今回は文字だけの記事です、・・・では寂しいのでRCGF Stinger 10cc REのテストベッド機RCGF-2の機首のクローズアップ写真をアップします。

機首ハッチは燃料補給、チョークバルブの操作、ニードルの調整のたびに開け閉めします。アイエムのヒンジを利用した蝶番が分かると思いますが、蝶番の軸にしている1.2mmピアノ線を抜けば取り外しも可能です。木製プロペラのハブに付いている灰色の四角なものはプロペラのバランスを取るためにセメダインスーパーXで鉛板を接着したものです。

最高回転が上がってきた

　RCGF 10cc REは調整が楽だと書きました。楽なのは確かですがサブマフラーの実験をしている間に最高回転数が分からなくなってきました。
　10月23日、28日に行った純正マフラーのみの仕様（以下、「爆音仕様」という）とそれに現用サブマフラーと小型サブマフラーを追加した仕様（以下、「現行消音仕様」という）の比較実験では爆音仕様の方が回転が上がったのですが、消音仕様で10月30日の土曜日に飛ばしたところ爆音仕様とほぼ同じ回転数が出ました。十数秒全開で回して回転が落ち付いたときの回転数は、
爆音仕様：9,200 r.p.m（2021-10-23、2021-10-28）
現行消音仕様：9,100 r.p.m（2021-10-30）
となりました。
　10月30日の運転では現行消音仕様で一時的に9,500 r.p.mという爆音仕様以上の回転数が出て「ややっ？」と思いました。様子を見ていると全開で十数秒運転をして9,100 r.p.mで落ち着きました。着陸させて足元に持ってきてから回転を測ると8,900 r.p.mです。こうなると現行消音仕様は爆音仕様とほぼ同じ回転数で消音効果はかなり上がっているという、うれしいことになります。「よかったよかった」といってこのまま現行消音仕様で飛ばしても良いのですが、
純正の筒抜け素通しマフラーという効率的な排気系に余計なものを付けたんだよね？
回転が上がる要素がないよね？
でもなぜ回転数が落ちないの？
という疑問が生まれました。理屈が分かりません。何がどうなっているのかわからない迷走状態になりました。

新たな実験をしよう

　僕は理屈の付かない現象に我慢できないたちなので実際はどうなっているのかを明らかにするため検証実験を行うことにしました。
　検証の目的は爆音仕様と現行消音仕様の同一条件での回転数の差を明らかにすることです。現行消音仕様での回転の落ちが少ないことが確認されれば素直に喜べば良いわけです。

新たな実験での留意事項

　実験にあたっては次に留意します。

エンジンを過熱させない

　これまでの実験ではカウルは付けたままでした。シュラウドの機能を持たせた適切な設計（僕個人の考え）のカウルだから地上でも加熱しないだろうと考えてのことです。しかし、温度の影響を最小限にするため、新たな実験では取り外します。また、実験に時間がかかって過熱状態にならないように数分回したらエンジンを止めて冷やします。しばらくアイドルで運転する程度ではエンジンは冷めないような感じです。

爆音仕様でのデータをしっかり取る

　爆音仕様ではあまりのうるささに本人の気持ちがくじけてしっかりしたデータを取っていなかったと思います。爆音仕様での回転数が基準値になりますからじっくりと測ります。気兼ねなく実験できるように平日の誰もいない時を選びます。

勉強になる資料

　今回の記事と関係ありませんが、勉強になった資料を紹介します。ヤマハの開発部門にいて2サイクルの空冷エンジンの開発に関与していた人がWEBで回想記を公開しています。この人の「寒くなるとバイクも元気が出ます。空冷の場合は夏場と冬場では約１０％近い差があります」とか「空冷２サイクルエンジンの場合、ベンチテストでも全開走行でも、始動直後の馬力に比べると、３分後には９０％、更に１０～１５分後には８５％程度までに落ちて安定します」とかいう記述は、日ごろ経験している、夏より冬の方が飛びが良くなる（空気の密度が高くなってエンジンの力が出ることに加え飛行機も飛びやすくなるのでしょう）、始動直後で9,500 r.p.mで回っていたエンジンがしばらくすると9,100 r.p.mに落ち、着陸後は8,900 r.p.mになるという現象と符合します。リンクを貼っておきますからご一読を勧めます。→開発物語　ＴＯＰ
　ヤマハと言えば、ヤマハ発動機の企業サイトの「デザイン&テクノロジー」をたどっていくと開発に携わった会社の幹部の回想記「やまももの木は知っている」や「いつの日も遠く」を読むことができます。読み物として面白いので見つけたときは最初から最後までいっぺんに読みました。