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小型ガソリンエンジン用サブマフラー、アルミパイプを曲げる

 自作サブマフラーは消音効果が確保できてひと段落着きました。


 小型ガソリンエンジンRCGF 10cc RE用サブマフラーの現用のレデューサー内蔵テールエンドは竹やり状に斜めに削ぎました。昔の暴走族のマフラーのようにかっこよくするためではなく(胴体の下だから見えない)2サイクルガソリンエンジンの真っ黒なオイルが機体に付着するのを少なくするのが目的でした。
 実際に回してみると、確かに水平尾翼の裏へのオイルの飛び散りはほとんどなくなりました。


 一方で胴体の下面に付着しなくなるわけではありません。しぶきの量は減って、付着する範囲も狭くなっていますが1回飛ばしたらこのとおりです。


 雪が降ったり風が強かったり寒かったりの日が続いたのでテールエンド周りをいじってオイルの付着を減らす工夫をすることにしました。オイルの付着をさらに減らすには、
・排気が噴出される方向を変え、
・しぶきの原因になる油が貯まる所を排気口付近に作らないようする
ことにすればよいと考えました。

排気の噴出方向を変える

 まず、排気の噴出方向を変える工夫です。


 模型用品としては、アイエムには「シリコンアダプター」、テトラには「シリコンエキパイ」、Dubroには「Exhaust Deflector」という製品があって店頭でも通販でも手に入ります。素直にこういう製品を使えばよいのですが、ちょっとお高いので創意工夫をするのがアマチュアだとの考えから自分で工夫できないか考えました。

 実機ではトラックの排気管の出口に付けて排気の向きを変える「ディフューザー」という製品があります。「ディフューザー」と言ってもご覧のとおり、乗用車の後ろのバンパーのあたりに付けるリア・ディフューザーというエアロパーツとは別物です。

 バイク用でもこんな感じの出口のターンアウトマフラーというものがあります(こういうものにちゃんと名前が付いているとは知りませんでした)。こういうのをハーレーに付けて「ズットコ、ズットコ」とか「ドッチチ、ドッチチ」というような音をさせている人がいますね。
 アルミパイプをうまく曲げることができればトラックのディフューザーやバイクのターンアウトマフラーのような部品ができます。夢が広がります。

アルミパイプを曲げてみよう

 新しいテールエンドは、実験で好結果を得た口径5mmのレデューサーを内蔵するタイプを踏襲します。テールエンド本体は外径8mmのアルミパイプを曲げることにしました。
 外径8mmのアルミパイプは1mで300円しないのでどんどん試作品を作ることができます(使わなければ残りの人生で使い切れない)。簡単な道具と低い技術レベルで曲げることができればハッピーなので簡単な「工法?」から試しました。


試作1 安易な工法

 まず、パイプが横につぶれて平べったくならないようにMDF板でこんな型を作りました。8mmアルミパイプを焼きなまして手で曲げるとほぼ抵抗なく曲がりました。パイプの両側がMDF板で押さえられているのでぺちゃんこにつぶれるということはなかったのですが断面は真円にはならず、Rのついた四角形になりました。図示するとこんな具合です。

 MDF板の型が丸い断面になっていなかったのでアルミが角の方に「逃げて」しまったと思われます。

 出口がすこし潰れていますが有効面積がそれほど減っているわけではないし口で吹いてみると息が噴き出る方向が変わっていることが確認できました(科学的な実験だなー)。排気が噴出する向きを変えるという機能は果たせていると判断し、製品として完成させて小型サブマフラーに取り付けました。
 一応これで運用するとしても、もっとカッコいいものができないかと考えてさらに高度?な工法を試しました。


