶かしてタンクに入れます。多くても10ccくらいでしょうから3ℓのガソリンに入れても悪影響はないでしょう。
 これで化学合成油と植物油のハイブリッドオイル入りのスペシャル燃料ができました。ひまし油が油性向上剤として機能することを期待します。

テストベンチの補修

 3.3%ニトロで運転中にラジアルマウントがぐらつきだしました。ボルトとナットではなくトラス頭のタッピングねじで止めていたので緩んだのでしょう。アルミと合板がすれて黒い汁が出ています。

 とりあえず脱脂して、耐燃料性を持たせるためにエポキシを塗り、

 タッピングスクリューで付け直しました。同じ方法で付けたので同じように緩むでしょうが、今度緩んだらベンチを新しく作り直します。


 ラジアルマウントを外すと違和感があったので最近買った25~35用のラジアルマウントと比べてみました。

 右の最近買ったものはエンジンの取付け穴の位置が10mmくらい前にずれています。FXになってからニードルバルブがエンジンの後ろに来るようになったからエンジンを前に出す必要ができたからでしょうか。エンジンの後ろに余裕ができて燃料系の配管が楽になりましたが古いラジアルマウントの寸法で図面を引いたらえらいことになるところです。

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