模型用ガソリンエンジン用オイル、混合比は?
昔(40年以上前)、中学の技術家庭の授業で2サイクルエンジンではガソリンとモービル油を20対1で混合すると教わった記憶があります。当時モービル油と呼んでいたのはどんなオイルだったんでしょうか。4サイクル用のオイルで混合ガソリンを作ったらまずいはずですが。
エンジンもオイルも性能が上がった現在ではどんな具合になっているんでしょう。
オイルの側では20:1とか25:1で混合してくださいという控えめな製品がある一方、50:1で使える、100:1でも大丈夫だとする強気な製品もあります。
エンジンの側ではどうでしょうか。
NGH GT9-Proの現行型の取説では表になっている部分では20:1ですが、地の文ではならし運転で20:1、通常で25:1となっています。これに対して旧型の取説では、ならし運転で25:1、通常で30:1となっていました。旧型より新型の方が使用条件が厳しくなったのは誰かが焼き付かしてクレームでも入れたからなのでしょうか。
RCGFの取説ではならし運転では良質な鉱物油ベースのオイルを30:1で使い、数ガロン回した後は良質な完全合成油に替えて40:1で使えと指示しています。RCGFでも取説の最初の方では混合比は30:1になっていました。
NGHにしろRCGFにしろ、取説の最初の方の目立つところでおとなしめの混合比を指定しているのは取説をじっくり読まない人がエンジンを壊さないようにするための配慮でしょうか。それとも中国らしいいい加減さおおらかさでしょうか。
OSのガソリンエンジンではならし運転が終わればオイルメーカーの指定に従えと書いてあります。ならし運転では「30:1の混合比の指示があるオイルを使う場合には20:1程度の混合比で混合して使用してください」と書いてあります。
SAITOは4サイクルエンジンなので特殊なのですが、混合比は20:1以上にしろと指示しています。
混合比はオイルで決まるのか機材で決まるのか
結局混合ガソリンの混合比はどうすればよいのでしょうか。取説通りにしておけばいいんですが、NGHとRCGFでは混合比が違います。どちらにも使える燃料にしたいものです。
調べてみると混合比はオイルに依存するという考えと機材の性能や使用条件に依存するという考え方があります。
ハスクバーナ・ゼノアは商品説明の動画で混合比は「オイルの性能で決まります。機械で混合比率は変わりません」と明言しています。OSの「混合比はオイルメーカーの指示に従ってください」という記述はこの考えに沿っていますね。農林関係者はこの考えに立つ人が多い感じです。
一方で、オートバイやカートの競技に使うオイルでは、競技の種類や使用条件で混合比を指定することがあります。
信者レベルの愛好者がいるワコーズのカタログによれば、ミニバイクでは40:1~50:1、カートは濃い目の20:1~25:1が目安になっています。
オートバイ関係では使用条件で混合比を変えるようです。混合比を変えるのもチューニングの一貫なんでしょうね。レースをやっている人のブログを見ると焼き付かないギリギリまでオイルを減らすようです。
2022-01-30注記:オートバイレースでチャンピオンになったことのある人のインタビュー動画を見つけました。それによると、ヒートごとにヘッドを開けて、焼き付いていなければどんどんオイルの混合率を下げて行ったそうです。レースではそのヒートでエンジンが壊れなければ良いという考えなのでしょうか。真似をしたら危険そうです。
オイルの性能によって混合比が変わるということも、機材と使用条件によって混合比を変えるということも納得できます。結局どうすりゃいいんでしょうか。
ハスクバーナ・ゼノアのオイルを50:1の混合比にすればチェンソーをどんな使い方をしても壊れず、100:1にしてもバイクを5,000rpm以下で走らせるくらいなら大丈夫というように理解しました。厳しい条件ならオイルを多くしてエンジンの消耗を防ぎ、おとなしい条件ならオイルを少なくして環境にやさしい運用をするということです。
現在、鉱物油を20:1で使っていて、これを使い切ったら合成油に切り替えようと思います。
「〇〇のオイルを100対1で使ったらすごく回るようになった」という話を聞いて心が動きます。オイルを少なくすれば馬力が出るのでしょうが、究極の性能を目指すためにどこまでオイルを減らせるか試すというリスクは冒したくありません。
もう一つガソリン携行缶を買ってRCGF用の40:1用の缶とNGH用の25:1用の缶をそろえるというのがエンジンの取説に従ったやり方ですが、RCGFとNGHに共通な燃料として高性能な合成油を30:1で使うということでいいんじゃないのと考えています。
高性能(潤滑性能が高い)オイルならNGHを30:1で回しても大丈夫でしょう。NGHの取説の25:1は安全率を見込んだ数値だと考えます。・・・ということでいいんでしょうね?
RCGFの取説の40:1よりオイルが多すぎることでカーボンがたまっても、手入れの周期が短くなるだけでエンジンは壊れないでしょう。そもそもグローエンジンをひまし油燃料で回すよりひどいことにはならないでしょう。
脱線、Wikipediaは便利だ
2サイクルオイルについて調べているとWikipediaの「2ストロークオイル」という項目がヒットしました。
Wikipediaが情報源というと馬鹿にされますが、まとまった情報をいっぺんに見ることができるので便利です。最初にこれを見ておけばよかったという感じです。
脚柱の一覧を見ると僕がたびたび引用したヤマハの技術レポートを含め、見たことのある資料が引用されています。
Wikipediaは誰かがまとめた二次資料・三次資料ですから、突っ込んで調べたいときは脚注にあげられているサイト(一次資料)にアクセスして調べるなりお金を払って本を買うべきでしょう。
Wikipediaの記事には読んでいく中で、ちょっと違うんじゃないのと思う記述がありますが、執筆者の意見ですから「そんな見方もあるんだな」と思っていればよいのです。
Wikipediaは、何かを調べる時の出発点として使えば十分役に立ちます。