試作2 少し手間をかけた工法
 アマチュアが手を出せるレベルの金属パイプをつぶさずに曲げる方法を検討しました。
・砂をパイプの中にぎっしり詰めて固く栓をして曲げる方法は、
 → 砂のような流動体を詰めたくらいでパイプが潰れるのに対抗できるか不安
・易融合金(低融点合金)をパイプに充填して曲げた後にお湯で溶かして取り除く方法は、
 → 易融合金を購入する費用が発生するし、易融合金の代用として鉛が使うとしても、鉛にしろ易融合金の成分のビスマスやカドミウムにしろ健康に良くない
・水を入れて凍らせてから曲げる方法(氷曲げ)は、
 → 安くて安全だしパイプの中で氷が折れてもシャーベット状にはならないだろうから潰れにくい(のではないか)
と考えて氷曲げを採用しました。
 このほか、パイプの中にマンドレルの代わりの芯になるようなアルミの針金やワイヤ、ベアリングの弾を入れてもよさそうですが曲げた後にこうしたものをうまく引き抜けるか心配ですからオミットしました。


 氷曲げの方法をネットであさるといろいろな情報が手に入りました。 

 ヤマハ発動機がウェブで公開している技術資料にこんなのがありました。硬いチタンの二重構造のエキゾーストパイプも曲げられるようです。曲げの外側の氷がシャーベット状になって多少は扁平になるようですがまあ止むを得ないでしょう。

 ヤマハつながりで楽器のヤマハもホルンを似たようなやり方で曲げる方法を公開しています。


 能書きはほどほどにして実際に氷曲げをしてみます。
 このあたりからオイル汚れの防止が目的ではなくアルミパイプをきれいに曲げることが自己目的化してきました。


 ヤマハ発動機の工場では硬いチタンのパイプも曲げることができるようですが、僕の技術と道具でそんな加工ができるわけがないのでアルミパイプをなますことにします。曲がる所にマジックで印をつけてマジックの色が抜けるまでパイプをバーナーであぶります(科学的だなー)。パイプの栓はシリコンパイプの片側にシリコンコーキング剤(ボンドのバスボンドQ)を盛ってふさいだものです。

 パイプに水を入れて両端に蓋をして冷凍庫の中で凍らせます。
 食べ物を保存する冷蔵庫にこういうものを入れる時はきちんと了解を取るか、内緒でしなければなりません。


 数時間後、凍ったころを見計らって冷凍庫から取り出すと、蓋にしていたシリコンチューブの端っこが膨らんでいます。水が凍ると体積が増えるんだな~と改めて感心しました。
 型に当てて手で曲げるとパキパキ、チリチリと氷が折れる音がして曲がります。

 どんな具合に曲がったかなと、型から取り出したらこうなっていました。「つぶれてる!!」とがっかりしましたが、完全にぺちゃんこになっていませんから2本のテールエンドは取れそうです。

 後で調べると、NDF板製の型のパイプの広がりを抑えるための両側の板がはがれていました。これでパイプが横方向に少し広がったのかもしれません。

 少し温まると氷の柱が抜けてきました。ほっておいて氷が融けるのを待ちます。

 カナ鋸で切って断面を見ると曲がりの内側が潰れていますが外側はきれいな円の断面になっています。氷の効果はあったようです。

ヤスリで大まかに削ってみました。

 パイプの断面が真円のまま曲がっていれば切り口は楕円形になるはずですが角にアールの付いた四角形になりました。傷をつけないように気を付けながらペンチやいろいろな棒で出口の形を整えます。太めの竹串と竹の菜箸が役に立ちました。

 6mm(内径5mm)のアルミパイプでレデューサーを、7mm(内径6mm)アルミでスペーサーを作り、テールエンド本体の長さをそろえて「5mmレデューサー内蔵テールエンド ターンアウト形」の構成品をそろえます。

 3つの部品をJBウェルドで組み立てて「5mmレデューサー内蔵テールエンド ターンアウト形」が出来上がりました。

 試作1と比べてみました。3本のうちの真ん中が試作2「5mmレデューサー内蔵テールエンド ターンアウト形」で、格段にかっこよくなっています(個人的感想)。
 試作1でも機能は果たすはずなのでこのまま運用を続けて試作2の「5mmレデューサー内蔵テールエンド ターンアウト形」は「よそ行き」用に保管しておくことにします。
追記:せっかく作ったのに使わないのはもったいないので1月19日から使い始めました。


専用の道具は使わないのか? 氷曲げのレベル向上を目指す
 パイプを曲げるには専用の道具があります。燃料配管用の3mmとか1/8インチのアルミや真ちゅうのパイプを曲げる時は僕は素直にテトラのベンダーを使っています。


 模型エンジンのマフラーの尾管に使われる12mmとか10mmのアルミパイプを曲げるには空調用の配管を曲げる道具が使えそうです。
 3/8インチ用(約9.5mm)や1/2インチ(12.7mm)のパイプ用のレバーベンダーは国産の本職用だと1万円を超えます。

 写真はアマゾンのサイトに載っていたベンダーで、3種類の径(6mm、8mm、10mmとなっていますが、実際には1/4インチ、5/16インチ、3/8インチでしょう)のパイプを曲げられる製品で2千円台です。プロ用ではなさそうですが(日本の本職ならこんなショボいものは使わないでしょう)アマチュア用としては十分でしょう。探せば類似品が結構あります。

 このほかスプリングベンダーというものがあります(模型用にも売っていたことがあったような記憶がある)。外側にはめるタイプと内側に通すタイプ(中通し)があります。こちらも数千円します。


 まさか僕のやり方を参考にしようという人がいるとは思いませんがパイプをきれいに曲げるのならきちんとした道具を使った方が良いでしょう。
 僕はお金がもったいないのでアマチュアはプロ並みの道具を使うべきではないという矜持からこんな創意工夫をしています。


 今回の氷曲げは初めての試みだったこともあってあまりうまくいかなかったのですがその原因にいろいろ心当たりがあります。次はそれらを改善してもう少しレベルアップした方法を試したいと思います。
 

排気口付近にオイルが貯まらないようにする

 昔、2ストの原付バイク(スズキのTS50、昔はスズキのハスラーと言えばこれだった)に乗っていた時、オイルのしぶきがスイングアーム、フェンダー、ナンバープレートなどの車体の後部に付きました。
 調べてみて純正マフラーの排気パイプの出口を覆う筒と排気パイプの間にオイルが溜まってそれが飛び散っているようだと見当を付けました。この時は排気パイプをアルミの薄板で作った筒で延長して外筒の外に出したところ、オイルが煙(又は細かいミスト)の状態で排出されてしぶきが飛び散る現象が改善されました。


 こういう経験があるので排気口付近に油が溜まる所を作らなければオイルのしぶきが少なくなると考えました。

 レデューサーは5mmの口径はそのままに入口(上流側)はベルマウス状にし、出口(下流側)はリーマーやリューターでテーパー状に削って出入り口の乱流が少なくなるようにしました(入口の加工は排気抵抗の減少が目的)。
 乱流が少なければ油は溜まらず薄い膜状になって尾管(テールエンド)の内壁を流れて行きます(そうならいいな)。

 図示するとこんな具合です。・・・こんな図で分かるのかな?

 排気口の出口付近が乱流になっていると排気が渦になって滞留し、オイルが尾管の外側に付着します。ある程度たまったオイルはしぶきとなって飛び散ります。
 これを防ぐには尾管(テールエンド)を気流に沿わせるような形にするとともに尾管の周囲に変なものを付けず周囲の空気を滑らかに流すようにします。

 図にするとこんな感じになります。尾管の内壁に付着して薄い膜のようになって流れるオイルは細かいミストになって気流と一緒に流れて行くようになります(なればいいな)。


 いろいろ御託を並べましたが、実はここ数日風が強いこともあってまだ実機に付けて運用していません。
 「実際にエンジンを回したら油だらけになりました」という結果になるかもしれないのですが作業メモとして記事をアップしておきます。



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